特集|リチウムイオン二次電池

電気自動車や特殊車両の作業用、電動自転車やビル・工場用バックアップ電源に再生可能エネルギーとの組み合わせなど、導入事例が増えるリチウムイオン電池。韓国、台湾、中国などアジアのメーカーや国内ベンチャーの成長により用途の多様化や低価格化が進み、省エネや排ガス抑制など環境対策としての使いやすさが増している。本特集ではリチウムイオン電池を使いこなすための基礎知識を紹介する。
※『環境ビジネス』、2010年11月号より掲載。

Q:話題を集めるリチウムイオン電池などの二次電池は省エネの救世主となるのでしょうか? また、
実際に導入して、使用する際には、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか? 最近、あち
こちでリチウムイオン電池のニュースを目にします。日本とアジアのおもな動きとして、どんなもの
がありますか?

A:今年に入ってから、リチウムイオン電池のニュースが活発に飛び交うようになった大きな要因のひとつとして、2009年に中国の自動車生産・販売台数がアメリカを抜き、世界一になったことがあげられます。中国市場の成長に伴い、電気自動車や電動バイク、電動アシスト自転車など、電動モビリティの市場が大きく拡大、今後も持続的な成長が見込まれるため、大容量・高出力のリチウムイオン電池をめぐるグローバル競争も激化し、市場が活気づいているのです。アジアの地図上に、今年7月頃からの日本とアジアの電池関連のニュースをピックアップしてみました。大容量のリチウムイオン電池の革新により、世界中で、自動車や住宅用などの導入や実証実験、生産増強のための工場設立、自動車メーカーと電池メーカーの提携などが進んでいることがわかります。

Q:リチウムイオン電池や二次電池の環境性能に注目が集まり、大規模な工場建設や投資、開発
の話題が飛び交っています。 その市場規模はどれくらいと見込まれているのですか?

A:使い切り型の一次電池と比べて、充放電をしながら繰り返し使える二次電池(蓄電池)は資源・エネルギーの消費を大幅に抑えることができます。鉛電池、NAS電池、ニッケル水素電池などがありますが、このなかでリチウムイオン電池はもっともエネルギー密度が高く、汎用性の高い二次電池として注目されています。
  エネルギー密度が高いということは小さくて大きなパワーが出るということです。技術革新で低価格化も進んできたため、幅広い用途での使用が現実のものとなってきました。すでに電気自動車(EV)や路上作業などに使われる特殊車両、鉄道、電動自転車の電源として、ビルや工場、住宅などの非常用電源として、また、不安定電源である再生可能エネルギーを補完するなど、さまざまなアプリケーションで二次電池が活躍しています。 その規模は5年で2倍(米市場調査会社Lux Research社調べ)とも、2020年には20兆円規模(IT総研調べ)になるともいわれています。なかでも、すでに市場の4割を占めるリチウムイオン電池には大きな成長性があるため、注目が集まっているのです。

Q:どんな種類の電池があるのですか?

A:鉛、ニッカド、ニッケル水素、リチウムイオン電池などです。 現在、主に使われる二次電池は鉛電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池です。鉛電池はクルマのバッテリーなどで古くから使われるもので、その他は携帯電話などの小型電子機器に用いられます。

Q:電池メーカーの世界シェアはどうなっているのですか?

A:リチウムイオン電池では日本メーカーの独壇場といってもいい時期もありましたが、いまは韓国のLG化学とサムスンSDI、そして中国のBYDの猛追を受けています。

Q:電池の性能はどこを見ればいいのですか?

A:電池の性能で大切なのは、どれだけのエネルギーを蓄えることができるかどうかといういこと。そこでポイントとなるのは、電流の量(容量Ah)と電圧(V)です。この2つを掛け合わせたものが、エネルギーの総量(電力量Wh)となります。そして、そのエネルギーが体積や重さに対し、どれほど蓄えられるかが、エネルギー密度(Wh/LやWh/kg)となります。また、重量当たりでどれだけのエネルギーを放出できるかを表すものが出力密度(w/kg)です。出力密度が高いほど、短時間に大きなエネルギーを放出できることを意味します。

Q:電池の構造はどうなっていますか?

A:正極、電解液(セパレーター)、負極の3つが基本です。 電池は、正極と負極にある物質の電位の差を利用して電気を発生します。その正極・負極にどんな物質を置くかで、鉛電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池と呼び方も変わってくるのです。そして正極と負極の間にあるのが電解液(セパレーター)であり、この3つの材質によって、電池の特性や性能が決まります。自動車用やビルやオフィス、住宅用として、市場拡大が見込まれているリチウムイオン電池の構造は図の通りです。携帯電話やノートPC用には図のような円筒形が一般的でしたが、今後自動車用などの大出力のものが主流になると、平面タイプも多く市場に出回ると予想されます。

Q:日本企業が最初に開発したのに、最近では韓国や中国、台湾の企業が成長著しいといいます。
なぜなのでしょうか。

A::韓国のLG化学は現代自動車をはじめ、GM、フオードなど、世界の7つの大手自動車メーカーにバッテリーを供給する契約を結んでいます。 同じく韓国のサムスンSDIは今年5月の創立40周年記念式で、2次電他市場で世界1位を目指すと強調。韓国の2社は現在世界シェア首位の三洋電機を追い越す勢いを見せています。
  韓国は国策としてエレクトロニクス産業を積極支援しています。また、2004年頃から日本の技術者をヘッドハンティングし、日本から生産設備を購入するなどして技術移転に努めてきました。その結果、近い将来、市場シェアで日本の三洋電機を追い抜くと見られています。
 また、中国の電池メーカーBYD(比亜迪)は、世界第3位のリチウムイオン電池のメーカー(携帯電話用では世界第1位)です。電池事業のノウハウを活かして2008年12月には世界初の量産型プラグインハイブリッド(PHEV)カーを発売、2009年2月の中国の自動車販売台数トップ はBYDオートのF3で、中国は2010年、すでに世界一の自動車販売台数となっており、中国の自動車市場の成長とともに、BYDの販売台数の成長は確実視されています。
 中国にはBYDのほかにもBAK Battery (深周市比克電池)やCOSLIGHT GROUP(光宇国際集団科技)、Lishen Battery (天神力神電池)などの電池メーカーがありますが、多くは企業早々に米NASDAQに上場しています。中国の自動車市場の成長とともにEVの販売台数が伸びることは確実視されており、同時に中国の電池メーカーの成長が確実とみられているのです。
  また、台湾にもDynapack、E-One MOli、Simploなどの有名メーカーがあり、日米欧の特殊車両を含自動車メーカーに電池を供給しています。日本には、エネループで知られる三洋電機やリチウムイオン電池を開発したソニー、自動車用電池で実績のあるGSユアサや日立、東芝など、たくさんの優れた企業がありますが、意思決定の遅さや規制、特許審査の厳格さなどが足かせになってグローバル競争で不利といわれています。


Q:外企業のヘッドハンティングが多いと聞きますが、本当ですか?

A:中国や韓国メーカーはヘッドハンティングに積極的です。 ニッケル水素電池とリチウムイオン電池の実用化を果たした日本の電池メーカーは、携帯電話を主とする小型の充電池マーケットを切り開いてきました。それに対して、後発の中国や韓国の電池メーカーは、2004年頃から活発にヘッドハンティングを行い、国策により大規模な投資を積極的に行うなど、競争で優位に立とうと懸命です。現在では、技術力の彼我の差は縮まってきており、価格競争ではアジアのメーカーが優位になり、大手自動車メーカーと大型の契約にこぎつけるケースもみられます。


日本の電池産業が危ない!

研究開発最前線からの警鐘

1990年代初頭、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池という画期的な電池の発明により、世界にその実力の高さを知らしめた日本の電池産業。しかし、20年後のいま、今では中国や韓国の急激な追い上げにより、日本電池産業は危機に面している。電池開発の最前線に立つ研究者、境哲男氏に、その切迫した状況を聞いた。

インセンティブを活用した中国の産学連携の強み

Q:いまの最先端の研究開発で、日本の旗色はどうですか?

A:一般に知られているものはすでに数年前に開発が終わってます。まったく世にないものを、誰が発見して、どう創り出すか、どう商品化するか? そのような研究競争で将来の産業競争力が決まっていきます。最先端の分野における中国や韓国との競争において、いまの日本の状況は非常に厳しいといわざるをえません。特に中国が手強い。論文の数でも特許の数でも中国の方が多<、このままだと負けてしまうかもしれません。
 理由は産官学連携の太さと広さの差にあります。日本はサプライチェーンなど民間企業同士の連携はうまくいっており、それカ伺蛍みです。ところが政府や大学との連携を見ると、中国の方が勝っています。中国では座学連携で協力している大学の数が温かに多いんですね。しかも、あちらは連携した地方政府、大学、企業が互いに利益が出るようになっています。慶応大学のエリーカ・プロジェクトや早稲田大学の超軽量電気自動車ULVなど、一部を除き、日本はそこまで幅広い連携体制ができていません。

Q:原因はどこにあるのでしょうか。

大学のインセンティブの仕組みにあると思います。中国では、商品がヒットすると売上げの何%かが、大学教授の給料になります。たとえば電池の研究室の教授なら、学校からの給料100万円に対して、実際の年収は1000万円ということは珍しくない。だから、大学に行<と、教授はみんな高級単に乗っていますよ(笑)。教授が特許を出して、新材料を開発し商品化まで考える。こうしたほうが開発の醍醐昧もあり、優秀な学生はみんな工学部に行きます。 日本では一番優秀な学生は医学部に行き、工学部には行かない。かたや中国では工学部に行って、博士になれば確実に高収入を得られます。勉強して発明することが生活水準を上けy夢を実現する道になるのです。
 また、日本の大学教授は仕事をしてもしなくても給料は同じです。だから解析はするけれどもあまり実用的な特許を出すことはありません。それが日中の電池開発の底力の差になっているわけです。大学の仕組みを変えなければ、日本の技術力は衰退の一途となるでしょう。

Q:どうすれば現状を打開できるでしょうか。

A:いま必要なのは、まったく新しい素材や製造方法です。そういうものは研究の筋道すらまだハッキリしない段階にあります。しかし、未知の領域へのチャレンジをしていかなければ次の技術は生まれません。そういうものは、企業が単独でやろうとすると、リスクが大きいので、国策として産官学連携をしなければ生き残れない。中国はそれを理解して戦略的に進んでいます。このままでは、技術もシェアも奪われ、いずれ、中国に特許料を払わないと何も作れなくなってしまうかのではないかと危惧しています。
 材料を制するものが電池を制します。電池の技術はグローバルな競争のまっただ中にあります。携帯用電池にこだわらず自動車用や鉄道用、電力貯蔵用などへの特殊仕様を開発するという発想の転換も必要です。また、材料開発も1990年代以前に立ち返って、多様な材料を見直すべきです。
 そして最も重要なのは「脱レアメタル」のための新物質の探索と剔出です。それらを行わないと、日本の電池の未来は厳しい。いまならまだ間に合います。国策として産官学連携の強化に乗り出すときです。

会社の枠を超え、日本の電池産業の発展を支えたい

Q:三洋電機のリチウムイオン電池開発・統括部長が会社を辞めたわけは?

A:韓国や中国からヘッドハンティング攻勢にあわれたそうですね。私のような電池の技術屋は中国や韓国のメーカーから引く手あまたなんですよ。倍の年収でヘッドハンティングの話も数多くありました。ですが、私はどこかよその国のメーカーに行く気はまったくありません。海外で高 い年俸をもらっても、道具として使われるだけでしょう。

Q:世界シェア首位の三洋電機のリチウム電池部門で統括部長の地位を捨てて独立されたの
はなぜですか?

A:会社の枠にとらわれず、個々の原材料メーカーさんと直接話をしたいというのが一番の理由です。私に原材料の開発はできませんが、大手電池メーカーが求める特性に適しているものをアドバイスすることはできます。大手メーカーとサプライヤーという力関係では、フランクに話せないことも多いものですが、企業の枠なしにフリーのコンサルタントとしてあいだに立つことで、本音の話ができ、もっと良い材料ができ、日本の技術の進歩と競争力向上に少しでも貢献できると考えたのです。
 そして、近い将来、やってみたいのは、自分の電池を造ることです。リチウムイオン電池は近くコスト競争力のある海外メーカーに市場を奪われていくでしょう。いまは新しい材料や製法のための基礎研究を強化する時期にきていますから、大量生産を目指すのではなく、未知の新しい材料からこれまでにない新しい電池を提案していきたいのです。
 これは本来大学の役割ですが、大学で新しい材料を作って量産化までこぎつけるには4〜5年かかります。これではグローバル競争に勝てない。だから、企業と企業を直接つなぐのが手っ取り早い。その間に立って、橋渡しをしたいのです。自動車会社が電池を作ろうと科学者をたくさん採用しているようですが、技術者がいないので、エンジニアリングlすなわぢモノ作り"ができないと聞いています。新しい材料をどうやって使いこなすかを考えるのはエンジニアリングの仕事です。いまの日本ではサイエンスとモノをつなぐエンジニアリングの力が急速に衰えています。その問題解決のためにできることは何か考えたときに会社の枠を超えた活動が必要と考え、独立を決めました。

大企業病と官僚主義の問題点

電池だけでなく、LEDやソーラーパネルなど、もともとは日本がトップだった技術が、最近は海外メーカ−にシェアを奪われている状況です。日本の最大の問題は企業の決断が遅いこと。日本に比べ、韓国メーカーは非常に決断が早い。提案の裏づけとなる調査をして資料をそろえて取締役会にはかって…、日本企業がそうやっているうちに素早<決断した韓国企業に抜かれてしまいます。国際競争に勝っていくためには、経営者が「独断」的に素早い判断をしなければならないときもあるのではないでしょうか。一即断即決と背中合わせの"リスク"についてどう考えるべきでしょうか。リスクは少ない方がいいのは誰でも同じ。そのために新しいビジネスの前に、うまくいくかいかないか調べます。
  しかし、十分データが集まってきでこれは間違いない"とわかる頃にはもう他がやっています。問題はどこの段階で判断するか、ですが、ある程度先取りしておかないと、需要ができたときに対応できません。工場の建物から造らないといけないという、大きな設備投資が必要なときは半年〜1年はかかります。また、間違いなく需要がやってくるというとき、それがいつなのか、1年後なのか、2〜3年後なのか、早すぎると投資回収が遅れ、遅すぎると他社に出遅れてしまいます。
  どんな事業もいきなり大きく投資するのではなく、アンテナを張りながら、小さい規模で積極果敢に攻めればいいのです。大企業でもそうやって方向性を見きわめながら小回りの利<動きをしていけばリスクを抑えて早い決断ができるでしょう。ところが、現状は海外の競合に出遅れて大きくやろうとして失敗するケースが増えています。

Q:問題は技術力ではなく、経営判断の仕方にあるということでしょうか。
トップマネジメントが、技術開発の現場の事情に疎くなってしまったのでしょうか。

 

A: 「大企業病」という表現がありますが、さほど大きな組織ではなくても、大企業が陥りがちなリスクと判断のジレンマに陥っている例をよ<見かけます。最近は本部制や事業制、カンパニー制などを導入する企業が多いのですが、その事業肺自体が大きくなりすぎて「大企業病」にかかっています。
 開発の現場の立場からいうと、一番いいのは親会社、または本社に技術開発の現場のことがわかる本部長をおいて「資金は出すが□は出さず現場を信頼して待つ」ということをしないと、ボトムアップで新しいものを生み出せないと思います。
一企業の外部にも問題がありますか。  行政や政治の問題もあると思います。中国や韓国のメーカーは、産官学連携、国を巻き込んで国策として産業の競争力を養成しています。産業発展のためなら、法律を変えることもしばしばです。成長分野には、思い切った優遇策で積極的に支援します。日本にも、支援策はあることはあるのですが、資金を出してもらった後が大変です。たとえば「細かな報告書を提出しなさい」と。しかも、□を出すのは、「ここの金額の収支が合っていない」といった指摘が多く、専門外の担当者に全部わかるように説明していたらいくら時間があっても足りません。助成事業への参加に意欲的でない企業が多<なるのも当然です。それでは競争力のある新しいものを生み出すのは難しいでしよう。

Q:技術者たちの現場の声を、もっと伝えていかなければなりませんね。

 

A:たぶん、私だけでなく、多くの技術者たちは、日本の産業を伸ばさなければならないという思いをもっているはずです。それは、自分のためでもあるし、子どもたちのためでもあるからです。日本には地球環境問題やエネルギー問題の解決につながる可能性をもつすばらしい産業があります。技術者もいます。しかし、戦略を誤れば中国や韓国に敗れ去って、その産業がなくなってしまいます。いまは新たな電池の研究開発の課題の解決に向けて動き出さなければならないときです。会社を飛び出して一人で何かできるのかと聞かれれば、何もできないかもしれません。 しかし、とにかくできることから一歩―歩進んでいきたいと思います。



Q「18650」という型式をよく聞きますが、どのようなものですか?:

A: 直径18o、長さ165mmのサイズの電池を意味します。 リチウムイオン電池の円筒形のサイズを示し、最も使いやすいとされ、世界中の電池メーカーが製造しています。

Q:二次電池を使うとどれくらいコストダウンできるのでしょうか?

 単3の二次電池の充電費用はわずか0.2円です。二次電池は1本当たりの単価が高く、しかも充電器が必要となりますが、最新の二次電池は1500回も繰り返して使用できる上、1回あたりの充電費用はわずか0.2円。一方、単3の一次電池は10本1680円なので、毎月10本消費すると年間2万円以上。それに対して、ニッケル水素の単3二次電池10本と充電器の購入費用はあわせて約9000円で、10本を12回充電する費用はわずか24円。一次電池から二次電池に変更すると、半年ほどでペイできます。

現在のリチウム電池の実力はどのようなものですか?

A:90年代から約2倍もの高容量に進化しています。リチウムイオン電池は1991年に実用化されてから、年々進化を続けており、その容量は1990年代初頭と比べると現在では2倍にも達しようとしています。また、素材などの改良や見直しにより、安全性の向上も進んでいます。その一例として、08年には東芝からSCiBリチウムイオン電池、09年にはソニーからオリビン型リン酸鉄リチウムを使ったリチウムイオン電池という、高い安全性を特徴とする製品がリリースされています。

Q:営業用車両などに電気自動車の導入を考えています。どんなところで試乗できますか。

A: 電気自動車メーカーでは、試乗イベントなどを開催しています。最近では日産自動車が普及・啓蒙を目的とした「the new action TOUR(ザ・ニュー・アクション・ツアー)」というイベントを各地で開催しています。「リーフ」の試乗会や市民ワークショップなどを行い、電気自動車に関する情報収集には打ってつけの場となっています。

Q:I電池メーカーと自動車メーカーの関係はどうなっているのですか?

A:ガソリンなどの内燃機関よりも' ' のエネルギー効率が高いことから、今後自動車や自転車、特殊車両などさまざまなモビリティの電勧化に拍車がかかるとみられています。そのため、世界中で電池メーカーと自動車メーカーの資本提携や共同開発などの連携が進んでいます。

Q:充電するときや保管場所の環境などで注意点はありますか?

A:充電の方法によって寿命が変わります。 電池の寿命を示すものがサイクル寿命です。これは、この電池は何回充電できるのか? を示す数値ですが、この数値は日々の充電の仕方によって変化します。充電するとき、その前の放電する率(放電深度)が大きいほど、サイクル寿命が悪化します。つまり、毎回、たくさん放電して、めいっぱい充電するというやり方は寿命を縮めます。できれば、放電が少ないうちにこまめに充電する方が電池に対する負担が少ないのです。とはいえ、長時間、満充電状態を維持するのも電池に負担がかかります。充電はなるべく短時間で済ませましょう。また、ニッカド電池はメモリー効果があるので、たまに電池を大きく放電させる必要があります。ニッケル水素電池にも若干のメモリー効果があるので、たまに放電させると良いでしょう。ちなみに高温の環境は、電池をひどく劣化させます。電池を30〜40℃以上の場所に置いておくと、寿命が数分の1に減ってしまうこともあります。

Q:再生可能エネルギーと組み合わせて使うと、どんなメリットがありますか。
また、どんな使い方がありますか

太陽光発電や風力発電に蓄電池は欠かせません。 再生エネルギーの最大の弱点は、天候の影響による発電量の変動です。蓄電池は、そうした弱点を補うことができるため、ソーラー発電や風力発電のシステムの多くにはあらかじめ蓄電池が含まれている。三洋電機では、再生エネルギーとリチウムイオン電池を統合して工場や店舗のC02排出量の削減やコスト削減を提案するエナジーソリューション事業を開始、2015年度売上高1000億円を目指すとしています。 また、大和ハウス工業は慶応大学発ベンチャーのエリーパワーと住宅に太陽光発電とリチウムイオン電池を設置したエネルギー独立型住宅「SMAXEco HOUSE」の実証実験を開始、来年には販売開始予定です。同様の仕組みは工場やオフィスでも導入可能です。


安全に関する誤解が元で自転車事故増加。交通ルール理解へ啓発が急務

環境対策として企業や自治体での電動アシスト自転車導入が進んでいる。 2008年には原動機付き自転車の販売台数を上回リ、2010年は通年で2輪車を上回る見込みだ。一方で自転車事故は10年で7倍に増えており、この多さは、せっかく広がり始めた都市交通のクリーン化を阻害しかねない。事故増加の原因はどこにあるのか、どうすれば事故を防止できるのか-。"自転車ツーキニスドの疋田智氏に話を聞いた。

自転車事故が先進国一多い日本

Q:普段クルマに乗っている目線で いうと、車道を走る自転車は、かな り注意を払うべき存在です。"危ないな"と思うことがよくありますね。

A:それは大きな誤解です。自転車は車道を走ったほうが安全です。最大の誤解は、"自転車は歩道を走る方が安全だ"ということ。まず、知ってほしいのは、日本は先進国の中で自転車事故が飛びぬけて多く、その最大の原因は、このような誤解にあるといっても過言ではありません。その理由はふたつあります。ひとつは、日本だけ自転車が左右をデタラメに走っていること。国土交通省は自転車専用レーンを相互通行にすることを計画しています。これが絶対に危ない。

Q:相互通行だと何が問題なのですか?

A:相互通行にすると、必ずクルマに向かって走る、いわゆる"逆走"になる自転車が生まれます。

Q:確かにそれは怖いですね。

A:右側通行をする自転車はクルマ の死角に入ります。交差点でいえば、クルマの左側から右側通行してくる自転車は見えませんから、そこで出 会い頭の事故になる危険性は非常に高まります。同じことはバイクではありえない話です。

Q:クルマ側は逆走を想定しませんから、不意をつかれる格好ですね。

A:自転車は車道を走ること、そして左側通行を徹底することで、出会い頭の事故の可能性をゼロにできるんですよ。

歩道は交通弱者の聖域

Q:もうひとつの理由は日本だけ、歩道を自転車が走っていることで す。ヨーロッパもアメリカも、法律に"自転車は歩道を走ってはいけな  い"と明記されています。歩行者にとって危ないということもありますが、それよりも歩道を走ると自転車がクルマと接触事故を起こしやすい  からです。
  自転車がずっと歩道を走っていれば事故になることはありません。ところが、交差点内に歩道はないため、自転車が車道に出た瞬間、フル  マとぶつかるのです。自転車事故の実に75%以上が交差点内の事故です。車道を走っている自転車がクルマに棟かれるのは約4%。自転車車 故の大多数は交差点で起きています。
  日本はガードレールを設置している率が高く、これも落とし穴です。欧米では歩道にガードレールをつけません。ガードレールがあると、なんとな<安心と思いがちですが、実は、それがあることでドライバーの心の目を妨げてしまうんです。ガードレールの内側、すなわち歩道の内のものは存在しない、つまり自転車は存在しないものとドライバーが認識してしまうのです。

Q:確かにクルマを運転していて歩道内のことは意識していませんね。

A:存在を意識していなかった自転車が、交差点できなり出てくるからぶつかる。最初から存在を意識していればこうはならない。車道を走る  自転車をクルマぱ危なっかしい"と思うかも知れませんが、認識している以上、わざわざぶつかるドライバーはいないでしよう。ですから、どんなにヨロヨロでも、自転車は車道を走らないといけないのです。

Q:車道に自転車専用レーンかおると、ドライバーも安心なんですが…。

A:それが理想ですが、日本にはスペースもお金もありません。そのため、とりあえず線を引こうということで、クルマとそれ以外に分けた。車道はクルマだけのものにして、それ以外を歩道に押し込んでしまったのです。
でも、それが間違いでした。本来、歩道ぱ交通弱者の聖域であることが、万国共通の認識です。交通弱者というのは、歩行者をはじめ、老人、子ども、ベビーカー、車イス、白い杖などが該当します。そう いう交通弱者が安全に歩けるのが歩道なのに、日本では、それが保証されていません。そこを自転車が右も左もデタラメに走って、歩道内の事故を過去10年で7倍にも増やしてしまいました。それが日本の現状なのです。ですから、自転車はどうしても歩道から降りなければなりません。線は交通弱者と元うでないものの間に引き、次に車道をどうやってシェアするかを考えていくわけです。

Q:なるほど。クルマに乗っていると、車道はクルマのものと思いがちになります。反省ですね。歩道のサンクチュアリを守るためにも、車道はみんなでシェアしなくてはいけない。まったくその通りだと思います。



Q:二次電池の新しい利用法にはどんなものがありますか?

A:エネルギー回生を活用する試みがあります。不定期に発生するエネルギーを蓄えて平準化するのが二次電池の仕事です。そうした役割を必要とするものに回生電力があります。ハイブリッド自動車では減速エネルギーを電気として回生して蓄えます。同じように回生エネルギーを電気として蓄えるシステムを実用化したのがエレベーターです。三菱電機ではエレベーターが運転される中で生まれる回生電力をニッケル水素電池に蓄える「エレセーブ(省エネ形停電時自動運転装置)」を実用化しました。停電しても10分ほど運転が可能になるだけでなく、通常運転時にも電力を再利用することで、約20%もの消費電力削減を実現しています。また、鉄道システムでは、地上に大型のニッケル水素電池 の蓄電池設備を設置し、鉄道車両のブレーキ回生を貯蔵。運行ピーク時に蓄電池から電力を供給することで、20〜30%もの省エネを狙う開発も川崎重工が進めています。

Q:二次電池の応用技術で今後注目されるのはどんな分野ですか?

A:個人用の小型移動体などが登場するでしょう。電池の性能が向上するに従い、バッテリーが力強く小さくなることで、さまざまな可能性が広がります。 トヨタ自動車では、パーソナル異動支援ロボット「Winglet(ウィングレット)」を開発。ホンダでは「体重支持歩行アシスト」の試作機を公開しています。どちらも、その前提条件として、小型でパワフルな電池の存在あってのものです。近い将来は、こうした新しい機械が次々に登場することが期待されています。

Q:リチウムイオン電池は安全なのでしょうか?

A:全性は素材の改良などで、年々、向上しています。かつてリチウムイオン電池の弱点は安全性といわれていました。充電時に電池内部 で短絡が発生して、過熱・発火・破裂の危険を伴っていたのです。それを払拭するために、電池メーカーでは製造工程での不純物の除去や新素材の開発に力を注いできました。その成果の一例が東芝SciBリチウムイオン電池やソニーのオリビン型リン酸鉄リチウムを使った製品です。また、2008年からは電気用品安全法が改正され、安全試験の内容がより厳しいものとなっています。



Q:中国製のリチウムイオン電池を搭載した電気自動車が発火して死亡事故を起こしたなどと
いったうわさを聞きました。海外製品は本当に信頼できるのでしょうか。

A:リチウムイオン電池ぱ総合技術"です。どこか一部に不備があっても、求められる性能を実現できません。たとえば、製造工程で進入したわずかなチリやホコリが製品全体をダメにしてしまい、歩留まりが悪くなることもあります。しかし、製品として市場に出る前に問題が発覚すればまだいいほうです。市場に出てから、仮にユーザーが使用中に事故が起きるようなことがあれば、すべての製品を回収しなければならないなど、大問題です。それどころか、化石燃料の消費を大幅に削減できる、このすばらしい技術そのものが市場に受け入れられなくなってしまうことにもなりかねません。それを避けなければならないことは、日本だけでなく、世界中のメーカーや技術者が賛同するところでしょう。これまでのところ、中国製品の事故などの確かな情報は確認できていません。ただ、メーカーは第三者機関で事故の模擬実験を行ってどんなことが起きるのかを調べることがありますので、事故のうわさも案外実験を本当の事故と勘違いした人がネット上に書き込みをしているうちに尾ひれがつき、誇張されていった可能性があります。




Q:日本のメーカーの技術力が高いとわかっていても、安い海外製品にも魅力を感じます。
どんな電池メーカーを選べばいいのでしょうか。

A:韓国や台湾、中国のメーカーにとっては、日本で受注実績をあげることはその取引の営業利益以上の大きな価値があります。 トップを走ってきた日本の大手メーカーと競って勝ったとなれば世界中で評判を上げることができるからです。そのために、価格面で融通を利かせてくれるだけでなく、カスタマイズの要望に速やかに対応してくれるなど、何かとメリットがあるようです。
 たとえば、首都高電気メンテナンスでは、道路のメンテナンスエ事の際に使用する標識掲載車両に「エコ標識車」を導入しました。これまで工事中の標識は、夜9時〜10時から朝6時〜7時まで、8〜10時間の夜間作業中、ずっとアイドリングをしてガソリンで点灯していました。この夜間標識用の電源としてリチウムイオン電池を搭載することにより、アイドリングをストップし、燃費とC0を削減、騒音や排熱を抑えることが可能になりました。
 国内外の複数のメーカーに問い合わせたところ、台湾の台塑長園能源(FORMOSA ENERGY &MATERIALTECHNOLOGY)が条件をクリアし、もっとも価格競争力があり、しかもカスタマイズに速やかに対応できると判断し、決めたそうです。発注するロットが少ない場合は機械化できない作業が多くなり、それだけ人件費の安いところが有利になります。海外メーカーのなかにも、技術的に信頼に足るところが増えています。充放電の負荷などから求められる機能や価格、投資回収期間を考慮して決めることが重要といえそうです。また、信頼性に不安がある場合は、一気に交換するのではなく、小分けにして実証試験をしながら導入するのもよいでしょう。

Q:関連の特許の最新事情はどのようになっているのでしょうか。

A:リチウムイオン電池の重要特許については、先端技術情報総合研究所(代表:藤康信浩氏)からレポートが出ています。2009年1先端技術情報総合研究所(代表:藤原信浩氏)が発行する『リチウムイオン電池重要特許の技術分析」月から2010年5月までを対象に、米国、欧州(英独仏含む)、中国、韓国などで出願された特許の内容が専門技術者の目で精査され、評価されています。その結果によると、この期間中に出願された特許の総数は3400件、そのうち米国、欧州、ドイツ、フランス、イギリス、カナダ、PCT(特許協力条約)、中国、韓国、日本の複数国に出願されている重要度高いものとして94件が抽出されました。94件のうち、3件以上出願している上位企業は表の通りです。一般に、日本は特許の審査が厳しく、米国や中国は緩いといわれます。たとえば、米国では、「アイデア特許」といって実用性のないものまで出願を認めています。これは、日本で出願された特許の信頼性の高さを裏付けるというプラスの面と、出願のハードルが高すぎて国際競争で不利というマイナスの面があります。





Q:中国がレアアース輸出規制を発表したことで、電池やモーターに使われる資源が入手できなくなると騒がれています。日本のメーカーは大丈夫でしょうか?

A:リチウムやレアメタルは偏在しています。リチウムイオン電池の製造に必要とされるのが、リチウムとコバルトなどの希土類元素です。そのどちらもチリや中国などの小数の国に偏在しており、輸出規制をかけられると産業がたちゆかなくなってしまいます。そこで、現在では「脱希少資源化」を目標に素材開発が行われています。コバルトフリーといって、コバルトの含有量が少なく、しかも安定した性能を発揮できる製品の開発が進められているのです。そのひとつがリン酸鉄リチウムイオン電池で、今後主流化する見込みです。電気自動車や工場・オフィスなどのバックアップ電源などに蓄電池の使用範囲が拡大していくと、より大量の資源が必要となります。その対策として、より普遍的で安価な素材が求められ、その実現のための開発が行われています。




日本の資源戦略を考える



「では中国が手を出していないところを一刻も早く押さえるべきだ」という意見があるかも知れない。これを難しくしている要因が放射性のゴミとして現れるトリウムだ。

日本サバイバル戦略トリウムを取り込め

わが国は戦後、インドやブラジルからレアアース鉱石のモナザイトを輸入し、精錬していた。当時から精錬残酒のトリウムの扱いが大きな問題であった。昭和30年代、時の鳩山一郎首相にレアアース産業界から「トリウムはレアアース産業では利用価値がない。将来の核燃料として政府備蓄して欲しい」と要望があったが却下された。その後、モナザイトの輸入は減少し、レアアースを海外で精錬して輸入する体制に変わっていった。
 1990年代、三菱化成はマレーシアでレアアースの精錬工程で発生するトリウムを適切に保管せず環境問題を引き起こした。これ以降、海外のレアア一ス探査においては、「トリウムを含まない」鉱床をいかに探すかに重点が置かれていった。しかし、そのような鉱床はほとんどない。




にもかかわらず、中国は国外の資源を押さえにかかっている。すでに国境を接するミャンマーやベトナム、ラオスの資源は押さえた。さらにミャンマーと鉱床がつながるタイ北部やカンボジアにも進出している。これは、中国が「トリウムを気にせず」レアアース資源を取り込んでいるためだ。豊田通商などはベトナムで資源探査を進めているが、ジスプロシウムを豊富に含む鉱床にトリウムが大量に含まれるため開発できず断念した。これはすぐさま現地の鉱山会社が押さえた。トリウムを気にしない、というのは汚染しても構わないというのではない。 トリウムも使うということだ。(トリウムはウランと比べて、プルトニウムや放射性廃棄物の量が少ないなどの利点を持つが、トリウムには火種がないため使われなかった)
 8月28日の日中ハイレベル経済対話で、日本は「世界に迷惑をかける。あなたも困る。だからレアアースを供給せよ」と要求し、中国は環境対策を理由に資源開発を制限していると回答した。環境問題が起こっていることは事実だ。日本がすべきことは相手の立場に立 つことだ。その上で日本の要望を真摯に伝えることだ。自分の考えを押し付けるだけでは相手はこちらの希望には応じてくれない。
 中国国内の拳闘こついては環境対策の技術協力をしつつ、代わりにレアアースの提供を求めるべきだろう。加えてレアアースの回収率も低い。これを向上させる技術協力をし、追加で回収した分を日本に提供してもらうことも提案してよい。中国以外の資源開発では トリウムを避けず、トリウムを含めて資源開発すべきだ。トリウムは当面の需要がなくても将来必ず利用できる。 今年6月に米下院を、フ月には上院を通過した国防予算法案の中に、海軍でトリウム溶融塩炉の研究を進めることが入っており、2011年2月1日までに国防委員会でその実用化の可能性についての報告が行われる。法案の通過以降、にわかに原子力の関係者のあいだではトリウムヘの関心が高まっている。
 世界中で奪い合いになれば、手遅れになる。その前に政府が責任を持った備蓄体制を早急に整えるべきだ。」OGMEC法が改正されても資源メジヤーとの資金力の差は明白だ。中国以外の資源開発の可否は今年が山だろう。日本の自動車産業と電池産業が生 き残れるかどうか、審判のときだ。




Q:使い終わった電池はどのように処分すればよいのでしょうか。リサイクルの仕組
みはあるのですか。

A:二次電池はリサイクルのために回収されています。小型の二次電池は、一般社団法人JBRCが回収・リサイクルを行っています。小型二次電池(ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池)は、電気店などのリサイクル協力店に置かれているリサイクルBOXに持っていくと、JBRCが輸送費用を負担して回収し、契約している企業が資源を回収し、リサイクルを行います。鉛蓄電池は電池工集会のリサイクル協力店へ。こちらはカーショップなどが中心となります。また、一次電池(アルカリ乾電池、マンガン乾電池、リチウムイオン電池)は、燃えないゴミとして、市町村ごとのルールで破棄できます。



こうして韓国は天辺に躍り出た

競合より早く市場に出せ! アフターサービスがあるから

「え、ホントにこれで商品化しちやっていいんですか…と驚くことがよくあります。新しくてデザインの奇抜なものなら、とにかく早く市場に出したい。ちょっとくらいの問題点はアフターサービスでカバーすればいいからというのが文化なんです」。日本サムスンで技術翻訳を担当するAさんは、自分の会社ながら、韓国企業の強引さに少し心配を覚えるという。韓国企業の意思決定が早い背景にはこの「アフターサービス」文化があるようだ。 韓国の家電量販店には必ず大手電機メーカーのアフターサービス窓口があり、何か問題があるとすぐにそこで対応してくれるのを「売り」にしているという。とはいえ、ユーザーは不満を感じることはないのだろうか。Aさん自身、「韓国の大学に在学中テレビやパソコンなど新製品を買うと不具合が多かったので、韓国のメーカーで働いてみて「こういうことか」と納得したという。

「韓国の若者は新しいものが大好きです。出始めたばかりの製品をいち早く買って、みんなで品評しあって盛り上がります。 そんなときも、必ず不具合が多いと不満も出るという。それがわかっていても早くゲットする楽しみを優先しているようだ。「私も韓国の大学時代、出はじめたばかりのLEDバックライト付き液晶テレビに飛びつきました。でも、すぐに暗くなってしまったので、メーカーのアフターサービスに持っていく羽目になりました。そうしたら修理しないで新しいものと取り替えてくれたので"まあいいが'ということに」。大学卒業後、日本サムスンで働くことになり、Aさんはユーザー時代よりも戸惑いを覚えたという。
 「私の仕事は技術や営業部門からの要請の翻訳・通訳がメインで載たとえば、デザイン部門からこの部品を4mにするように要請がきます。製品の強度や安全性をチェックする部門からはそれでは無理だから5mにするように要請がきます。両者からの要請を開いた設計部門は両方の必要を満たすには開発に半年はほしいと回答します。そうすると、営業部門の取締役はそれじゃ競合に勝てないから1カ月でつくれといいます。で、強度や安全性にちょっとくらい問題があるかもしれない段階でも市場に出してしまうわけです」。
 日本人のAさんとしては少し不安も覚えるそうだが、結果として市場シェアをとるうえではこのやり方が奏功しているようだ。
 新しいもの好きの韓国人が飛びついて、市場に出てから不具合が出ると、ユーザーがどんな使い方をしたのか聞きながら回収して不具合の原因を調査して生産ラインの改善や次の製品開発に活かす。この場合、新製品を買ったユーザーはいわば"モニター"のような役割を担わされているわけだが、新製品にはトラブルがつきものとユーザーも割り切っている。 日本のメーカーは99.99…%と限りなく完璧を追求し、不良品レス、クレームレスに至上の価値を置く。そうしたこだわりがあって世界に冠たるものづくりの国の地位を築いてきたが、完璧を求めすぎるものづくり文化は今日の世界の市場シェア獲得には不利に働いているようだ。



下から上がってくる提案をトップがスピ-ディに決断

もうひとつ、韓国の意思決定の早さに寄与しているのが、トップダウンの意思決定の早さ。しかし、韓国の事情に詳しい技術者のBさんによると、韓国企業では技術者からボトムアップでどんどん上に提案することが多いという。「トップもトップで、そういう現場の提案に耳を傾け、いいと判断すればそれをトップダウンの決定として発表する。しかし、実際にはボトムアップの提案だから、いざやろうということになれば、現場は用意ができているのですぐに取り掛かれるわけです。
 ボトムアップとトップダウン、上下の流れがいいんですね」。 "沈黙は金"の格言の通り、日本では多くを語るよりも沈黙を守ったほうが賢明と考えられたり、寡黙なほうがいざ口を開いたときに信頼されたり、といった傾向がある。それと比べると韓国人は何事もはっきり言う文化だ。文化に対するステレオタイプは誤解を生みやすく一概に言えないが、昨今の韓国企業の勢いの背景に「文化」的要素も働いているのではないか。アフターファイブの飲みニュケーションや社員寮や社宅が少なくなり、中途採用や非正規雇用の増えた現代社会では、ものづくりの現場においても、組織内のコミュニケーションをよくするひと工夫が必要といえそうだ。




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