有機エレクトロニクスとは

 有機半導体をベースとしたエレクトロニクス。特に有機トランジスタや有機ELが代表的。低分子や高分子などの有機物を、薄くて軽いプラスチック基板の上に蒸着または塗布して作製する。有機物はファンデルワールス力で結合しているため、無機結晶などの原子結合の物質と比べ柔軟性に富む。有機エレクトロニクス技術を使うことにより、軽く、薄く、曲げられるトランジスタ回路や発光デバイスを実現できる。このため、しばしばフレキシブル・エレクトロニクス、プラスチック・エレクトロニクスとも呼ばれる。また、印刷技術を用いて塗布することができるので低価格化、大面積化が可能で、例えば照明機能をはたす壁紙やセンサー機能を有する人工皮膚などにも応用できる。

 つまりは、有機半導体( Organic Semiconductor, OSC)とは、半導体としての性質を示す有機物のことであり、半導体特性は、ペンタセンやアントラセン、ルブレンなどの多環芳香族炭化水素や、テトラシアノキノジメタン (TCNQ) などの低分子化合物をはじめ、ポリアセチレンやポリ-3-ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)などのポリマーでも発現する。
有機半導体には有機電荷移動錯体と、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリンのような様々な直鎖状ポリマーがある。電荷移動錯体は無機半導体と似た伝導メカニズムで起こる。そのようなメカニズムはバンドギャップによって分離された電子やホールの伝導層の存在により生じる。ポリアセリレン系の有機半導体も、無機のアモルファス半導体のようにトンネル効果や局在化状態、移動度ギャップ、フォノン支援ホッピングが伝導に関わっている。
 無機半導体のように、有機半導体もドーピングが可能である。ドーピングしたポリアニリン (Ormecon)やPEDOT:PSSの有機半導体は、"有機金属"としても知られる。有機半導体の一般的なキャリアはπ電子でのホールや電子である。ほぼ全ての有機化合物は絶縁体であるが、広いπ共役系を持つ分子の場合、電子がπ電子雲を経由して移動することが可能である。多環芳香族炭化水素やフタロシアニンの結晶がこの有機半導体の例である。
 電荷移動錯体では、不対電子が長時間安定状態にあり、それがキャリアとなる。このタイプの有機半導体は電子供与性分子と電子受容性分子がペアになることで得られる。

有機エレクトロニクス(半導体)素子の種類

 有機エレクトロニクス(半導体)を用いたデバイスには次のようなものがある。

・有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)(OLED)
・有機電界効果トランジスタ (OFET)
・有機太陽電池(色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池)(OPV)





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有機エレクトロニクスの歴史

・1930年:J.E.リリエンフェルトが、電界効果トランジスタ (FET)の特許を取得。
・1953 年:有機色素を含む高分子薄膜に、高い交流電流を印加すると発光することをA.Bernanose が発見。
・1954年:赤松秀雄、井口洋夫、松永義夫によるペリレン臭素錯体の非常に高い導電度 (8 Ω・cm) の発見によって電荷移動錯体の研究が始まる。
・1960年:KahngとAtallaらが、フィールド効果トランジスタ(金属-酸化物半導:MOSFET)を作製。
・1958年:M.Calvinが固体型有機太陽電池を研究。 ・1963年:M.Pope、H.P.Kallmannらによって、アントラセン結晶で、直流電場印加による発光が観測。・1963年:Weissらにより、ヨウ素をドープしたポリピロールが高温状態下で電気抵抗率を測定。
・1965年:W.Helfrish、W.G.Schneiderは、電子とホールの両キャリアの同時注入により、定常状態におけるアントラセン結晶のEL発光を観測。 ・1972年:TTF-TCNQ錯体の電荷移動錯体が金属並みの導電度を示すことを報告。
・1977年:白川英樹らによってヨウ素をドープしたポリアセチレンのフィルムが高い伝導度を示したことを報告。
・1980年:TMTSFPF6錯体で超伝導が観測。
・1982年:P.S.Vincett、G.G.Robertsらのグループは真空蒸着により0.6μのアントラセン薄膜を形成し、青色のEL発光を観測。
・1986年:1986年にC.W.Tang が,銅フタロシアニン(CuPc)とペリレン顔料の有機半導体2層セルにおいて,1%の変換効率を報告。
・1987年:Koezukaらが、ポリマーのチオフェン分子を用いて有機電界効果トランジスタを作製。
・1987年:1987年:有機ELディスプレイの基本構造が開発さ、東北ディスプレイが量産に成功。コダック社(米国)のT.C.Tangらは正孔注入帯域と発光帯域を分け、正孔注入帯域としてポルフィリン化合物の層を、発光帯域として、少なくとも105V/cmの絶縁破壊電圧を持つ結合剤を混合する特許(特公平01-7635)を出願。
・2000年:白川英樹は2000年に「導電性高分子の発見と発展」を理由にノーベル化学賞を受賞。
・1990年:1990年にケンブリッジ大学のR.Friendの研究チームのJ.Burroughesら高分子を用いた有機ELディスプレイを製作。
・1991年にグレッツェル教授により、二酸化チタン微粒子の表面に色素を吸着することで飛躍的に起電力が増加すること発見。
・2001年:NEC、「N2001」に2.2インチ、 120×160ドット、4000色表示の有機ELディスプレイを搭載。(メインディスプレイ)
・2006年:固体型有機太陽電池が新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)国家プロジェクトが,変換効率7%,セル面積1cm ,長期動作100時間以上の目標値を設定









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