作成日:2016.03.04

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コープさっぽろ 再生可能エネルギー60%の電力を6月から販売

 電気事業における、発電・送配電・小売の分離と、発電・小売の分野に、自由な市場競争を導入する制度改革のことを、一般に「電力自由化」という。
 もともと、電力は政府が電気料金を規制することを条件に、それぞれの地域の電力会社に対し発電、送配電、小売の独占を認めていましたが、バブル経済の崩壊後、電気事業にも自由な競争原理を取り入れるべきという制度改革が唱えられ、過去3回にわたって電気事業法が改正され、段階的に自由化されている。
 いままで、「発電」、および、高圧以上の需要家への電力小売りが自由化されてきたが、今は、一般家庭を含む低圧需要家へ電力小売の自由化が進められ、また、それと併せて発送電分離の検討も進められいる。

 このほど、北海道で5割以上の家庭が加入するコープさっぽろが注目の料金プランを発表。固定価格買取制度で買い取った電力を含めて再生可能エネルギーの比率を60%に高めたメニューを提供する。しかも料金は北海道電力の標準メニューより安く、灯油とセットで最大3%割り引く。
 各紙の報道によると、北海道を拠点とする「コープさっぽろ」が15年7月1日、電力小売りの新会社を設立することを決めた。来春から家庭向けの電力小売り事業自由化が解禁されることにあわせ、灯油などを購入している組合員の家庭向けに電力もセット販売することを目指す。2019年に北海道全域で契約件数を10万口に乗せることを目標とする。
生協の電力事業への進出は、2015年度の事業方針で決定した。新電力(特定規模電気事業新会社)会社を、コープさっぽろの子会社エネコープ(札幌市)の全額出資により設立する。エネコープはすでに今年1月に新電力の資格を取得している。将来は、他社の出資受け入れも検討する。新会社の名前は「トドック電力」。
 販売する電力は、原則としてバイオマス(生物資源)や水力、太陽光など再生可能エネルギーの電源からの調達を軸にする。
 販売対象はコープさっぽろの組合員。多くが、灯油、プロパンガスを購入しており、約10万世帯が主な顧客となる。電力販売に際しては、コープさっぽろの店舗などで使えるポイントを付与し、他の流通事業との連携もはかって、「電力プラスアルファ」のセット販売で契約数を増やすことを目指す。
 来春からの家庭向けへの本格販売先だって、今年10月にはコープさっぽろの店舗など22拠点の消費電力に「トドック電力」の電力を使う。同組合が年間に使う電力の4分の1を自前電力で賄う計画という。
 2社はそれぞれ1種類だけメニューを用意。トドック電力の「FIT電気メニュー」とエネコープの「ベーシック電気メニュー」で(下図1)。「FIT電気メニュー」は再生可能エネルギーで発電した電力を60%含むことが最大の特徴としている。3月1日までに料金プランを発表した小売電気事業者の中では最高の比率である。環境にやさしい再生可能エネルギーを推進する生協の意気込みが押し出されている。
 「FIT電気」は再生可能エネルギーで発電した電力のうち、固定価格買取制度(FIT:Feed-In-Tariff)で買い取った電力のこと。買取に必要なコストを国民全体が電気料金で負担、それ以外の再生可能エネルギーの電力と区別して表示するように政府が義務づけた。実際には再生可能エネルギーで発電し二酸化炭素を排出しない。
 トドック電力の「FIT電気メニュー」は契約電力が30A(アンペア)以上の家庭を対象にする。北海道電力の標準プランである「従量電灯B」と同じ料金体系になっている。月額固定の基本料金は同額で、使用量に応じて課金する電力量料金の単価を0.5〜1%低く設定(下図2)。毎月の電力の使用量に関係なく割安になるプランとなる。

 さらにコープさっぽろが定期的に配達する灯油とセットで契約した場合には、電力量料金を一律で2%割り引く。3段階の料金のうち1段目と2段目は2.5%に、月間の使用量が280kWh(キロワット時)を超える3段目は3%の割引率になる。北海道では冬に電力使用量が280kWhを超える家庭が多いため、寒い冬には電気料金の割引効果が大きくなる。




「ベーシック電気メニュー」の特徴は最大10%割引

 コープさっぽろの組合員は150万人を超えていて、北海道の総世帯数(270万世帯)の5割以上を占めている。電力の販売対象は組合員に限られるが、数多くの組合員がFIT電気メニューを選ぶと再生可能エネルギーの電力が足りなくなる可能性がある。
 同じグループのエネコープが販売する「ベーシック電気メニュー」は火力発電が中心の料金プランで、「FIT電気メニュー」よりも単価を引き下げた。月間の使用量が280kWhを超えた場合に適用する3段目の単価は北海道電力の「従量電灯B」よりも8%安く、金額の差は2.67円になる。さらに灯油セット割の2%を加えると10%の割引率になり、1kWhあたり3.34円も安い。

 この「ベーシック電気・灯油セット割」のモデル料金を「従量電灯B」と比較すると、月間の使用量が標準的な260kWh・30Aの場合で月に252円、年間で3024円の差がつく(図4)。使用量が多い400kWh・40Aの家庭では年間で8124円も割安になる。

 一方の北海道電力は従来の料金プランを継続しながら、1種類だけ4月1日から料金を割り引く。1日を3種類の時間帯に分けて単価を変えた「eタイム3」と呼ぶメニューが対象だ。夜22時〜朝8時の夜間の単価を大幅に安く設定した。
 契約電力が大きい10kVA(キロボルトアンペア)以上の戸建て住宅が対象で、オール電化住宅のように夜間でも大量の電力を使う場合に「従量電灯B」よりも割安になる。4月1日から[Sプラン割引]を開始して、毎月の電気料金を一律で1000円割り引く(図5)。合わせて契約電力が6kVA(60A相当)以下の家庭まで対象を広げる。

 ただし基本料金は「従量電灯B」の1.5倍以上になる。電力量料金も夜間は半額程度まで下がるが、それ以外の時間帯の単価は高い。既存の「eタイム3」の契約者をつなぎ止める効果はあるものの、「従量電灯B」の利用者にとってはさほど魅力的には見えない。
 コープさっぽろが意欲的な料金プランを打ち出したことで、北海道でも利用者の獲得競争が激しくなっていく。すでに北海道ガスが電力と都市ガスのセット割引プランの申し込みを1月から受け付けている。契約電力が30A未満の家庭でも都市ガスを利用していれば対象になる。
 基本料金は北海道電力の「従量電灯B」と同額で、電力量料金を一律に3%安く設定した(図6)。さらに付帯割引が1〜6%付いて、最大で9%の割引率になる。たとえば燃料電池のエネファームを利用している家庭では3%の付帯割引が加わって合計6%を割り引く仕組みだ。都市ガスの利用者で電力の使用量が多くない家庭では、コープさっぽろの「ベーシック電気メニュー」よりも割安になる。

再エネ20%超のメニューが全国に広がる

 スマートジャパン(「再生可能エネルギー60%の電力を6月から、電力会社よりも安い料金で」 2016.03.07)によると、政府は30年における国全体の電源構成の中で、再生可能エネルギーの比率を22〜24%に高める方針だ。2014年度の時点では水力を含めた再生可能エネルギーの比率は、2.2%で、震災後の3年間に1.8ポイント上昇した(図7)。これ以上のペースで再生可能エネルギーを増やしていくためには、企業や家庭が再生可能エネルギーの電力を積極的に購入する必要があるという。

 コープさっぽろに続いて再生可能エネルギーを多く含む電力を販売する小売電気事業者が全国で増えていく。ただし現実には再生可能エネルギー100%の電力を販売することはむずかしい。当面はエネルギーミックスの目標値が1つの判断基準になる。最初からハードルを上げ過ぎずに、再生可能エネルギーの比率が20%を超えれば環境価値の高い電力と考えるべきだろう。
 現在のところ市場に流通する電力のうち再生可能エネルギーは1割強しかないことを考えると、小売電気事業者が電源の開発・調達を積極的に進めなければ再生可能エネルギーの比率が20%を超える電力を販売し続けることはできない
 コープさっぽろは以前から再生可能エネルギーの電源開発に取り組んできた。日射量の多い帯広市の2カ所に太陽光発電所を建設して、13年から運転を続けている。それでも、16年1月の発電量は約20万kWhで、道内の一般家庭の使用量(月間280kWh)に換算して700世帯分を超える程度だと解説(図8)。6月1日から「FIT電気メニュー」の供給を開始するまでに、大量の電源を確保する必要があると指摘する。
 コープさっぽろが推進するもう1つの再生可能エネルギーはバイオマスである。函館市の近くでバイオガス製造プラントを運営している。家庭で大量に発生する生ごみのほか、酪農家から家畜の糞尿を収集して、メタン発酵によるバイオガスを製造する(図9)。このバイオガスを使って発電した電力を販売することも可能だという。
 生協だけではなくて地方の自治体が電力の小売に乗り出す動きも活発に始まっている。再生可能エネルギーの地産地消を通じて地域の経済を活性化する狙いがある。小売全面自由化によって、地方を中心に再生可能エネルギーの電力が広がっていく。




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