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作成日:2015.01.01|更新日:2016.02.03

エレクトロニクスファーム

1次産業の電子工学化

ソーラーシェアリング特集

 日本農業が存亡の危機に瀕しています。高齢化により農地は荒廃し、グローバル化等の影響により所得は低迷し、農業を継承する担い手は見当たりません。しかし日本農業の再生なしに、地域の活性化は覚束無く、日本の将来像は描けません。政府は地方創生を掲げていますが、農家の安定した現金収入の確保こそ、農業の後継者を育て、雇用を創出し、地 域を潤し、蘇らせます。その活路を切り拓く鍵となるのが、ソーラーシェアリングの普及です。
 ここでは、『環境ビジネス』の2014年秋季号から「大特集|ソーラーシェアリング−太陽光発電が日本の農業を救う !!」を参考掲載。







「三瀬村 米と発電の二毛作」プロジェクト

佐賀県の棚田で2015年の春から営農型の太陽光発電を実施中だ。2枚の棚田の上部に合計58枚の太陽光パネルを設置して、稲を育てながら電力を作る「二毛作」の実証プロジェクトの1年目の結果は米の収穫量に影響が出ることはなく、発電量も想定どおりに推移。この「米と発電の二毛作」に取り組む棚田は、山に囲まれた佐賀市の三瀬村(みつせむら)にある。段になった2枚の棚田の上部に太陽光パネルを設置して、稲の生育状況と発電事業の可能性を検証するプロジェクトだ。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が福岡県の福永博建築研究所と共同で2016年度まで実施。
この棚田では5月中旬に田植えを済ませて、稲が太陽光を浴びながら順調に成長した(図2)。太陽光パネルは1.8メートルの間隔を空けて設置することで、稲にも1日あたり9時間以上は太陽光が当たるように計算されている。田植えから5カ月が経過した10月中旬には、予定どおり収穫を終えて二毛作を果たす。

収穫した稲は九州大学の研究室で検査を実施した。棚田の中でも太陽光パネルの影が生じる「影区」と影ができない「対照区」に分けて、1株の稲からとれる米の重量を比較する方法だ。その結果、1枚の棚田では影区の収穫量が11%多く、もう1枚の棚田では10%少なかった。稲作で1割程度のばらつきは誤差の範囲とみなせるため、太陽光パネルが悪影響を及ぼすことはなかったと結論(下図)。

三瀬村の棚田で実施する太陽光発電の特徴は、稲作の状況に合わせて太陽光パネルの高さを変えられる点にある。稲は伸びても高さが1メートル以下に収まることから、通常は太陽光パネルを2メートルの高さにセットしている。ただし収穫時に使う大型のコンバインは運転者が乗ると2.6〜2.7メートルの高さになる。太陽光パネルを3メートルまで引き上げれば、コンバインが下を通って稲を刈り取る(下図)。高さの調整は棚田の中に設置した支柱に付いているチェーンを使って操作する仕掛けになっている。太陽光パネルを固定しているワイヤーをチェーンで上げ下げする。シンプルな仕組みだが、市販の部材を使ってコストが安く済むことを重視した。

年間の発電量は4世帯分

2枚の棚田に設置した太陽光パネルは合計で58枚あり、発電能力は14.45kW(キロワット)。7月に九州電力の送配電ネットワークに接続を完了して電力の供給を開始。11月までの発電量は1日あたり40〜48kWh(キロワット時)で、単純に計算すると年間で1万6000kWh。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して4世帯分を少し上回る。当初の想定発電量は年間1万5000kWhだった。冬のあいだは日射量が減って発電量は落ちるが、春になると気温の高い夏よりも発電量が多くなる。年間ではほぼ想定通りの発電量を期待できるペースで推移。年が明けて1月20日には九州に雪が降った。三瀬村でも一面が雪景色に変わり、太陽光パネルの上に2センチ程度の雪が積もる(下図)。発電量は一時的にゼロになったが、太陽が照り始める33時間ほどでパネルの雪も溶けて発電を再開した。
尚、プロジェクトの最終年度になる2016年も前年と同様のスケジュールで「二毛作」を実施する予定。このとき、ただし太陽光パネルの高さを3メートルに固定して、稲作に与える影響のほかに風に対する設備の安全性や発電量を検証する予定。




脚注および関連項目


  1. 2016年02月03日:米と発電の二毛作成果報告 福永博建築研究所
  2. 2016年02月03日:「米と発電の二毛作」が順調に進む、収穫量に影響なく電力を供給
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