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Architectural and Algorithmic Solutions for Large-Scale PEV Integration into Power Grids


アンシラリーサービス

 英語でアンシラリー(Ancillary)とは、「補助的な」「付属の」という意味である。電力用語のアンシラリーサービスは、電力品質(周波数や電圧)を維持するために電力系統運用者が日々行っている、周波数制御などの系統運用サービスのことであり、電力ビジネスにとって非常に重要なサービスのことである。
 アンシラリーサービスをおろそかにすると、周波数や電圧が変動し、家庭の照明が明滅したり、モーターを使う工場では製品の品質にムラが発生するなど、様々な悪影響が発生する。極端なケースでは大停電になることすらある。




アンシラリーサービス市場

 かつては、電気エネルギーの供給機能とアンシラリーサービス機能は一体不可分のものとされ、垂直統合型の電力会社がアンシラリーサービスを独占的に担うのが一般的だった。その後、発送電分離を進めてきた海外では、アンシラリーサービス機能を細かく分類し、取引市場を通じて売買する仕組みが発達した。これがアンシラリーサービス市場である。アンシラリーサービス市場の運営は、卸電力取引所ではなく、通常はISOやITOが行う。
  米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)によると、アンシラリーサービスは以下のように細かく分類されている。


 この表を見ると分かるように、すべてのアンシラリーサービスが市場取引に適している訳ではないし、すべての発電所がアンシラリーサービス市場に参加できる訳でもない。例えば、周波数制御市場に参加できるのは、系統運用者からの制御信号に応じて自動的に出力増減できる機能(AFC:Auto Frequency Control)などの特別な能力を持つ発電所だけである。瞬動予備力市場に参加できるのは、短時間で出力を増減できる発電所だけである。加えて、米国では最近、デマンドレスポンス(ネガワット)のアグリゲーターが、負荷削減の応答性が良い需要家を集めてアンシラリーサービス市場に参入するようになっている。ほかに、バッテリーをアンシラリー市場に参加させる動きもある。
 ちなみに、米国東部のISOであるPJMが公表したアンシラリーサービスの取引価格(2010年の平均価格)は、周波数制御市場が約1.8セント/kWh、瞬動予備力市場が約111セント/kWh程度である。
 では、日本ではどうだろうか。現在のところアンシラリーサービス市場と呼べるものは存在しない。日本では、一般電気事業者のみがアンシラリーサービスを提供し、そのコストは電気料金や託送料金の形で広く需要家から回収されている※。

※このほか、電力会社は、自家用発電設備を電力系統に接続する需要家に対して、その発電規模に応じて特別な「アンシラリーサービス料金」を徴収している。





アンシラリーサービス市場がないデメリット

 アンシラリーサービス市場がないということは、一般電気事業者以外の市場参加者にとって、発電設備にアンシラリー機能を装備させようというインセンティブが存在しないことを意味する。
(1)例えば、迅速に出力を変動できる発電所は、そうではない発電所に比べて価値が高いが、電力スポット市場では、kWh単位で計測される電力量だけが取引されるため、価格にはまったく差がつかない。これでは、市場で販売する発電者にとっては、わざわざ高価なアンシラリー機能を付ける気にならない。
(2)また、高速な負荷制御ができる需要家が存在したとしても、その能力を発揮する舞台がないのである。

 これに対し、政府の電力システム専門委員会では、「1時間前市場」や「リアルタイム市場」の創設が議論されてきたが、アンシラリーサービス市場はほとんど話題にならなかった。しかし、将来的に発送電分離に向かうのであれば、いずれは検討すべき課題になるだろう。





脚注及び関連項目





図解|エネルギー用語辞典

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