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宇宙太陽光発電(SSPS)の小窓

   ここでは、宇宙太陽光利用システム(SSPS)を環境工学研究所 WEEFが提唱している「オールソーラシステム構想」の上層構想として位置づけ、さらには、 清水建設の大型プロジェクト、2025年に赤道直下に環境アイランドを浮かべる、 『グリーン・フロート構想』を下層構想と位置づけ、この「小窓」で宇宙太陽光利用システム(SSPS)の現状と課題を俯瞰掲載して行きたいと考えております。 

 宇宙太陽光利用システム(SSPS)は、静止軌道上で太陽光を効率的に集めてエネルギーを生み出す「宇宙太陽光発電所」です。そのエネルギーを地上に送って、電力や水素の形で利用します。SSPSは、宇宙空間に設置する太陽光を集めてマイクロ波やレーザー光に変換して地上に送る発電・送電施設と、それを地上で受ける受電施設で構成されます。
電子レンジや携帯電話などに使われるマイクロ波と、パソコンのプリンターやプレゼンテーションに使うポインターなどに使われるレーザー光では、性質も機能も異なりますが、どちらの方法で伝送をするか、または両方の技術を組み合わせて伝送するかは、まだ決まっていません。 現在、地上での実験をかさね、より効率的な方法を研究しています。
 いずれにしろ、静止軌道上であれば、天候や季節、昼夜にほとんど左右されることなく太陽光が照りつけますので、とても効率よく太陽光エネルギーを集めることができます。エネルギー源が太陽なので、天然ガスや石油などと違って枯渇する可能性がほとんどなく、太陽がある限り続けることができるのです。また、宇宙空間で発電しますから二酸化炭素の排出は受電施設のみであり、非常に少なく、地球環境にも優しいと言えるでしょう。
 宇宙空間における太陽光発電のアイデアが生まれたのは、1968年のことで、アメリカのピーター・グレイザー博士が発案しました。これは、宇宙空間に大型の太陽電池パネルをひろげて発電し、そのエネルギーをマイクロ波に変換して地上に伝送するというものでした。これを受けて、アメリカのNASAとエネルギー省が、具体化に向けた検討を始めたのです。ところが、宇宙太陽光発電所は予算的にかなり大規模なプロジェクトだったため、アメリカでは、レーガン政権時代に、財政難を理由に計画が縮小されてしまったのです。一方、日本では、エネルギー資源が乏しいという自国のエネルギー事情もあったと思いますが、早い段階からSSPSの研究がすすめられて、現在も多くの大学やJAXAで研究が行われています。

 静止軌道上で太陽光を効率よく集光するシステムやエネルギーの無線伝送技術など、SSPSを実現するための技術的な課題はたくさんありますが、原理的には実現可能なところまできていると考えられ、検討段階から技術的な実証段階へと移ったところです。研究者の間では、2030年代の実用化を目標に、世界で初めての1kW級無線送電技術の実証実験準備に着手しました。この点で日本のSSPSの研究は世界をリードしていると言ってもよいでしょう。これは、SSPSの研究を長年継続してきた結果だとされています。
 また、マイクロ波を使った送電については、マイクロ波の送信方向を制御して、静止軌道上から地上にある受電施設に正確に伝送するのはとても難しい技術です。高度36,000kmの軌道上から地上にあるおよそ直径3kmのグラウンドのような平面にマイクロ波を送るのは、小さい針の穴に糸を通すようなイメージです。この技術は日本が最も進んでいると思います。 また、レーザー光を使う場合にも大型の反射鏡によって太陽光を集めますが、この集光部で、太陽光のエネルギーを直接レーザー光の励起エネルギーとして利用するのが特徴です。このため、構造がシンプルにでき、小型軽量化が可能になると期待されています。

 太陽がある限り発電できるという点では、エネルギーの供給に大きく貢献すると思います。私たちの生活に直接役立つという意味では、やはり電力エネルギーとしての需要に十分応えられるシステムです。 また、マイクロ波の受電施設には、レクテナという平板のアンテナを使用し、これによってマイクロ波は電力エネルギーに変換されますが、この技術が災害時などに役立つと思います。例えば、薄くて折りたたみのできるレクテナを、自然災害などで停電してしまった場合に広げて、上空からマイクロ波を受けて、それを電力エネルギーに変換するといった具合です。  さらに、SSPSのような大型の構造物を宇宙で建設するためには、新しい宇宙輸送システムや高性能ロボットが必要になってくると思います。そのための研究開発を進めることで、日本のロケットやロボット技術が進展し、産業界にも貢献するのでしょう。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、マイクロ波のエネルギー強度は太陽光と同じくらいのエネルギーにする予定といわれていまうが、もしも地上にある受電施設からマイクロ波ビームがずれて地上の生物が浴びたとしても、安全性に問題がないように十分な対策をとる必要があります。例えば、いくらマイクロ波が弱いと言っても、長時間人間が浴びたらどのような影響を与えるかといったことが、まだ完全に解明されていないところがありますから、受電施設の周囲の安全を十分に確保するといった運用面での対策は必要です。  またレーザー光に関しても、地上からのガイド信号光を目標にしてレーザー光を伝送し、万が一、送電施設の姿勢がずれたりしてガイド信号光が途切れたら、すぐに伝送をストップするなど、安全策が必要です。

 SSPSについてはまだ基礎研究段階、実証実験など積極的に研究を進めているのが日本だけということもあり、具体的な国際協力の話はまだ進んでいませんが、いざ実現するとなると、資金的にも一国だけでは非常に難しいと思いますので、やはり、国際的なプロジェクトで進めていく必要があります。
  さらに、SSPSの研究で日本が世界をリードしているのは、やはり、長年研究を続けてきからです。
 日本がSSPSの技術を確立できれば、現在輸入に頼っているエネルギー資源を、逆に輸出できる可能性もでてきます。日本が主導となって世界のエネルギー需給に貢献できるようSSPSの技術開発をすすめるとともに。地球温暖化による甚大な環境リスクに備えていくことに期待を寄せるところです。





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