食環境食と科学




遺伝子組み換え食品の真実

推薦の言葉

 一九九六年に米国で遺伝子組み換え作物の商業栽培が始まった時、推進派の人々は多くのメリットをアピールした。たとえば、「遺伝子組み換えは、伝統的な品種改良の延長であり、より精密で安全な技術である」「除草剤耐性の作物には、除草剤を一回使用するだけでよい」「害虫抵抗性の作物には、殺虫剤を使用しなくてすむ」「敗将を皆川する手聞か省け、収穫量も増えるので、農家の利益も増える十それだけではない、「将来は、食品中の栄養素も豊富になるだろう」とまで語っていたのだ。
 ところがそれからト年もたたないうちに、こうした公約は実現できないことが明らかになった。農家は当初から、二回から五回程度、除草剤をまかなくてはな らず、殺虫剤も使う必要があった。それどころか遺伝子組み換え作物は、悪夢のような存在になった、農薬を使っても、雑草や害虫を駆除できなくなったのだ。収穫量も一般の品種と比べて大して変わらず、遺伝子組み換え大豆の収穫量はむしろ減少した。インドで開発・栽培された遺伝子組み換え綿も、同じような問題を抱えて失敗に終わり、アーンドラ・ブラデーシュ州では栽培を禁止した。
 遺伝子組み換え作物が期待したような成果を生まなかったことは、分子生物学について最新の知識をもっている研究者には当然たった。「遺伝子情報は独立した単位であるため、無縁な生物との間でも転移させることができ、導入後の形質を予測できる」といった遺伝子組み換え技術についての認識は、きわめて時代遅れだ。DNAの中の遺伝子は適当に位置しているわけではなく、高度に構造化されている。遺伝子は集合体として影響しあいながら機能しているのだ。相互に協調して働きを制御し、調和を保っている。
 したがってウィルスや細菌、あるいは動物や人間の遺伝子を、作物の遺伝子の適当な位置に導入すれば、遺伝子の機能が破綻することは当然なのである。しかも理由は不明だが、一般的に遺伝子組み換えは突然変異を起こすことがわかっている。つまり導入した作物の中で、何百、何千という変化が起こり、広範囲に悪影響を及ぼしている可能性があるのだ。遺伝子組み換え食品を食べると健康に影響を及ぼす可能性があると、多くの実験が報告しているのも当然の事態なのである。それにもかかわらず、人々の健康と環境を保護する責任のある規制当局は、こうした研究報告を自動的に否定したり中傷するばかりで、問題の原因を徹底的に究明することはしない。
 こうした問題があるにもかかわらず、なぜ遺伝子組み換え作物は、世界の限られた国々では急速に普及したのだろうか。実は、期待通りの成果を生まない欠陥技術を導入させて販売を続けているのは、人為的な力によるものなのだ。巨大企業が政治の力を利用して、偽装と呼ばれるほどの情報操作を駆使して、遺伝子組み換え作物を推進してきたのである。
 本書は、誰も欲しがらない欠陥技術を世界に普及するため、バイオテクノロジし産業と各同政府が実行してきた戦略を専門的に論じている。遺伝子組み換え作物が商品化されてから起きた事件の全体像について、詳細に解説した初めての本である.

 マイケル・アントニウス博士
(ロンドン大学学・キングスカレッシ、ガイズー病院・准教授、分子遺伝学)




著者略歴 アンディ・リーズ Andy Rees

英国の農家に生まれる。環境運動家。家族で3万本の本を管理しながら、野生生物を保護し、世界各地を旅してまわっている。英国のNGO団体「GMウォッチ」発行のウィークリー・メールマガジンの元編集者。
著書に、The Pocket Book ; The Environmental Crisis in a Nutshel l(Zed, 1991)がある。

訳者略歴 白井和宏

1957年、神奈川県横浜市生まれ。中央大学法学部卒、英国ブラッドフォード入学大学院ヨーロッハ政治研究修七課程修了。生活クラブ生協理事神奈川理事,、生活クラブ生協連合会企画部長を経て、生活クラブ・スビリッツ株式会佳代表取締役専務,1990年代後半、日本に遺伝子組み換え食品が輸入され始めた時間から、遺伝子組み換え作物の生産やトレーサビワティ、食品表示についての現地調査のため、アメリカ、オーストラリア、中国、アルゼンチン、インド、イギリス、ベルギー、イタリア等を視察、訳書にA・キンブレル「それでも遺伝子組み換え食品を食べますか?」(筑摩潜房)、D・ウォール:「緑の政治ガイドブック」'(ちくま新川、著書に'「家族に伝える牛・肉問題」(光文社)などがある。




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