生活環境爽香空間マイナスイオン解体新書

Havasu Falls Grand Canyon Arizona USA


【見出し】

1.マイナスイオン
2.マイナスイオン「健康論」の起源」
3.「大気イオン」と国内の空気イオンの生体に対する研究
4.マイナスイオンの効能
5.マイナスイオン発生器
6.マイナスイオン密度の測定
7.医学的実証
8.文献
9.脚注及び関連項目



マイナスイオン

 主に空気中の過剰電子によりイオン化した分子の陰イオンをあらわす和製英語として用いられ、実際には陰イオンとは無関係であり、イオンという科学用語を使用しあたかも科学的に立証されているかのような誤解を故意に与える疑似科学・オカルト・霊感商法として関連物品の販売に使用されているといわれています。本当にそうでしょうか? ここでは"マイナス"の実態に迫り、実際に商品化されているものについて考えを整理・整頓して行きたいと考えています。


商品の背景

 20世紀終わりごろからメディアに頻繁に登場するようになり、1999年から2003年頃に流行し日本の流行語となりました。この頃のマイナスイオンは、一見「科学用語」のようにみえる便利な「マーケティング用語」として、家電製品や衣類・日用雑貨などのキャッチコピーに頻繁に利用され、「バズワード」の一つとなりました。
 なお、家電メーカー13社からはマイナスイオンの定義として「空気中の原子や分子が電子を得てマイナスに帯電したもの」というほぼ共通した回答があり、一部に関しては特性に関する自社の研究データとして蓄積されているといわれます。その家電製品のイメージは「健康によいもの」であり、実態は統一的な定義もなく、健康に関して標榜されたさまざまな効果効能の中には科学的に研究されたものもありますが、実証が不十分であるものが多いとされます。このような現状で、これらの効果効能を謳う商品は薬事法や景品表示法に違反する可能性があると指摘されていますが、マイナスイオンの効果効能を謳う業者や違法表示商品や健康本は後を絶たないようです。科学的な研究が不十分であれば、業者・商品・健康本は科学とは異なる価値や論理を持つ疑似科学、オカルトの一分野として取り扱わなければなりませんね。 


歴史的経緯

 20世紀初頭前後に、ドイツの物理学者フィリップ・レーナルトが、滝で水滴が微細に分裂すると水粒子が摩擦によって空気が負に帯電するレナード効果を発見し、実験室で同様の現象を再現し報告を行いました。ドイツを中心にこの現象の生理や病理との関連が研究され、日本でも1920年代から1930年代に同様の研究がおこなわれるようになったとされています]。
 日本で1922年に出版された『内科診療の実際』で、空気中の陰イオン(英語でaero-anion)を指して「空気マイナスイオン」という訳語が使われ、生理学的作用が報告された。1930年頃には病気に対する症例報告が行われるようになったということです。
 その後、戦争によって研究の進展が停止したものの、20世紀後半に入って再び注目を集めるようになりました。

マイナスイオン「健康論」の起源」

 換気論の分野で、19世紀末から20世紀初頭の欧米で一部の学者(1910〜1920年頃のSteffens、Dessaur)などが負の空気イオン(negative ions、negative air ions)が健康に好影響を与えるとする仮説を主張していましたが、。西川義方らが医学書「空気マイナスイオン」と訳語を記載し、生理学的効果を検証報告したことから国内でも知られるようになったということです。
 1930年代には、空気イオンによる療法として特に日本やドイツで陰イオンと陽イオンの病気が病気にどのような影響を与えるかという研究論文が医学会誌に掲載されました。
 1940年前後には、北海道帝国大学医学部で空気イオンの医学的研究をしていた木村正一らが欧米の学者の説と自身の研究をまとめて出版しましたが、空気イオン説が国内で言われるようになったのは、これらの医学書の記述が発端となったとされています。
 日本以外の国では、 健康機器としてion generating device(イオン発生装置)が、1950年代頃に一時流行しましたが、1960年代初頭には、イオン発生装置や副産物のオゾンに対してアメリカ食品医薬品局(FDA)が警告を出したことにより、イオン発生装置は健康市場から制限を受けることになりました。結果として業者らは、空気清浄機として販売しなければならない状況になり、これらの空気イオン商品は数十年後の1990年代、「マイナスイオン商品」と名称を変えて日本に再登場するようになりました。

マイナスイオンブーム

 1990年代後半から、マイナスイオン商品は散発的に販売されていたが、ブームのきっかけは1999年から2002年にかけて、テレビの情報バラエティ番組「発掘!あるある大事典」がマイナスイオンの特集番組を放送、番組ではマイナスイオンの効能が謳われ、マイナスイオンは2002年の流行語となりました。
 当時の家電市場は不況であり、大手家電各社はなりふりかまわず様々なマイナスイオン商品を販売、その効果効能の実証はされはいません。2002年の家電販売店の店頭は一時マイナスイオン商品で溢れかえる事態となりました。そのため、2002年上半期の日本経済新聞社発表のヒット商品番付では、マイナスイオン家電が小結にランクされた。家電以外でも、繊維製品や雑貨品各社もブームに便乗して、マイナスイオン効果を謳う商品を市場に投入しましたが、これらの商品も臨床実証がされぬまま、情緒的に効果や効能が謳われたといわれます。

景表法改正による取締り強化とブーム沈静化

 2003年になると、景品表示法が改正され商品の表示に対し、合理的な根拠が要求されることとなり、マイナスイオンブームの逆風となり、法施行後、大手家電はマイナスイオン家電のパンフレットから効果効能の記述を削除し、そして販売自体が中止されたマイナスイオン家電も多く出ました。同年、国民生活センターは、マイナスイオンを冠した商品すべてに科学的に健康効果が実証されているわけではないと報告しています。またその年の8月には、マイナスイオンブームの旗手であり、マスコミに頻繁に登場していた堀口昇が経営するメーカーが製造するマイナスイオン器具関係が薬事法違反で行政処分を受けました。
 2004年になると、マイナスイオン関連製品の月別発表件数は最盛期(2002年8月)の1/10以下となり、マイナスイオンブームは沈静化しました。沈静化した後もマイナスイオン製品の効果効能を信じる、あるいは期待する消費者はいますが、効果を実感できなかったという消費者のアンケート結果が公開されたことや、効果の究明が全く不十分と指摘する学識経験者の声が広まり、効果を疑問視する消費者も増えました。
 2006年11月には、東京都は科学的根拠が薄弱なマイナスイオン商品に対して、複数の業者に対し資料提出要求及び景品表示法を守るよう指導を行いました。
 2008年2月には、マイナスイオン等による「自動車の燃費向上グッズ」が効果無しとして、業者19社が公正取引委員会によって排除命令を受けました。現在では、かつてのマイナスイオンのブームは終結しており、大手家電メーカーがマイナスイオンを機能として表示しているものはドライヤー程度となりました。一部の家電業者は現在もエアコン・扇風機・加湿器・除湿機等の商品をマイナスイオン機能付きで販売しています。地方の観光地などでは、ブームの名残りの商品が販売されています。


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「大気イオン」と国内の空気イオンの生体に対する研究

 1922年に空気中の過剰電子によりイオン化した分子の陰イオン(英語でアニオン、anion)を指して、生理学的な研究報告の際に訳語として紹介され、 これが空気マイナスイオンという和製英語が生まれた起源とされます。なお通商産業省の先端技術の紹介文献において、水溶液中のイオンの状態をあらわす用法としても用いられましたが、科学技術用語としては「負イオン」が正しい用法とされています。

マイナスイオン商品

マイナスイオン商品を販売する家電企業

* 「コロナ」 (製品:窓用エアコン) 2010年4月
* 「三洋電機」 (製品:ドライヤー/ヘアカッター | 三洋電機) 2007年12月現在
* 「東芝」 (製品:ドライヤー マイナスイオン除湿機 RAD-80DHX/63DHX(生産終了製品)]) 2007年12月現在
* 「日立製作所」 (製品:ドライヤー イオンケア]、冷蔵庫) 2007年12月現在
* 「テスコム」 (製品:ドライヤー|マイナスイオン]) 2007年12月現在


参考:空気中にイオンを産生する家電を販売する企業

* 「パナソニック」 ナノイー([OHラジカル])(製品:ナノイー発生機、空気清浄機、エアコン、加湿器、洗濯機、ドライヤー、冷蔵庫等) 2009年9月1日<
* 「シャープ」 プラズマクラスター(プラスのイオンとマイナスのイオン)(製品:エアコン等) 2010年4月
* 「東芝」 ピコイオン
* 「東芝キャリア」 スゴイオン(マイナスのイオン)(製品:エアコン) 2010年3月
* 「日立アプライアンス」 イオンミスト(製品:エアコン) 2010年4月
* 「富士通ゼネラル」 「プラズマイオン」(製品:エアコン) 2010年5月
* 「三菱電機」 ピュアミスト(製品:エアコン) 2010年4月
* 「三菱重工」プラズマ4Dイオン(マイナスのイオン)密閉容器内のウイルスの抑制(製品:エアコン) 2010年12月


マイナスイオンの効能

業者の主張

 マイナスイオン商品が標榜する効能としては、精神安定・不眠の改善、アレルギーの抑制・血液浄化といった人体に直接作用するものから、空気浄化、脱臭、除菌といった環境に作用するものなどがあります。
 様々な商品が様々な効能があることを直接・間接に示唆しつつ販売されました。
 これらの効能は実証されていないものが多いため、2003年の景品表示法の改正以降、研究データを持っていない大手メーカーは「マイナスイオン」を宣伝文句としては避けざるをえないという。
 マイナスイオンの疑似科学性を批判してきた統計物理学者の菊池誠は、2005年には「帯電した細かな水滴は加湿効果くらいはあるだろうが、科学的に効果が明らかになっていない商品はニセ科学である」と述べている。
 行政は不実証の効果効能標榜に対し規制取締りを行っているが、特に人体への作用と標榜するものに対しては薬事法違反となります。例えば、2007年に東京都はマイナスイオン関連商品に対して「病気の治療を目的として使用することを標ぼうする場合は医療機器に該当」するとし、薬事法違反を警告しています。また、ここでいう「問題となる標ぼう」について、「血液をサラサラ」、「心臓病の予防精神安定」、「不眠症の解消」、「体細胞の活性化」等の具体的事例を挙げて説明しています。

家電メーカーの研究データ

 2003年に、家電メーカー13社から回答を得たところ、「脱臭」「保湿」「静電気の抑制」「集塵」といった費用・技術的に実証しやすいものは各社実験で確認済みであったり、ドライヤーに関しては松下(現パナソニック)が毛髪水分量や髪をしっとり・サラサラにさせるというデータを、日立製作所が髪の水分保持に関するデータを持っていたと主張があります。

シャープによる除菌効果の検証

 大手家電メーカーのシャープは除菌効果があるイオンを放電する装置を販売している。シャープは、放電により生成した大気イオンに除菌効果があるとし、これを「プラズマクラスター」と名付けてエアコンや冷蔵庫を販売しています。開発者による技報によると、除菌効果は放電で同時に発生したオゾンによるものではなく、マイナスイオンとプラスイオンの反応により生成した活性酸素(OHラジカルなど)のタンパク質変性作用がウイルスを不活性するとしていて 、シャープはマイナスイオンとプラスイオンを放電するプラズマクラスターイオン技術に対して、同社の特許技術である「プラズマクラスター」という登録商標を使用しています。
 「除菌効果の実空間での実証」が開発者以外の第三者によってなされた科学論文は2007年現在のところ存在しないとされています。同社は、広島大学、大阪市立大学、ハーバード大学、ソウル大学など国内外の複数機関で研究を行い効果を実証しているとしています。なお、有効な特許について「特許発明の技術的範囲」に則った説明が景品表示法違反になった例は、未だに存在しません。


マイナスイオン発生器

市販されている発生器の種類

 市場では、マイナスイオンを発生すると称する様々な商品が販売されている。 代表的なものは以下のとおり。

1.コロナ放電方式発生装置
2.電子放射方式発生装置
3.プラズマを利用した発生装置
4.レナード方式発生装置
5.天然鉱石を用いるもの ― トルマリン鉱石等
6.植物の加工品 ― 木炭、竹炭
7.その他 ― 観葉植物(サンセベリア)等

 1〜3はいずれも放電により大気を電離させる。コロナ放電のような無声放電では、人体に有害なオゾンが発生する。
 4はレナード効果(水滴分裂による帯電)によるものである。この場合、負イオン濃度だけでなく、湿度も増加させる。
 5のトルマリンの結晶は、その圧電効果や焦電効果により、衝撃や熱が加えられると大気を電離させて負イオンを発生させる可能性があるが、常時、歪みや熱が加えられなければこの状態は続かず、静止状態では負イオンは発生しない。また粉末状のトルマリンでは電離に必要な電圧が出るとは考えられないとの批判があります。そのため、原料のトルマリン粉に放射性同位元素を混入した商品が存在する。この場合は放射性同位元素から放出される電離放射線により大気を電離させて負イオンを発生させる可能性があるが、同時に低線量放射線の健康影響(被曝)が心配されるなどのリスクも指摘されています。
 7.愛媛大学農学部の仁科弘重教授は、観葉植物とマイナスイオンの濃度の関係について実験を行い、観葉植物の有無、配置によって濃度が変化することを示しています。これに対し、日本機能性イオン協会は「植物の放出エネルギーによるイオンの生成は考えられないとの批判もあります。
 イオンブロアーという静電気の発生を制御する装置があり、ドライヤーや洗濯機などは乾燥による静電気の発生を抑制する目的としては理にかなっています。


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マイナスイオン密度の測定

 発生器の性能を示す指標として、マイナスイオン密度(あるいは濃度)が用いられています。これは「マイナスイオン密度測定器」で測定される値であるが、この装置の多くは、大気イオンの濃度測定法を利用しているが、この測定器は原理的にさまざまな環境因子(温度・湿度・エアロゾル濃度)の影響を受けるため、信頼できるデータを得るためには、科学的な測定技術と知識が必要である。 例えば測定時には湿度が敏感に影響するはずだが湿度の影響をどう取り除いたのかの説明が無いとの意見もあります。高湿度である滝の側や湿気の高い森林の中などでの測定は、測定に影響を及ぼす環境因子をきちんとコントロールしなければ科学的に信頼性のあるデータは得られないされています。

 一部のメーカーは、バークレー大学の作った国際規格である、発生口から1メートル離れた場所で1立方センチあたり10万個以上のマイナスイオンが発生すればイオン発生器という名称が使えるというアメリカでの基準を自主的に採用していました。
 このように信頼性に疑問があるイオン測定データが増え続ける可能性が懸念される状況の中、マイナスイオンブームの最中の2002年に、マイナスイオン業界の支持の元で設立された特定非営利活動法人日本機能性イオン協会(会長 中江茂 東京理科大名誉教授) が利害関係人として、みずから作成した「空気中のイオン密度測定方法」の原案を提出してJIS制定を申し出ました。日本工業標準調査会は提出原案の審議の後、空気中におけるイオン密度の測定方法及びイオン発生器によって生成されるイオン発生量の測定方法として、2006年11月にJIS B9929:2006「空気中のイオン密度測定方法」を制定しました。


特許庁等の対応

 特許庁は、平成17年度特許出願技術動向調査報告書「多機能空気調和機」において、空気調和機の4つの基盤技術の一つに「オゾンやイオン発生などの電気技術」を挙げ、物質富化機能としてマイナスイオンに関する特許が多いことを指摘しています。また、工業所有権情報・研修館は、2004年3月にマイナスイオン発生器の技術動向等を解説した特許流通支援チャート「マイナスイオン発生機」を作成し、マイナスイオン技術の概要、企業等の特許情報等を公開しています。この中で、市場への商品投入後に学術研究が追いかけているのが現状であり、「マイナスイオン発生器の効果については、科学的に完全に解明されていない状況の下で社会的に注目されてきたことにも留意する必要がある」ことを指摘しています。


「マイナスイオン」研究の実態

日本国内

 空気イオンの生理学的研究には、1922年に出版された『内科診療の実際』において、空気マイナスイオンには鎮静作用が、空気プラスイオンには興奮作用があり、血圧、脈拍、呼吸、血糖値、白血球など多くの生理学作用の増減報告がされています。1930年代にもいくつかの例を示せば、血液酵素アミラーゼが陰イオンにより増強され陽イオンは阻害する、マイナスイオン療法は活性酵素を抑制しモルヒネ受容体と結合するため関節炎・打撲・骨折などの炎症を緩和し機能回復を促進する、陰イオンは特に糖尿病患者の血糖値を抑制するといった研究論文があります。
 ブームの最中の2002年を中心には、多くの日本人研究者は「マイナスイオン」という用語を用いて、生体・生物学的影響に関する研究発表を国内の学会で発表しました。論文検索を用いて、題名に『マイナスイオン』を含み、かつ、生体・生物学的影響に関する国内学会発表を検索すると、少なくとも29学会で計56件の発表を確認できるます。筆頭発表者の所属を見ると、大学が37件、その他が19件、産学共同の状況では56件中14件が大学と企業との共同研究であったとされます。
 なお発表年別集計では、1994年が1件、1995-1999年が8件、2000-2004年に46件と大きく増加したが、2005年以降が1件と激減している。このように「マイナスイオン研究ブーム」は現在では収束している。


国外論文誌

 1930年代にはいくつか例をあげれば、軽症の動脈硬化症に対し発作が減り血圧と脈拍が降下する[出典 72]、特に肺結核に対する緒疾患に対して陰イオンが病気に対する抵抗を高める、陰イオンは喘息患者79例中32例が快癒13例が軽癒19例はやや軽快13例は変化なしで陽イオンは疲労感を訴えさえたといった研究論文がある。
 負の大気イオン(negative air ions)の生体・生物学的影響に関する論文(主に国外論文誌に掲載)を、生命科学系文献データベースPubMed(MEDLINE)にてキーワードを"negative air ion(s)" OR "negative ion(s)"で検索し、生体・生物学的影響に関する論文のみ抽出すると、1959年から2007年までの48年間で63件(平均1.3件/年)確認でき、論文誌別にみると、International Journal of Biometeorologyが8件、Biofizikaが4件、Natureが3件(活性酸素による殺菌の研究)、その他(Scienceに1件を含む40誌)に掲載されている。著者の国別を見ると、USAが12件、Russiaが9件、Japanが8件、UKとGermanyが各4件、その他であった。これらの論文のうち、効果に否定的な結論を示す論文は63件中4件あるとされています。
 負の大気イオンの論文は、このように長期間に渡りある程度の量が発表されてはいるが、大気イオンの効果には未解明(再現性の問題、試験方法や評価手法の妥当性の問題、第三者の追試の有無の問題、合理的な説明の問題等・・)の部分が多く、健康作用については疑問視する研究者もおり、大気イオンの効果が医学的に認められているわけでなく、仮説の実証には今後の更なる検討が必要であり、効果の機序を合理的に説明している論文もないといわれている。
 なお、疑似科学の批判者として知られるテレンス・ハインズは1988年発行の自著の中で以下のようにコメントしています。「(要約)空気イオン(air ions)の人間行動への影響を示す研究がいくつかあるが示された効果は小さく、また被験者により正反対の効果をも示す別の研究結果もあり、さらに全く効果が見られないとする別の研究結果もある。よって実商品の応用に使うには無理だ。つまりこの「効果」を「マイナスイオン生成機」の購入正当化の理由にはできない。」


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医学的実証

強く実証されていないマイナスイオンの効能

 根拠に基づいた医療に従えば、イオン化処理した空気で喘息発作が改善したと言説しても、単なる水蒸気や空気と比べて本当に差があるのか等、二重盲検法を用いて臨床実証しなければその言説が科学的に根拠が強いとは言えない。効果効能を謳うためには、新薬の開発時と同様に本格的な臨床試験が必要であるが、そのような実証例はない。
 マイナスイオン商品で医療機器の認可を受けたものは存在しない。従い、マイナスイオン商品で疾病の治療・予防などの効果効能を標榜すると、薬事法に抵触する。実際に、医療機器メーカのセルミ医療器(株)は、2003年8月に薬事法違反で業務停止処分を受けた。


「代替医療」の事例

 以上のように、医学的にはマイナスイオンの効能は実証されていない。しかし実証された療法としてではなく代替医療として自主的に臨床現場で使用が試みられている例がある。なお以下の「療法」は医療機関が自主判断で行っているものであり、厚生労働省が関知する医療行為ではない。
 東京女子医科大学[脚注 27]付属青山自然医療研究所クリニックは「マイナスイオン療法」を行っている[出典 89]。統合医療を実践する上での問題点や本クリニックの実践内容については、日本補完代替医療学会誌に掲載された論文に詳しく書かれている。なお、「マイナスイオン療法」は他の代替医療と同様、健康保険は利かない。
 青木文昭は著書にて、マイナスイオンを増加させることによって数十例の難病が全体あるいは部分的に快復したとしている。
 アメリカのフィラデルフィアのイーストウエスト病院では、マイナスイオン療法により花粉症やぜんそくの63%が全快または部分的な改善を示し、火傷患者の85%に鎮痛剤としてのモルヒネが必要なくなり、138人の外科手術者に対しては57%が痛みをまったく感じないか大幅に減じられた。

 

文献

研究論文

・琉子友男、佐々木久夫『空気マイナスイオン応用事典』人間と歴史社、2002年、ISBN 978-4890071272。書籍情報
・『ラジカル反応・活性種・プラズマによる脱臭・空気清浄技術とマイナス空気イオンの生体への影響と応用』エヌ・ティー・エス、2002年、ISBN 978-4860430085。書籍情報
・イオン情報センター編集『空気マイナスイオンの科学と応用』イオン情報センター、2004年、ISBN 978-4990181901。書籍情報
・渡部一郎「空気中マイナスイオンがヒトへ与える影響の研究の取り組み」『臨床環境医学』11巻2号、63-71頁、2002年。
・琉子友男「体によいマイナスイオン - マイナスイオン研究の歴史と最近の研究動向 -」『放射線と産業』96巻、71-79頁、2002年。
・西岡将輝「マイナスイオンの測定技術と最近の研究動向」『におい・かおり環境学会誌』34巻6号、241-244頁、2003年。 - 大気イオン測定技術に関するまとめ
・安井至「マイナスイオン論争 - 未科学がなぜ大メーカーによって製品化されるのか」『化学』58巻10号、18-22頁、2003年。
・安井至「マイナスイオンとは何か」『月刊理科教室』46巻10号、8-15頁、2003年。
・菊池誠「疑似科学の現在」『科学』76巻9号、902-908頁、2006年。
・小波秀雄「「マイナスイオン」がニセ科学である理由」『化学』62巻4号、22-26頁、2007年。
・松永和紀『メディア・バイアス - あやしい健康情報とニセ科学』光文社〈光文社新書〉、2007年、ISBN 978-4-334-03398-9。

脚注及び関連項目

プラズマクラスター
疑似科学
プロトサイエンス
バイブル商法
大気イオン
カンゲンイオン
空気のビタミン
燃費向上グッズ
固体マイナス水素イオン
酸性食品とアルカリ性食品
バズワード
ミスパイオン
ナノイー




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応用学会

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