507 特許特許研究室最新固体電解質型燃料電池(SOFC)

オールソーラーシステム: Code No.2013.10.08



作成日:2013.10.08|改訂:

特集|最新固体電解質型燃料電池(SOFC)


 FCO Power株式会社(名古屋市千種区、日比野智彦社長、050-3803-4735)は、体積出力密度を1リットル当たり3キロワットと世界最高水準に高めた固体電解質型燃料電池(SOFC)用スタックを開発。燃料極(負極)、空気極(正極)、電解質、セラミックのセパレーターで構成するセルを印刷技術の応用により複数積層し、一体焼結。金属などの支持体が不要なため1セル当たりの厚さは0.3ミリメートルと従来の10分の1程度と、体積出力密度が大きく向上。
 尚、電池が貯蔵できるエネルギーを,電池の体積(外装も含む)で割った値。電池の貯蔵エネルギーは,放電電圧を電流で積分して計算する。
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が策定したSOFCロードマップでは、20〜30年を目標にした小容量システムのスタックの出力密度で、1リットル当たり0.4〜1キロワットを目指している。同社のスタックはこのすでにこの目標値を上回る。また、必要部材や必要部品が少ないため、量産時は1キロワットあたり2万5千円程度まで引き下げることを目指している。


技術開発概要

燃料電池の普及による化石燃料の節約とCO2排出量削減に対する効果は非常に大きい。その中でも、最も発電効率の高い固体酸化物型燃料電池(SOFC)が注目されている。しかしまだ本格的普及に至っていないのは次の三つの理由による。
(1)高コストで経済的メリットがない、
(2)耐久性が十分証明されていない、
(3)体積あたりの出力密度が低く、システム全体が大型化してしまう。
 本開発では、印刷技術を活用して、セラミックスからなるセパレータ層を含め、燃料電池の各層(燃料極、電解質、空気極)を積層し、スタックとして一体焼結する新技術でSOFCセルを実現する。スタックの構造は以下の特徴を有している。
(1)高い緻密性を持ったセラミックスセパレータが一体焼結で形成され、
(2)ガス流路はスタック内に組み込まれ、
(3)ガスバリアがスタックに一体化されている。
 その結果、スタックの厚さは既存技術に比較して1/3〜1/10となり、シンプルな構造で製造工程も少なく製造コストを大きく削減することが可能である。また、高温での一体焼結を拒んできた、各層間の反応による第三の組成層の形成を抑制する技術も開発できたため、性能劣化を生じることなく所望の発電性能を実現できている。本助成では、特にガス透過性の向上を開発目標として実施する。内容的には空気極、燃料極へのガス供給に最適な、一体焼結で形成するガス流路を開発する。
 本技術開発により、低コスト・高体積密度の燃料電池スタックを燃料電池システム製造企業へ提供できるようになり、次世代家庭用燃料電池、大型トラック用補助電源、航空機用補助電源などの市場形成が想定されている。





特開2013-084529|固体酸化物形燃料電池の空気極材料及び固体酸化物形燃料電池

概要

 固体酸化物形燃料電池の空気極材料として、LaxSr1-xMnO3(0<x<1)とCeO2とを含有する材料を用いる。CeO2をLSMに添加することで、LSMに高温安定性を付与するとともに、LSMとYSZなどのジルコニア系酸化物との副生成物であるLZO及びSZOの生成を抑制することができることで、YSZの焼結条件で焼結させるのに適したSOFCの空気極材料を提供する。

図1

背景技術

 固体酸化物形燃料電池(以下、単にSOFCともいう。)は、燃料極、固体電解質及び空気極を備えており、構成材料が全て固体であり、高い発電効率が期待でき、環境保全にも好適である。SOFCの空気極材料としては、ストロンチウムをドープしたランタンマンガナイト(LSM)が広く使われている。LSMは優れた電気伝導性、電極活性及び800℃〜1000℃における耐熱性と化学的安定性を有している。また、固体電解質の材料としては、Y23ドープZrO2(イットリア安定化ジルコニア;YSZ)等のジルコニア系酸化物が使用されている。

 SOFCの構成要素はそれぞれ個別に焼結させながら積層一体化しているのが通常である。これは、それぞれの要素の材料の焼結温度、要素間の反応性及び熱膨張率の差などから共焼結が困難であるからである。
  例えば、固体電解質材料であるYSZなどのジルコニア系酸化物の最低焼結温度は1350℃であるが、空気極材料であるLSMは1100℃以上の高温下では、ジルコニア系酸化物との接触界面においてランタンジルコネート(La2Zr2O7;LZO)やストロンチウムジルコネート(SrZrO3;SZO)などの反応物を生成することがわかっている。これらは電気化学的特性に劣るほか、LSMとジルコニア系酸化物との剥離の原因ともなる。
 高温でのLSMとジルコニア系酸化物とのこうした好ましくない反応を抑制するためのいくつかの試みがなされている。一つは、Gd2O3ドープCeO2(GDC)をLSMとYSZとの間に介在させることである(非特許文献1)。また、他の一つは、空気極としてLSMとYSZとの混合物を用いることであり(非特許文献2)、さらに他の一つは、LSM中のSr量を最適化することである(非特許文献3)。

【非特許文献1】J. Power Sources, 195, 6468, (2010)
【非特許文献2】Solid State Ionics, 139 1,(2001)
【非特許文献3】J. Am. Ceram. Soc., 82, 721, (1999)

発明が解決しようとする課題

 しかしながら、上記のいずれの方法でも、LSMの焼結温度をジルコニア系酸化物の最低焼結温度である1350℃には到達させることはできなかった。したがって、現状において、SOFCの構築にあたり、SOFCの電気的特定を維持しつつLSMとジルコニア系酸化物を含む固体電解質との共焼結を実現することは困難であった。
 そこで、本発明では、YSZの焼結条件で焼結させるのに適したSOFCの空気極材料及び該空気極を備えるSOFCを提供することを、一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、空気極材料について種々検討したところ、CeO2をLSMに添加することで、LSMに高温安定性を付与するとともに、LSMとYSZなどのジルコニア系酸化物との副生成物であるLZO及びSZOの生成を抑制することができるという知見を得た。そして、こうした空気極材料を用いてジルコニア系酸化物との共焼結を経てSOFCを作製することで、出力密度に優れたSOFCを得られるという知見も得た。本発明によれば、以下の手段が提供される。

(1)固体酸化物形燃料電池の空気極材料であって、
LaxSr1-xMnO3(0<x<1)とCeO2とを含有する材料。 (2)0.6≦x≦0.8である、(1)に記載の材料。
(3)0.6≦x<0.8である、(2)に記載の材料。
(4)0.6≦x≦0.75である、(3)に記載の材料。
(5)CeO2をLaxSr1-xMnO3に対して4モル%以上12モル%以下含む、(1)〜(4)のいずれかに記載の材料。 (6)YSZとの共焼結用である、(1)〜(5)のいずれかに記載の材料。
(7)燃料極と、固体電解質と、空気極と、を備え、
前記固体電解質はYSZであり、
前記空気極はLaxSr1-xMnO3(0<x<1)を含み、かつランタンジルコネート(La2Zr27)を実質的に含有しないか又は前記固体電解質界面に実質的に二次反応相を有しないで、前記固体電解質に接している、固体酸化物形燃料電池。
(8)0.6≦x≦0.8である、(7)に記載の固体酸化物形燃料電池。
(9)固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
空気極材料層及び固体電解質材料層を含む積層体を焼成して共焼結する焼成工程を備え、
前記固体電解質材料は、ジルコニア系酸化物であり、
前記空気極材料は、LaxSr1-xMnO3(0<x<1)とCeO2とを含有する、製造方法。
(10)前記焼成工程は、前記積層体を1300℃以上1500℃以下に加熱する工程である、(9)に記載の製造方法。 (11)前記焼成工程は、燃料極材料層をさらに含む前記積層体を焼成して、共焼結する工程である、(9)又は(10)に記載の製造方法。

表1




特開2013-084528
固体酸化物形燃料電池のガスセパレート材及び固体酸化物形燃料電池

要約

固体酸化物形燃料電池用のガスセパレート材として、マンガンクロマイト(Mn1+xCr2-xO4)(ただし、0≦x≦0.4)を含むようにする。また、ガスセパレート材はマンガンクロマイトをその表層により高濃度で含む。更に、ガスセパレート材はCr濃度が表層から内部に向かって低下する傾斜組成を有することで、焼結性の良好でしかもSOFCのガスセパレート材に求められる特性を充足できるSOFC用のガスセパレート材を提供する。

図1

背景技術

 平板形の固体酸化物形燃料電池(以下、単にSOFCともいう。)は、燃料極、固体電解質及び空気極からなるユニットを単セルと称し、このような単セルをセパレータを介して積層してスタック構造体とすることで直列接続を実現して発電システムを構築している。また、円筒形のSOFCにおいては、インターコネクタを介して円筒内外のガス流路を遮断している。
SOFCにおけるセパレータやインターコネクタなどのガスセパレート材は、ガス遮断性のほか、酸化還元雰囲気に対する化学的安定性及び良好な導電性が求められる。この種のガスセパレート材としては、例えば、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物が用いられている(特許文献1)。
 特許文献1記載のSOFCにおけるセパレータでは、TiやNiを含めることでセパレータの反りや剥がれを防止して気密性の高いセパレータを形成することが記載されている。
【特許文献1】特開2008−226762号公報

発明の概要

 SOFCを効率的に製造することを意図するとき、燃料極、固体電解質及び空気極とともにガスセパレート材を共焼結によって一体化することが望まれる。しかしながら、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物にあっては、燃料極や空気極の焼結条件においては緻密化が困難であった。すなわち、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物の緻密化には、電極材料や固体電解質材料よりも高い温度での焼結が必要であった。また、反りや剥がれの問題もあった。このため、従来のランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物をガスセパレート材として用いて電極材料や固体電解質と共焼結を試みても、上記したSOFCのガスセパレート材に求められる各種特性を充足することが困難であった。
そこで、本発明では、焼結性が良好でしかもSOFCのガスセパレート材に求められる特性を充足できるSOFC用のガスセパレート材、当該ガスセパレート材を備えたSOFC及びSOFCの製造方法を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
 本発明者らは、SOFC用のガスセパレート材として種々検討している中、焼結性の良好なスピネル型結晶構造を有するスピネル型酸化物に着目した。なかでも、金属セパレータと空気極の成分であるランタンマンガナイト(LaMnO3)が反応した結果生じるMn1+xCr2-xO4(マンガンクロマイト)に着目した。検討の結果、マンガンクロマイトは、還元雰囲気における経時的な導電性低下が抑制された化合物であり、かつマンガンクロマイトは、高い密着性でかつ緻密性を兼ね備えた高いガスセパレート材として機能できるという知見を得た。本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)固体酸化物形燃料電池のガスセパレート材であって、
マンガンクロマイト(Mn1+xCr2-xO4)(ただし、0≦x≦0.4)を含むガスセパレート材。
(2)その表層側にマンガンクロマイトを高濃度で含む、(1)に記載のガスセパレート材。
(3)Cr濃度が表層から内部に向かって低下する傾斜組成を有する、(1)又は(2)に記載のガスセパレート材。
(4)ランタンマンガナイト系酸化物〔(La1-yAy)zMnO3〕(ただし、Aは、Ca又はSrであり、0.1≦y≦0.4、0.97≦z≦1)を主成分とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のガスセパレート材。
(5)セパレータである、(1)〜(4)のいずれかに記載のガスセパレート材。
(6)マンガンクロマイト(Mn1+xCr2-x4)(ただし、0≦x≦0.4)を含む固体酸化物形燃料電池のガスセパレート材用のコーティング材。
(7)(1)〜(5)のいずれかに記載のガスセパレート材を備える、固体酸化物形燃料電池。
(8)固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、
燃料極材料層、空気極材料層及び固体電解質材料層、並びに前記燃料極材料層及び/又は空気極材料層に接するガスセパレート材料層を備える、積層体を一括焼成する工程を備え、
前記焼成工程において、前記ガスセパレート材料層には、マンガンクロマイト材料及び/又はマンガンクロマイトを前記積層体の焼成に際してその場生成する組成の材料を含む、製造方法。

実施例

 La0.8Sr0.2MnO3(LSM)とCr23とを、Cr/Cr+Mn(atm%)が8%、13%及び17%となるように配合して混合粉体を調製し、一軸プレス後に、空気中で1350℃で5時間熱処理し、Cr/Cr+Mn(Cr含量)が異なる成形体を作製した。SENにて微構造を観察した。
 結果を図7に示す。図7に示すように、Cr含量の増加に伴い気孔が多数みられるようになったが,Cr=13%までは比較的高い緻密性を有していることがわかった。
また、Cr=13%の成形体のガス透過性を,ガス透過性評価装置を用い室温にて評価した。テストガスには空気、酸素及び窒素を用いた。結果を表1に示す。

表1




特開2012-109251
積層型固体酸化物形燃料電池用スタック構造体、積層型固体酸化物形燃料電池及びその製造方法

要約

 固体電解質4を挟んで対向状に配置される燃料極7を含む燃料極層6と空気極9を含む空気極層8とを含んで積層される複数個の単セルと、積層される前記単セル間に介在されて単セル間を分離するセパレータ14と、燃料極層及び前記空気極層の各層内にあって、少なくとも熱膨張収縮特性に関してセパレータ又は固体電解質と均等であって、燃料極の周縁部又は空気極の周縁部に一体化されるとともに隣接する前記セパレータ及び固体電解質に一体化される非多孔質部を含むシール部10a、10bと、を備え、燃料極及び空気極にそれぞれ供給される燃料ガス及び空気ガスの流通が可能に形成されている、スタック構造体20を用いることで、単セルの機械的強度によらないで全体としてSOFCとしての機械的強度を確保できるスタック構造を備える積層型SOFCを提供する。

図1

【符号の説明】
2 単セル、4 固体電解質、6 燃料極層、7 燃料極、8 空気極層、9 空気極、10a、10b、30a、30b、50a、50b シール部、14 セパレータ、16、36 燃料ガス流通部、17、37a、37b 開口、18、38 空気ガス流通部、19、39a、39b 開口、20、40、60 スタック構造体

背景技術

 固体酸化物形燃料電池(以下、単にSOFCともいう。)は、燃料極、固体電解質及び空気極からなるユニットを単セルと称し、これを積層することで直列接続を実現して発電システムを構築している。十分な発電量を得るためには、単セルを数十枚から数百枚積層する必要があるが、このような高度な積層状態で長期間安定に発電するためには、単セルの機械的強度が十分に高い必要がある。このため、固体電解質の厚さを数百ミクロンとし、この固体電解質の両面に数十ミクロンの燃料極と空気極とを焼き付けるといった電解質支持型セルが多く用いられている。
 また、単セルの発電特性ひいてはスタックの発電特性を向上させるためには、単セルの内部抵抗を低く抑えることが不可欠である。単セルに含まれる要素において、最も抵抗が高いのは電解質であるため、固体電解質を薄膜化することが検討されるようになってきている(例えば、特許文献1)。
 そこで、固体電解質に替えて比較的内部抵抗の小さい空気極又は燃料極を数百ミクロンから数ミリの厚さにして固体電解質を薄くする電極支持型セルも検討されてい(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−346842号公報
【特許文献2】特開2005−85522号公報

発明の概要

【発明が解決しようとする課題】
 しかしながら、電極支持型セルにおいて機械的強度を担う電極は多孔質であり機械的強度を確保するのに必要な厚みは比較的厚くなってしまう。また、固体電解質の薄膜化により固体電解質自体の内部抵抗は低下するものの、反対に電極側の内部抵抗が大きくなり、期待されるような発電特性の向上にはつながっていないのが現状である。
 いずれにしろ、上記した従来技術は、単セル単位で機械的強度を確保しようとするものであった。したがって、単セルを構成するいずれかの要素の厚みによって機械的強度を確保することととなり、加えて、各要素の熱膨張率の相違に起因して耐熱衝撃性も低下してしまっていた。現在までのところ、このような課題を解決する、SOFCにおけるスタック構造は提供されていない。
 そこで、本発明は、単セルの機械的強度によらないで全体としてSOFCとしての機械的強度を確保できるスタック構造を備える積層型SOFCを提供することを一つの目的とする。また、本発明は、さらに、内部抵抗を効果的に低減して良好な発電特性を得ることのできるスタック構造を備える積層型SOFCを提供することを他の一つの目的とする。さらに、本発明は、耐熱衝撃性を向上させることができるスタック構造を備える積層型SOFCを提供することを他の一つの目的とする。さらにまた、本発明は、簡易にスタックできるスタック構造を有する積層型SOFCを提供することを他の一つの目的とする。また、本発明は、こうした積層型SOFCを製造するための製造方法を提供することも一つの目的とする。

解決手段

 スタック構造体としてSOFCとしての機械的強度を確保するようにすることで、単セルにおける機械的強度を確保するための電極や固体電解質などのセル要素の厚みに拘束されずにSOFCとしての構造を構築できるという知見を得た。本発明者らは、こうした知見に基づき本発明を完成した。本発明によれば以下の手段が提供される。
  本発明によれば、固体電解質を挟んで対向状に配置される燃料極を含む燃料極層と空気極を含む空気極層とを含んで積層される複数個の単セルと、積層される前記単セル間に介在されて前記単セル間を分離するセパレータと、前記燃料極層及び前記空気極層の各層内にあって、少なくとも熱膨張収縮特性に関して前記セパレータ又は前記固体電解質と均等であって、前記燃料極の周縁部又は前記空気極の周縁部に一体化されるとともに隣接する前記セパレータ及び前記固体電解質に一体化される非多孔質部を含むシール部と、を備え、前記燃料極及び前記空気極にそれぞれ供給される燃料ガス及び空気ガスの流通が可能に形成されている、固体酸化物形燃料電池用スタック構造体が提供される。
  本発明のスタック構造体においては、前記単セルは、前記固体電解質、前記燃料極層及び前記空気極層の厚みは、それぞれ1μm以上150μm以下であることが好ましい。これらの要素がいずれもこの範囲の厚みであると、容易に一体化して単セルを形成できる。また、この単セルを積層するスタック構造体において強度を確保することができる。また、前記単セルがその内部に機械的強度を高めた単セル支持部を備えていないことが好ましい。機械的強度を高めた単セル支持部を備えていることでかえってスタック構造体を構築しにくくなるからである。また、前記シール部は、前記セパレータ又は前記固体電解質と同一組成を有することが好ましい。さらに、前記シール部は、前記燃料極層又は前記空気極層に及ぶ前記セパレータ又は前記固体電解質の一部を含むことが好ましい。また、以上のスタック構造体は、前記単セルとこれに組み合わされる1個又は2個の前記セパレータとからなるユニットが全体として平板状であってもよい。また、前記セパレータは、ランタン−クロム系ペロブスカイト型酸化物と希土類元素を固溶させたジルコニアとを含むことが好ましい。より好ましくは、これらのみからなる。
  本発明によれば、以上説明した固体酸化物形燃料電池用のスタック構造体を備える、固体酸化物形燃料電池も提供される。また、本発明によれば、以上説明した固体酸化物形燃料電池用のスタック構造体を備える、固体酸化物形燃料電池システムが提供される。
 本発明によれば、固体電解質を挟んで対向状に配置される燃料極を含む燃料極層と空気極を含む空気極層とを含む単セルと積層される当該単セル間をセパレータで分離する積層型固体酸化物形燃料電池の製造方法であって、以下の(a)及び(b);
(a)固体電解質の材料である固体電解質材料又はセパレータの材料であるセパレータ材料を含む第1のシートを準備する工程、(b)燃料極材料又は空気極材料を含む電極材料帯と、少なくとも熱膨張収縮特性に関して前記固体電解質又は前記セパレータと均等な非多孔質部材料を形成するための非多孔質材料帯と、を有する第2のシートを準備し前記第1のシート上に積層する工程、を繰り返し実施して積層体を準備する工程と、前記積層体を熱処理する工程と、を備える、積層型固体酸化物形燃料電池の製造方法が提供される。
 本発明の製造方法においては、前記第2のシートの前記非多孔質材料帯は前記第1のシートと同一組成を有することも好ましい。さらに、前記第2のシートを、テープキャスト法で作製することが好ましい。さらにまた、前記第2のシートを、前記電極材料帯と前記非多孔質材料帯とを同時にキャスティングすることによって作製することも好ましい。さらに、前記(a)工程後前記(b)工程に先立って、燃料ガス又は空気ガスの流通部のパターンを有し前記第1のシート上に前記熱処理によって消失される消失材料からなる消失材料層を付与することも好ましい。さらにまた、前記セパレータ材料は、ランタン−クロム系ペロブスカイト型酸化物と希土類元素を固溶させたジルコニアとを含んでいることも好ましい。
【発明を実施するための形態】
 本発明は、積層型SOFC用のスタック構造体、このスタック構造体を備える積層型SOFC、この積層型SOFCを備えるSOFCシステム及び積層型SOFCの製造方法並びにガスシール帯が一体化した電極用シート及びその製造方法に関する。
 本発明のある種の実施形態は、固体電解質を挟んで対向状に配置される燃料極を含む燃料極層と空気極を含む空気極層とを含んで積層される複数個の単セルと、積層される前記単セル間を分離するセパレータと、を備え、特に、前記燃料極層及び前記空気極層の各層内にあって、少なくとも熱膨張収縮特性に関して前記セパレータ又は前記固体電解質と均等であって、前記燃料極の周縁部又は前記空気極の周縁部に一体化されるとともに隣接する前記セパレータ及び前記固体電解質に一体化される非多孔質部を含むシール部、を備え、前記燃料極及び前記空気極にそれぞれ供給される燃料ガス及び空気ガスを分離させて流通可能に形成したスタック構造を備えることができる。また、本発明の他の実施形態は、このようなスタック構造を意図することができる。
 本発明におけるスタック構造によれば、シール部が熱膨張収縮特性に関してセパレータ又は固体電解質と均等であるほか上記形態を採ることにより、燃料ガスと空気ガスとの流通がシール部によって分離される。また、本発明のスタック構造体によれば、積層される単セル間にわたって、シール部を介して一体化されたセパレータと固体電解質との連続相が形成されるとともに、こうした連続相の間を充填するように燃料極及び空気極が存在される構造を採ることができる。このため、単セル構成要素、すなわち、固体電解質、燃料極及び空気極がいずれも薄膜であって単セル自体において強度が確保されていなくても、積層によってスタック構造体とすることで容易に十分な機械的強度を確保することができる。すなわち、従来の電解質支持型、電極支持型などのように単セルにおいて機械的強度を確保するような単セル支持部を有していなくてもよく、単セルにおいて強度を確保するための各種制限も回避又は低減される。
 また、熱膨張収縮特性に関し固体電解質又はセパレータと均等であるシール部を有しているため、上記した連続相の耐熱衝撃性は良好なものとなるほか、こうしたシール部を燃料極層及び空気極層内に備えるため、燃料極や空気極と固体電解質やセパレータとの熱膨張収縮特性の相違を緩和して耐熱衝撃性を向上させることができる。
 さらに、単セルでの機械的強度を確保するために固体電解質、燃料極及び空気極に要求される厚みに拘束されないため、内部抵抗や熱膨張係数を十分に考慮してこれらの厚みを設定することができる。このため、スタック構造体の内部抵抗を効果的に低減することができ、発電特性の向上が期待できる。また、スタック構造体の耐熱衝撃性を効果的に向上させることもできる。
 また、本発明のスタック構造体によれば、燃料ガス及び空気ガスを分離させて流通可能なシール部を燃料極層内及び空気極層内に備えて積層されているため、簡易にスタックが可能となっている。
 本発明の積層型SOFCの製造方法は固体電解質材料又はセパレータ材料からなる第1のシートと、電極材料帯とシール部材料帯とを有する第2のシートとを準備し、積層することで、セパレータで分離された単セルのスタック構造を形成することができる。したがって、簡易に本発明の積層型SOFCを製造することができる。



特開2011-233476|固体酸化物形燃料電池モジュール

要約

薄肉のセルを積層一体化してなる板状スタック3と、燃料を水蒸気改質する改質器4と、水を気化して改質器4へ送出する水蒸気発生器5と、加熱ガスを送出する加熱装置6とを断熱性筐体2に収容し、改質器4を、間隙21を挟んで板状スタック3の一面と対向するように配置するとともに、水蒸気発生器5を、間隙22を挟んで板状スタック3の他面と対向するように配置し、さらに、加熱装置6を、板状スタック3の側縁と対向する位置から板状スタック3に向けて加熱ガスを送出するように配置し、加熱装置6が送出する加熱ガスが板状スタック3の両面側の間隙21,22を夫々通過するようにすることで、固体酸化物形燃料電池モジュールでは、加熱ガスによって板状スタックを両面側から加熱することで、板状スタックを急速に加熱可能となる。このため、熱容量が小さく、熱し易いという板状スタックの特性との相乗により、短時間での起動が可能となる。
また、起動時には、板状スタック、改質器及び水蒸気発生器の3つを加熱装置によって同時に加熱できるから、起動時の熱効率を向上できるとともに、起動時の熱源を加熱装置に集約することで、固体酸化物形燃料電池モジュールのコンパクト化が可能となる。
また、板状スタックの両面側に改質器及び水蒸気発生器を対向状に配置しているため、板状スタックの両面から放射される多量の輻射熱を無駄なく活用して改質器及び水蒸気発生器を加熱でき、水蒸気改質反応に必要な熱量を効率よく供給可能となる。
このように、本発明によれば、板状スタックを用いて短時間で起動可能な固体酸化物形燃料電池モジュールを実現でき、また、起動時及び発電時における熱効率の向上も可能となる。


図8

【符号の説明】
1 固体酸化物形燃料電池モジュール 2 断熱性筐体  2a ベース部材  2b カバー部材  3 板状スタック 4 改質器  5 水蒸気発生パイプ 6 ガスバーナー 7a〜7d マニホールド 8a〜8d パイプ 9 プロセスガス供給パイプ 21 間隙  22 間隙  23 主空間  24 副空間 25 ガス連通孔  40 中空容器  41 触媒層  46 連結部材  50 外筐体  51 内筐体  52 ノズル孔  53 火口 

背景技術

 高温型燃料電池である固体酸化物形燃料電池は、熱効率の良さから最近低温型燃料電池である高分子型の燃料電池よりも有望視されるようになってきた。然るに、通常体積出力密度が低く(約500W/L)、セラミックの単セルを数百枚積層(スタッキング)して初めて所望の出力が得られるため、特に家庭用のコージェネ用のシステムとして設置しようとした場合にそのシステムのサイズの大きさが課題となり、燃料電池コージェネが普及しないという大きな要因を占めている。これと同時に、価格の高さがCO2を削減するのに有効と言われつつ普及を妨げる最大要因となっている。
 固体酸化物形燃料電池の高い作動温度(500〜1000℃)は、高分子型の燃料電池に比べて、高価な貴金属触媒を使わなくてもよいという利点がある。その半面、起動時には、作動温度に達するまで電池を加熱しなくてはならない。特に、断熱材でもあるセラミック系の材料は加熱され難く、かといって、急激に加熱すれば、外部と内部の熱応力差が大きくなり破壊されてしまうため、作動温度に達するまでの時間、即ち起動時間が長いという欠点がある。一般的に自動車のように短時間で起動させる必要がある燃料電池としては不適であるといわれるのはそのためである。
 システムのサイズに関しては、従来の固体酸化物形燃料電池は、スタックとこれに改質燃料を供給する改質器が個別に設置されており、システム全体を小型化する阻害要因にもなっていた。こうした現状にあって、小型化を目的として、断熱性筐体にスタック、改質器、水蒸気発生器、及び加熱用のガスバーナーとを収容してモジュール化した固体酸化物形燃料電池モジュールが提案されている(特許文献1参照)。かかる固体酸化物形燃料電池モジュールは、板状セルを縦横寸法と同程度かそれ以上に積層したブロック状のスタックを採用したものであり、起動時には、ガスバーナーによってスタックを積層方向から加熱するよう構成されている。
 また、発明者等は、固体酸化物形燃料電池スタックの各構成要素をテープキャスト法などのキャスティングによるシート成形法で作製し、これらを積層して一体焼成する技術を開発している(特許文献2参照)。




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