507 特許特許研究室根菜類栽培技術

NDC分類 626.4 根菜類の栽培技術―関東地域特産野菜を含む


特集|根菜類栽培技術



特開2014-045677|栽培装置

 室内で植物を養液栽培する栽培装置を備える植物工場は、養液量、光照射量、温度及び湿度等の栽培条件を最適化して効率的な栽培を行うことができ、また土を使用せず病害虫対策が不要であり、無農薬又は減農薬で栽培を行うことができることから近年注目を集めている。植物工場においては、スポンジ又はロックウール等の人工培地に植物を支持し、枝葉が延びる側に光源を配置し、根が延びる側に養液を供給して植物の栽培が行われ、一般にレタス、ほうれん草等の葉菜類又はトマト、なす等の果菜類の栽培が行われている。また大根、人参、ゴボウ等の根菜類は葉菜類及び果菜類に比べて薬効成分が豊富であることから需要が高く、効率的な栽培が望まれており、近年では根菜類の栽培にも栽培装置を適用する試みがなされている。特開2005-198537 除湿機能付温室装置には、支持体に上下に貫通した支持穴を開設し、無菌処理した土(培地)を収容する円錐形の栽培ユニットを支持穴に挿入して支持し、根菜類を栽培する栽培装置が開示してある。この栽培装置は支持体の下側(根が延びる側)にミスト状の養液を供給し、支持体の上側(枝葉が延びる側)に光を照射して、根菜類の成長に応じて培地を補充し、効率の良い根菜類の栽培を実現している。

 しかし、前記特許に記載の栽培装置は、栽培している根菜類の主根が肥大して下方に延びるため、支持体の下側に大きな空間を確保し、また支持体の上側には光源を配置する空間を確保する必要がある。また限定された面積内での大量生産の欲求に応えるために、支持板及び栽培ユニットを上下に積層させる必要があるが、積層には限界があり、大量生産の実現は難しい。また支持板及び栽培ユニットを積層した場合、手入れ及び収穫作業等のために高所での作業が必要となり、作業者の負担が重い。従って、限定された面積内における根菜類の大量生産に対応でき、また高所作業を不要とすることができる栽培装置を提供することを目的とする。




実施例

実施の形態1

 以下本発明を実施の形態1に係る栽培装置を示す図面に基づいて詳述する。図1は栽培装置の略示平面図、図2は図1に示すII―II線を切断線とした略示側面断面図である。栽培装置は上下に並設された複数の支持棚1、1、・・・、1を備え、該支持棚1は横向きに対向する二つの支持穴1a、1aを備える。複数の支持棚1、1、・・・、1の上下から支持板2、2がそれぞれ突出しており、該支持板2の突出端部にはローラ台3及び該ローラ台3に回転可能に支持されたローラ4が設けてある。
栽培装置は、上下に対向配置された環状をなす二つのレール台6、6と、該レール台6、6の対向面に配してあり、凹部を備える環状のレール5、5とを更に備える。上側のレール5は下部に凹部を形成してあり、下側のレール5は上部に凹部を形成してある。
 前述した各ローラ4は各レール5の凹部に回転可能に嵌合しており、支持棚1はレール5に沿って周方向に移動し、レール5は支持棚1の移動経路をなす。環状をなす移動経路の径方向外側に光源30が設けてあり、該光源30は移動経路の一部に臨ませてある。支持棚1には駆動源8(後述する図6参照)から動力が伝達し、駆動源8の動力によって支持棚1は周方向に移動する。
 環状をなすレール台6の内側には養液を供給する養液供給部20が設けてある。養液供給部20は、養液を貯留するタンク21と、該タンク21の養液を移送するポンプ22とを備える。ポンプ22はタンク21の上方に位置し、揚水管23を介してタンク21に連結している。ポンプ22の吐出側には、横方向及び上下方向に延びたL形の吐出管24が接続している。吐出管24における横方向に延びた部分の端部はポンプ22に接続してあり、吐出管24における上下方向に延びた部分の端部は下方に向けてある。
 吐出管24の下方に延びた部分には、前述した各支持棚1、1、・・・、1の上下位置に対応するように、複数のノズル25、25、・・・、25が上下に並設してある。ノズル25は、支持棚1の支持穴1aに対向する噴射口を有する。ノズル25の下方には、ノズル25から噴射した養液を回収する回収皿26が設けてあり、該回収皿26は戻し管27を介してタンク21に接続されている。回収皿26に回収された養液は、養液の成分を調整する調整部(不図示)を通って、回収ポンプ28(後述する図6参照)によってタンク21に戻る。

   図3は支持棚1及び保持筒10の略示縦断面図である。支持棚1の内側には、養液供給部20側に下降傾斜した細長い円筒形の収容室1bが形成してあり、該収容室1bの両端に支持穴1a、1aが設けてある。両端に開口を有する円筒形の保持筒10が支持穴1aを通して収容室1bに収容してあり、収容室1bに沿って養液供給部20側に下降傾斜している。保持筒10における養液供給部20側の端部は支持棚1から突出しており、回収皿26の上方に位置する。
 保持筒10の内側には養液を保持する保水シート11が設けてある。保水シート11は保水性及び通気性に優れた素材からなり、養液供給部20側を頂点とした錐状をなすように巻回してある。保水シート11における養液供給部20の反対側に培地12が設けてある。培地12は保水シート11の内側に配してあり、培地12には根菜100が植設してある。
 根菜100の主根101はその周囲を保水シート11に覆われ、保水シート11を拡げながら培地12から養液供給部20側に延びることができる。主根101の周面から延びたひげ根102は保水シート11に到達し、養液を吸収することができる。
 次に保持筒10への保水シート11及び培地12の挿入手順を説明する。図4及び図5は保持筒10への保水シート11及び培地12の挿入手順を説明する説明図である。矩形状をなす保水シート11(図4A参照)の一縁部を捩り、錐状をなすように巻回する(図4B参照)。巻回した保水シート11を頂部側から保持筒10の一方の開口に挿入する(図4C参照)。
 そして根菜100の苗を植設した培地12を前記開口から保持筒10内に挿入し(図5D参照)、錐状をなす保水シート11の内側に位置させる(図5E参照)。培地12は保持筒10と略同じ内径を有する円柱形をなし、保水シート11の内側にて係止する。培地12の軸長方向寸法は保持筒10よりも短く、培地12は保持筒10の端部に位置する。なお培地12を押し込んで保持筒10の中途部に位置させてもよい。
 図6は栽培装置の制御部周りの構成を示すブロック図である。栽培装置は制御部50を備えており、制御部50はCPU51(Central Processing Unit)、RAM52(Random Access Memory)、記憶部53及び入出力インタフェース54(入出力I/F)を有している。記憶部53は例えばEEPROM(Electoric Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリから構成される。
 制御部50は、入出力I/F54を介して、支持棚1に動力を供給する駆動源8、ポンプ22及び回収皿26に回収された養液をタンク21に戻す回収ポンプ28に駆動信号を出力する。制御部50は記憶部53に記憶した制御プログラムをRAM52に読出し、栽培装置の駆動を制御する。
 図7は制御部50による栽培装置の駆動制御を説明するフローチャートである。
 制御部50は駆動源8に駆動信号を出力し(ステップS1)、支持棚1をノズル25に対向する位置まで移動させる。そしてポンプ22に駆動信号を出力し(ステップS2)、支持棚1に収容してある保持筒10に所定時間養液を噴射する。
 噴射された養液は保水シート11に浸潤し、保水シート11全体に保持される。保水シート11に保持されなかった養液は、収容室1bの傾斜によって養液供給部20側に流下し、回収皿26に回収される。制御部50は回収ポンプ28に駆動信号を出力し(ステップS3)、回収皿26に回収された養液を戻し管27を介してタンク21に戻す。そして所定時間経過するまで待機し(ステップS4)、ステップS1に処理を戻す。
 なおステップS4における所定時間は、養液の流下が収まるまでの時間又は根菜100の葉に光を照射する時間等を考慮して適宜設定される。
 実施の形態1に係る栽培装置にあっては、根菜100は横向きに延びるので、上下方向に大きな空間を確保する必要はなく、限られた面積に多数の保持筒10を上下に積層し、根菜100を大量生産することができる。また栽培装置の高さが低くとも、例えば作業者の身長と同程度の高さであっても多数の保持筒10を積層させることができ、高所作業は不要となる。
 また保水シート11は一縁部を捩られて錐状になるように巻回され、根菜100の周面に沿って配置されるので、捩った部分を拡げながら、成長する根菜100に養分を供給することができる。養液は保水シート11に保持され、根菜100は保水シート11に保持された養液を吸収して成長することができる。
 また養液供給部20を中心にして保持筒10を放射状に並設し、径方向外側に光源30を配置して、保持筒10を積層配置し、多数の保持筒10を設置することができる。根菜100の枝葉側に光源30が配置されるので、根菜100の光合成を促進させることができ、また根が延びる側から養液が噴射されるので根菜100の根が養分を確実に吸収することができる。また光源30は保持筒10の移動経路の一部に臨ませて設置してあるので、光源30側を昼とし、光源30と反対側を夜として太陽の運行に合わせた環境を造り出し、根菜100の品質向上を図ることができる。
 また保持筒10を周方向に移動させて、各保持筒10に保持された根菜100に養液及び光を順次供給するので、根菜100を短期間で効率よく成長させることができる。また噴射された養液は回収され再利用されるので、養液を無駄なく使用することができる。
 なおロボットハンドにて保持筒10を把持する構成とし、保持筒10にロボットハンドが把持するための突起を設けてもよい。この場合、ロボットハンドによって保持筒10の支持棚1への挿入及び支持棚1からの取り出しが行われる。また支持棚1の内周面は傾斜しているが水平であってもよい。
 レール5及びレール台6は環状に形成されていればよく、円形に限定されない。例えば楕円形に形成してもよい。また保持筒10の内周面を養液供給部20に向けて下降傾斜させてもよい。
 図8は第1の変更形態を略示する側面断面図である。吐出管24は、横方向に延びた部分の中途に蛇腹部24aを有している。吐出管24における上下方向に延びた部分には、支持棚1に向けて突出した複数の分岐管24b、24b、・・・、24bが上下に並設してある。各分岐管24bの先端にはノズル25が取り付けてある。ノズル25は支持棚1に支持された各保持筒10の端部に対向している。
 図示しない駆動部の駆動によって吐出管24は横向きに移動することができる。吐出管24が支持棚1側に移動した場合、ノズル25は保持筒10内に進入する。このときノズル25は保水シート11から離隔している。ポンプ22を駆動することによって、ノズル25から保水シート11に養液が供給される。吐出管24がポンプ22側に移動した場合、ノズル25は保持筒10内から退出する。
 制御部50は図示しない前記駆動部に駆動信号を出力し、吐出管24を移動させてノズル25を保持筒10内に進入させ、養液を保水シート11に供給する。養液の供給終了後、ノズル25を保持筒10内から退出させる。
 第1の変更形態にあってはノズル25を保持筒10内に進入させて、養液供給を確実に行うことができ、養液供給終了後はノズル25を保持筒10から退出させて不要な養液供給を回避することができる。
 またノズル25が保水シート11に接触した場合、ノズル25から噴射されていなくても毛細管現象によってノズル25内の養液が保水シート11に吸収され、養液の供給量を調整することが難しくなるが、第1の変更形態にあっては、保持筒10内にノズル25が進入しても、ノズル25は保水シート11から離隔しているので、このような問題は生じない。
 図9は第2の変更形態に係る保持筒10を略示する断面図である。円筒形をなす保持筒10は、軸長方向に沿った合わせ面10c、10cを有する半円筒形の保持筒半体10aを二つ備えている。保持筒半体10aは合わせ面の近傍に二つの凹部10b、10bを備えている。
 二つの保持筒半体10aは互いの合わせ面10c、10cを突き合わせてある。断面コの字形の二つの連結部材10d、10dが、その両端部を各保持筒半体10a、10aの凹部10b、10bに嵌合させて保持筒半体10a、10aを連結している。
 第2の変更形態にあっては成長した根菜100を収穫する場合、連結部材10dを保持筒半体10aから取り外して保持筒10を軸長方向に沿って分割し、根菜100を取り出すことができるので、根菜100を保持筒10から引き抜く場合に比べて収穫作業の負担を軽減させることができる。
 なお二つの保護筒半体10a、10aは、一方の合わせ面10c側にヒンジを設け、他方の合わせ面10c側のみを連結部材10dで連結してもよい。この場合合わせ面10cの位置を容易に整合させることができ、保護筒10を速やかに組み立てることができる。




実施の形態2

  以下本発明を実施の形態2に係る栽培装置を示す図面に基づいて詳述する。図10は栽培装置の略示斜視図、図11は図10に示すXI―XI線を切断線とした略示側面断面図、図12は支持壁の下部付近を略示する部分拡大断面図である。なお図11において培地10、保水シート11及び根菜100の記載を省略してある。
 栽培装置は、保持筒10を支持する円筒形の支持壁60を備える。支持壁60には、複数の支持穴60a、60a、・・・、60aが千鳥配置してある。各支持穴60aには保持筒10が挿入してある。
 支持壁60の下端部から連結環61が突出している。該連結環61の突出端部に、ローラ63を支持する支持面を下側に有するローラ板62が設けてある。ローラ板62の支持面には、連結環61の径方向を回転軸方向としたローラ63が設けてある。
 ローラ63の下方に環状のレール64が設けてあり、該レール64はローラ63に対向する位置に環状溝部を有する。ローラ63は環状溝部に回転可能に嵌合している。なお支持壁60の外側に、支持壁60の移動経路の一部に臨ませて光源30(図示省略)を配置してある。
 ローラ板62から径方向内向きに、内周面にギヤを形成した円環ギヤ部65が突出している。レール64の内側に上下方向を回転軸方向としたモータ66が設けてある。該モータ66の回転軸には上下方向を軸長方向としたギヤ67が設けてあり、該ギヤ67は円環ギヤ65に噛合している。
 モータ66の回転はギヤ67及び円環ギヤ65に伝達し、ローラ63がレール64の環状溝部を移動して、支持壁60が回転移動する。
 養液供給部20はタンク21の上方に位置する上部タンク28を備えており、揚水管23によってタンク21及び上部タンク28を連結している。揚水管23にはタンク21に貯留した養液を上部タンク28に送出する揚水ポンプ29aが介装してある。
 上部タンク28には吐出管24が接続してあり、吐出管24には上部タンク28に貯留した養液をノズル25に供給する給液ポンプ29bが介装してある。揚水ポンプ29aの駆動によってタンク21から上部タンク28に養液が送出され、貯留する。給液ポンプ29bの駆動によって、上部タンク28内の養液が吐出管24を圧送され、ノズル25から噴射される。
 図11に示すように、一のノズル25の噴射口が保持筒10に対向している場合、これの隣に位置する他のノズル25の噴射口が保持筒10に対向しないように、ノズル25は上下方向に並んでいる。なお支持壁60が回転し、他のノズル25の噴射口が保持筒10に対向した場合、一のノズル25の噴射口は保持筒10に対向しない。ノズル25には図示しない電磁弁が設けてあり、適宜開閉するようにしてある。
 制御部50は、入出力I/F54を介して、揚水ポンプ29a、給液ポンプ29b、モータ66及び前述した電磁弁に信号を出力する。制御部は50はモータ66を回転させて、一のノズル25を保持筒10に対向させる。このとき一のノズル25の隣に位置する他のノズル25は、保持筒10に対向しない。
 そして一のノズル25の電磁弁を開き、揚水ポンプ29a及び給液ポンプ29bを所定時間駆動させて、養液を保持筒10に向けて噴射する。なお他のノズル25の電磁弁は閉じており、他のノズル25からは養液は噴射されない。そして所定時間経過後、モータ66を回転させて、他のノズル25を保持筒10に対向させて、上記動作を繰り返す。
 図13及び図14は保持筒10への保水シート11及び培地12の挿入手順を説明する説明図である。まず矩形状をなす保水シート11を例えば3重の円筒になるように丸め(図13A参照)、丸めた円筒の一端部を保持した状態で他端部を捩り、錐状に形成する(図13B参照)。錐状の保水シート11を頂部側から保持筒10の一方の開口に挿入する(図13C参照)。そして根菜100の苗を植設した培地12を前記開口から保持筒10内に挿入し(図14D参照)、錐状をなす保水シート11の内側に位置させる。
 実施の形態2に係る栽培装置にあっては、根菜100は横向きに延びるので、上下方向に大きな空間を確保する必要はなく、限られた面積に多数の保持筒10を上下に積層し、根菜100を大量生産することができる。また栽培装置の高さが低くとも、例えば作業者の身長と同程度の高さであっても多数の保持筒10を積層させることができ、高所作業は不要となる。
 また保水シート11は錐状に形成され、根菜100の周面に沿って配置されるので、捩った部分を拡げながら、成長する根菜100に養分を供給することができる。養液は保水シート11に保持され、根菜100は保水シート11に保持された養液を吸収して成長することができる。
  実施の形態2に係る栽培装置の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。

符号の説明

1 支持棚(支持部)  1a 支持穴  10 保持筒  11 保水シート 20 養液供給部(養液供給手段)  21 タンク(貯留部)  22 ポンプ 25 ノズル 26 回収皿(回収手段)  27 戻し管(回収手段)  28 回収ポンプ(回収手段)  30 光源  60 支持壁(支持部)  60a 支持穴

 




関連項目及び特許







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