507.2 工業所有権特許研究室


※オールソーラーシステム code No.20140922_01



作成:2014.09.22|改訂:

特開2014-170860
太陽電池、太陽光発電モジュール及び太陽電池の製造方法


要約

第一導電型の単結晶または多結晶からなる珪素基板11と、この珪素基板にpn接合状態で設けられた第二導電型の結晶あるいは多結晶ゲルマニウムからなる第二導電型薄膜13と、この第二導電型薄膜に接続する第一電極14と、前記珪素基板に設けられた第二電極15とを具備することで、太陽電池製造の低コスト化を図るための、太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽電池の製造方法を提供する。




技術背景

図7

 従来、光起電力素子あるいは太陽電池(セル)として、図7に示すように、Siを材料とし、pn接合を原理とした構造が用いられている(非特許文献1、2参照)。
かかる太陽電池は、p型シリコン基板101上に、n型シリコン層102を設け、さらに、反射防止膜103を介して櫛形形状の第1の電極104を設けたものであり、p型シリコン基板101の裏面には、第2の電極105を具備するものである。
 このような太陽電池を製造する場合、(1)まず、p型のシリコン基板101を準備する。シリコン基板101は多結晶でも単結晶型でもよく、その電気抵抗率は1〜10Ω・cm程度とする。シリコン基板101の厚みとして、150〜400μmのものを用いる。(2)このシリコン基板101に表面清浄化と基板表面の結晶欠陥を除くためのエッチング処理を施す。このときエッチング処理で10から20μmほど表層を削る。(3)この後、表層にn型のシリコン層102を気相ドーピング法により形成する。n型シリコン層102の厚みは、0.1から0.5μmとなるようにする。ドーピング濃度は1×1020/cm3程度である。(4)その後、表面に酸化膜を施すが、これは反射防止膜103として機能する。(5)それにメサエッチングを施して、周囲を切り落とし、(6)透明導電膜あるいは金属を表層に形成し、光をより効率よく取り込むため櫛形の第1の電極104とし、(7)裏面の全面に銀などの金属からなる第2の電極105を形成する。この場合、表面に形成される櫛形の第1の電極104が負極、裏面の第2の電極105が正極として機能する太陽電池となる。
 この太陽電池においては、表層のn型シリコン層102とp型シリコン基板101との境界付近、とくにその境界からシリコン基板内部に10μm程度の深さまで空乏層が形成され、空乏層内部に内蔵電界と呼ばれる電界が発生し、この部分に光が入り、そこで光吸収が起こると、発生した電子とホールが電荷分離し、ホールは正極に、電子は負極に回収され、正極と負極間に負荷をつなげると、回収された電荷が負荷電流として流れ、これが発電となる。以上のように製造された太陽電池は、基板の品質にも依存するが、発電効率として5〜20%程度期待できる。
 このような太陽電池として、現在普及の障害になっているのはコストの高さである。コストを下げるために、期待されていることとして、シリコン太陽電池に必要なシリコン基板のコストの低減である。太陽電池用シリコン基板としては、純度が9ナインから11ナイン程度の高純度な基板が用いられている。このような高純度な基板をソーラーグレード基板と呼ばれているが、この製造コストは純化にかかる電力代であるとされ、大きなコスト低減を図るには、純度がソーラーグレード以下の低純度なシリコンを用いるか、あるいは使用するシリコン基板の体積を減らす必要がある。
 さらに、気相ドーピング法により形成したn型シリコン層を多結晶化する場合、1000℃以上の高温で長時間の処理が必要となり、この工程も製造コストに大きな影響を与えている。
 さらに、発電効率を向上することで、実質的に低コスト化を図ることができるのは勿論である。
一方、シリコンよりも小さいバンドギャップを有するゲルマニウムの太陽電池への使用も研究されてきた。しかしながら、シリコン−ゲルマニウム太陽電池では、量子井戸構造をとらないと太陽電池として使用できないとされてきた(特許文献1など参照)。

【特許文献1】特開2002-203977号公報(高効率シリコン−ゲルマニウム太陽電池)
【非特許文献1】太陽エネルギー工学 培風館 1994年 63から78頁
【非特許文献2】高効率太陽電池 NTS出版 2012年 第4章2節 216から221頁




課題

 本発明は上記事情を考慮してなされたもので、太陽電池製造の低コスト化を図るための、太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。

手段

 前記目的を達成する本発明の
(1)第1の態様は、第一導電型の単結晶または多結晶からなる珪素基板と、この珪素基板にpn接合状態で設けられた第二導電型の結晶あるいは多結晶ゲルマニウムからなる第二導電型薄膜と、この第二導電型薄膜に接続する第一電極と、前記珪素基板に設けられた第二電極とを具備することを特徴とする太陽電池にある。
(2)本発明の第2の態様は、前記珪素基板と前記第二導電型薄膜との間に、厚さが0.2nm〜10nmの酸化珪素又はゲルマニウムを含有する酸化珪素からなる酸化膜を具備することを特徴とする第1の態様に記載の太陽電池にある。
(3)本発明の第3の太陽電池は、第一導電型の単結晶または多結晶からなる珪素基板と、この珪素基板にpn接合状態で設けられた第二導電型の結晶あるいは多結晶のシリコンゲルマニウムからなる第二導電型薄膜と、この第二導電型薄膜に接続する第一電極と、前記珪素基板に設けられた第二電極とを具備し、前記珪素基板と前記第二導電型薄膜との間に、厚さが0.2nm〜10nmの酸化珪素又はゲルマニウムを含有する酸化珪素からなる酸化膜を具備することを特徴とする太陽電池にある。
(4)本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様の太陽電池を発電部として複数接続してモジュール化したことを特徴とする太陽光発電モジュールにある。
(5)本発明の第5の態様は、第一導電型の単結晶または多結晶からなる珪素基板に、ゲルマニウム又はシリコンゲルマニウムのアモルファスまたは多結晶の膜を積層する積層工程と、この膜の少なくとも一部の表面に当該膜を第二導電型とする不純物を塗布し500℃〜900℃の範囲の温度で熱処理して結晶化させて第二導電型の結晶あるいは多結晶ゲルマニウムまたは結晶あるいは多結晶シリコンゲルマニウムからなる第二導電型薄膜を形成する熱処理工程と、この第二導電型薄膜上に金属膜または透明導電膜からなる第一電極を設ける工程とを具備することを特徴とする太陽電池の製造方法にある。
(6)本発明の第6の態様は、前記積層工程の前に、前記珪素基板上に厚さが0.2nm〜10nmの酸化シリコン膜を形成する工程を具備し、この酸化シリコン膜上にゲルマニウム又はシリコンゲルマニウムのアモルファスまたは微結晶の膜を積層することを特徴とする太陽電池の製造方法にある。

発明の効果

本発明によれば、新規な太陽電池構造により、結晶化による半導体層形成の工程において、低温短時間で処理が可能になり、製造段階の製造エネルギーを低減でき、 低コストで製造できる太陽電池が実現できる。また、材料コストの安い低純度なシリコン基板を用いて太陽電池を製造することが可能になり、太陽電池全体の製造コストの抑制を図ることができ、また、高純度なシリコン基板を用いれば、発電効率の高い太陽電池とすることができ、発電コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係る太陽電池の概略構成図
【図2】他の実施形態に係る太陽電池の概略構成図
【図3】実施例1の太陽電池の出力電圧と電流密度の関係を示す図
【図4】比較例1の太陽電池の出力電圧と電流密度の関係を示す図
【図5】比較例2の太陽電池の出力電圧と電流密度の関係を示す図
【図6】実施例2の太陽電池の出力電圧と電流密度の関係を示す図
【図7】従来技術に係る太陽電池の概略構成図




実施形態

 本発明の太陽電池は、(1)第一導電型の単結晶または多結晶からなるシリコン基板と、(2)第二導電型の結晶あるいは多結晶ゲルマニウムからなる第二導電型薄膜とのpn接合型の太陽電池である。――中略――第二導電型の結晶あるいは多結晶ゲルマニウムは、シリコン基板上の一部のみに設けてもよいし、全体に設けてもよい。シリコン基板上の一部に設ける場合は、シリコン基板上に結晶あるいは多結晶ゲルマニウム薄膜が設けられ、その一部が第二導電型として機能するようにしてもよいし、一部のみに第二導電型結晶あるいは多結晶ゲルマニウム薄膜が設けられた構成でもよい。ここで、結晶あるいは多結晶ゲルマニウムは、アモルファスではなく、アモルファスを結晶化したゲルマニウムであればよく、結晶型は問わず、多結晶でも単結晶でもよく、結晶型が特定できないようなものでもよい。なお、微結晶とは、微細な結晶であり、X線ピークが結晶よりブロードとなるなどの差異がある。――中略――このように、本発明は、新規なシリコン−ゲルマニウムの異種接合によるpn接合型太陽電池であり、比較的低純度のシリコン基板を用いても、高純度のシリコン基板を用いた場合の発電能力と大きな差がない発電能力が得られるという効果を奏するものである。
因みに、従来のシリコンのpn接合型太陽電池を、純度として7Nから8N程度の低純度なシリコン基板を用いて製造すると、発電性能が著しく失われることが知られている。これは、低純度シリコン基板には、Fe、Ni、Cuなどの遷移金属が含まれ、これら金属がSi結晶中に混入すると禁制帯中に準位を作り、これが再結合中心として働くことになる。この再結合中心は、太陽電池の発電時において、生成された電子とホールの再結合を促し、外部に取り出せる電流を低下させてしまうことになる。
上述したように、結晶あるいは多結晶ゲルマニウムを用いた場合には、このような発電阻害がある程度低減する。また、本発明では、低純度なシリコン基板中の遷移元素に起因する上述した発電阻害をさらに防止するために、pn接合界面に薄い酸化膜を設けた太陽電池を実現した。
 pn接合を原理とした太陽電池においては、pn接合界面はフェルミ準位が禁制帯中央に位置するため、この位置において電子とホール密度が同数となり、ショットキーリードホール理論によれば、再結合速度が最大になる。すなわち、pn接合界面にある。
 しかしながら、pn接合界面に薄い酸化膜を設けることにより、このような再結合を抑制し、発電電流の低下を抑制することができる。このような知見は全く新規なものである。
上述したシリコン基板中に含有される不純物の準位は、ダングリングボンドといわれる未結合手がその一因であるが、薄い酸化膜を挿入すると、未結合手は酸素でおおわれ、不純物準位の形成を抑制し、かかる再結合を抑える働きがあると推測される。また、pn接合界面に設けられた薄い酸化膜は、暗時のpn接合の順方向電流を抑え、太陽電池としての形状因子を向上させる働きがある
 このようにpn接合界面に酸化膜が存在する場合、電子とホールはトンネル効果によって酸化膜を透過することができる。薄い酸化膜をトンネルで横切ることができる確率Tは、次式で与えられる。

式1

 この式で、V0は障壁の平均高さで、酸化膜の場合3eV程度である。Eは電子のエネルギーであり、0とおく。dは酸化膜の厚みで、mは電子の有効質量、エイチバー(h−)はディラック定数である。この式によれば、dが10nm以上になるトンネル確率は限りなく0になり、それ以下でトンネルできることがわかる。トンネル確率が0になると、太陽電池においては内部抵抗が急激に増大し発電動作しなくなる。0.2nmより小さい酸化膜であると、その後の800℃程度の高温処理で還元され、酸化膜自体が失われてしまい、挿入したことによる再結合抑制効果が失われる。よって、酸化膜の厚みは0.2nm〜10nmが好ましい。――中略――(1)まず、第一導電型としてp型を選択し、p型のSi基板を準備する。そして、このSi基板の表面に酸化膜を形成する。この酸化膜は、例えば、フッ化水素酸処理を施し、表面を一度水素化したのち、空気中に24時間放置することで形成される。この酸化工程の代わりに、酸素プラズマ処理あるいは、オゾンなどの酸化性ガスにさらして酸化膜を形成してもよい。何れにしても、Si基板表面に、0.2から10nmの範囲の厚さの酸化膜を形成できればよい。
(2)次に、酸化膜上に、Geを300℃以下の低温で、100〜5000nmの範囲で堆積させる。その後、800から900℃の温度で、例えば、10分程度、窒素雰囲気あるいは真空中で加熱し、堆積したGeを結晶あるいは多結晶に変化させ、これが半導体層として機能させる。このGeはGeを含んだSi膜、すなわち、シリコンゲルマニウム膜(SiGe膜)でも代替できる。
 このように、半導体層をGe又はGeを含んだ膜とすることにより、Geは融点が938℃であるため、800℃程度の低温でも容易に結晶化できる利点がある。これをSiとすると、多結晶化させるために、1000℃以上の高温が必要となり、しかも酸化膜上のSiでは結晶化しにくく、時間が数時間程度必要となるため、製造時間、例えば、1000℃で1時間と長くなり、この程度の時間がかかるとドーピングした不純物が再拡散し、表層の第二導電型層の実質の厚みが増加してしまい、発電効率が劣化するという問題がある。
(3)この工程のあと、Geを含む半導体膜を第二導電型化、すなわち、この場合にはn型化する。具体的には、例えば、Ge表面にPを含む膜を塗布し、800〜900℃の範囲の温度で、例えば、10〜20分程度、真空で加熱することで、PがGe膜中に拡散し、n型化する。この工程により、p型Si基板/薄い酸化膜/n型Ge膜の積層構造、すなわち、境界に薄い酸化膜を含むpn接合を製造することができる。

後の工程は、常法に従い、必要に応じてパターニングした後、n型Ge膜上に第一電極を設け、一方、Si基板に第二電極を設けることにより、太陽電池を製造することができる。 ――中略――本発明の太陽電池においては、Ge又はGeを含む膜の厚さは、100nm以上で、5000nm以下、好ましくは、1000nm以下、さらに好ましくは、500nm以下とするのがよい。Ge又はGeを含む膜が厚くなると、太陽光が、pn接合界面まで届き難く、発電が有効に行われなくなるからである。さらに、100nm以上に限定するのは、Geの結晶化の際に表面に凹凸ができ、その粗さが100nm程度であり、膜厚が100nmを下回ると、凸凹のために極端に薄い層の部分ができ、太陽電池として機能しなくなる傾向となるからである。上記方法において、薄い酸化膜を挿入しない場合、再結合を抑制する効果が失われるが、太陽電池として機能し、この範囲も本発明に包含される。
図2 図2には、酸化膜を具備しない太陽電池の概略構成を示す。図示するように、酸化膜を具備しない以外は、図1の構成と同様であり、同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
 かかる太陽電池10Aにおいても、再結合を抑制する効果が失われるが、この場合でも、Ge膜を低温、短時間に形成できるという利点があり、また、高純度なSi基板を用いなくても、従来のSi系太陽電池と同等以上の効率が得られるという効果を奏し、また、高純度なSiを基板とする場合には、十分な効率を有する太陽電池として機能させることができる。
 何れにしても、このようにSiとGeの異種接合によるpn接合太陽電池とすると、Geを用いることで、800℃という低い温度で且つ短時間に結晶膜を得ることができるという利点がある。すなわち、Siの場合では融点が1410℃であり、より高い温度をかけるか、より長時間、例えば、1000℃で、1〜5時間の熱処理が必要となり、Geを用いることで、処理時間の低減と熱処理に関わる省エネルギーの効果を期待することができる。
何れにしても、このようにSiとGeの異種接合によるpn接合太陽電池とすると、Geを用いることで、800℃という低い温度で且つ短時間に結晶膜を得ることができるという利点がある。すなわち、Siの場合では融点が1410℃であり、より高い温度をかけるか、より長時間、例えば、1000℃で、1〜5時間の熱処理が必要となり、Geを用いることで、処理時間の低減と熱処理に関わる省エネルギーの効果を期待することができる。




実施例1

 Si基板として、Si(100)型単結晶ウェハを準備し、表面の不純物密度が1022/cm2の炭化水素や自然界からの汚れが吸着している基板を模擬低純度基板として準備する。この基板に洗浄処理やエッチングは行わず、この表面に薄い酸化膜を形成する。薄い酸化膜は長時間大気中に放置して形成し、その膜厚は2nm程度である。この基板の純度は7Nから10N程度のものとする。
 この基板に室温あるいは200℃以下でGeを3000nmの厚みで形成する。その後、この基板に875℃で10分程度の熱処理を行う。これでGe膜は多結晶化する。さらに表層のみにリン酸を塗布して、自然乾燥させて、窒素中で875℃、15分のアニールを施す。これにより吸着したPがGe薄膜に拡散し、n型化する。続いて、太陽電池として機能させる領域以外の部分を削除するために、表面にポリイミドテープを貼りつけ、フッ酸と硝酸、酢酸の混合液でエッチングを行う。続いて、表面に櫛形状のAl電極を形成し、裏面に全面電極としてAl層を形成し、電極と半導体との接触抵抗を下げるために、300℃で1時間のアニール処理を窒素中で行う。これで太陽電池用サンプルが完成する。ここで製作した太陽電池の面積は1cm2の大きさである。
 この基板に室温あるいは200℃以下でGeを3000nmの厚みで形成する。その後、この基板に875℃で10分程度の熱処理を行う。これでGe膜は多結晶化する。さらに表層のみにリン酸を塗布して、自然乾燥させて、窒素中で875℃、15分のアニールを施す。これにより吸着したPがGe薄膜に拡散し、n型化する。続いて、太陽電池として機能させる領域以外の部分を削除するために、表面にポリイミドテープを貼りつけ、フッ酸と硝酸、酢酸の混合液でエッチングを行う。続いて、表面に櫛形状のAl電極を形成し、裏面に全面電極としてAl層を形成し、電極と半導体との接触抵抗を下げるために、300℃で1時間のアニール処理を窒素中で行う。これで太陽電池用サンプルが完成する。ここで製作した太陽電池の面積は1cm2の大きさである。
 ここで製作した太陽電池の発電特性として、強度100mW/cm2でスペクトルはAM1.5の模擬太陽光を照射したときの出力電圧と電流の関係を図3に示す。このときの短絡電流密度は34.9mA/cm2で、開放電圧は0.53Vを記録した。このときの発電効率は8.5%であり、模擬低純度基板を用いた場合でも、良好な発電特性が得られていることがわかる。<




比較例1

Si基板として、Si(100)型単結晶ウェハを準備し、事前に表面の化学洗浄を施し、表面の不純物密度を1021/cm2程度に抑制し、表面の酸化膜の膜厚は0.1nm以下に抑えて、太陽電池を形成した。この場合でも、エッチング処理は行わなかった。この基板に室温あるいは200℃以下でGeを3000nmの厚みで形成する。その後、この基板に875℃で10分程度の熱処理を行う。これでGe膜は多結晶化する。さらに表層のみにリン酸を塗布して、自然乾燥させて、窒素中で875℃で15分のアニールを施す。これにより吸着したPがGe薄膜に拡散し、n型化する。続いて、太陽電池として機能させる領域以外の部分を削除するために、表面にポリイミドテープを貼りつけ、フッ酸と硝酸、酢酸の混合液でエッチングを行う。続いて、表面に櫛形状のAl電極を形成し、裏面に全面電極としてAl層を形成し、電極と半導体との接触抵抗を下げるために、300℃で1時間のアニール処理を窒素中で行う。これで太陽電池用サンプルが完成する。ここで製作した太陽電池の面積は1cm2の大きさである。
 ここで製作した太陽電池の発電特性として、強度100mW/cm2でスペクトルはAM1.5の模擬太陽光を照射したときの出力電圧と電流の関係を図4に示す。このときの短絡電流密度は26.2mA/cm2で、開放電圧は0.42Vを記録した。このときの発電効率は4.2%であり、発電の効果が得られていることがわかる。また、実施例1と比較して、Si上に薄い酸化膜がなくなると発電性能が、8.5%から約半分の4.2%に劣化することがわかり、SiとGeとの間に薄い酸化膜を挿入することで、発電性能の向上に功を奏することが分かった。

比較例2

 Si基板として、Si(100)型単結晶ウェハを準備し、表面の不純物密度が1022/cm2の炭化水素や自然界からの汚れが吸着している基板を模擬低純度基板として準備する。この基板に特別な洗浄処理は行わず、この表面に薄い酸化膜を形成する。薄い酸化膜は長時間大気中に放置して形成し、その膜厚は2nm程度である。この基板の純度は7Nから10N程度のものとする。
 この基板に室温あるいは200℃以下でGeではなくSiを3000nmの厚みで形成する。その後、この基板に875℃で10分程度の熱処理を行った。さらに表層のみにリン酸を塗布して、自然乾燥させて、窒素中で875℃、15分のアニールを施す。これにより吸着したPがSi薄膜に拡散し、n型化する。続いて、太陽電池として機能させる領域以外の部分を削除するために、表面にポリイミドテープを貼りつけ、フッ酸と硝酸、酢酸の混合液でエッチングを行う。続いて、表面に櫛形状のAl電極を形成し、裏面に全面電極としてAl層を形成し、電極と半導体との接触抵抗を下げるために、300℃で1時間のアニール処理を窒素中で行う。これで太陽電池用サンプルが完成する。ここで製作した太陽電池の面積は1cm2の大きさである。
 ここで製作した太陽電池の発電特性として、強度100mW/cm2でスペクトルはAM1.5の模擬太陽光を照射したときの出力電圧と電流の関係を図5に示す。この場合、短絡電流密度は0.239mA/cm2を得たが、発電効率は0.001%であり、発電は極めて微弱であった。この場合、Geの代わりにSiを用いたため、875℃で10分の加熱では十分結晶化できなかったためである。この例からも示されるように、Geを用いることで、上記の短い低温での加熱でも太陽電池としての性能を得ることができ、太陽電池製造において省エネルギーの効果があることがわかる。




実施例2

 Si基板として、Si(100)型単結晶ウェハを準備し、表面の不純物密度が1022/cm2の炭化水素や自然界からの汚れが吸着している基板を模擬低純度基板として準備する。この基板に洗浄処理やエッチングは行わず、この表面に薄い酸化膜を形成する。薄い酸化膜は長時間大気中に放置して形成し、その膜厚は2nm程度である。この基板の純度は7Nから10N程度のものとする。
この基板に室温あるいは200℃以下でSiGe膜を3000nmの厚みで形成した。この膜のSiとGeの濃度比はおよそ1:1である。その後、この基板に875℃で10分程度の熱処理を行う。これでSiGe膜は多結晶化する。さらに表層のみにリン酸を塗布して、自然乾燥させて、窒素中で875℃、15分のアニールを施す。これにより吸着したPがGe薄膜に拡散し、n型化する。続いて、太陽電池として機能させる領域以外の部分を削除するために、表面にポリイミドテープを貼りつけ、フッ酸と硝酸、酢酸の混合液でエッチングを行う。続いて、表面に櫛形状のAl電極を形成し、裏面に全面電極としてAl層を形成し、電極と半導体との接触抵抗を下げるために、300℃で1時間のアニール処理を窒素中で行う。これで太陽電池用サンプルが完成する。ここで製作した太陽電池の面積は1cm2の大きさである。
 ここで製作した太陽電池の発電特性として、強度100mW/cm2でスペクトルはAM1.5の模擬太陽光を照射したときの出力電圧と電流の関係を図6に示す。このときの短絡電流密度は14.5mA/cm2で、開放電圧は0.51Vを記録した。このときの発電効率は4.9%であり、模擬低純度基板を用いた場合でも、実用可能な発電特性が得られていることがわかる。




脚注及び関連項目








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