1つの林檎は革命的に世界を変えた。

デジタル革命は地球を救えるか

 デジタル革命は、高度資本主義社会、電子情報通信技術の進展とともに胎動し産み落とされ、現代進行中である。しかし、反面急速に膨張した人類の経済活動は、エコロジカル・フットプリントでの環境容量を遙かに凌いでしまっている。端的な例を示せば、2006年の世界のエネルギー消費量に比べ、通信情報機器の急増により、2025年には9.4倍の4.6兆kWhに達すると見込まれている。1)

日本・世界におけるITの電力消費予測 200805グリーンITイニシアティブ

 つまりは、21世紀の最大の課題は「地球環境ガバナンス」であり、地球環境劣化、人口増加、南北格差拡大等の人類社会の持続可能性(サステナビリティ)の問題を解決しなければ人類が滅亡するような破局を否が応でも想定しなければならない。民主的な社会においては、個々の人々がサステナビリティに関する十分な知識を有して、判断し、行動するのでなければ「地球環境ガバナンス」という目標を達成することは到底不可能だ。このような意味で、人々がいつでもどこでも必要な情報にアクセスでき、リスクと便益とを考慮して意志決定し、行動し、意見を述べ、政策決定に参加し得る高度情報化社会、ユビキタス社会の実現が、人類社会の持続可能性を高める前提となる。で、その核心をなすのが、科学技術コミュニケーション(Science and Technology Communication =STC)2)というわけだが、肝心要の電子情報通信技術等の世界消費エネルギーが「地球環境ガバナンス」を超えるような事態が各地で生じるとも限らないのだが、そこで、従来のフラッシュメモリー、FeRAM(強誘電体メモリー)など半導体以外として、日本半導体「救世主」の期待を担う次世代メモリー「MRAM」の開発が急加速し、スマートフォンやタブレットPCの誕生により消費電力は飛躍的に急増していることに対応し、消費電力をさらに低減できる切り札として注目を集めている。それが、スピントロニクス技術を応用したMRAMという次世代メモリーだ。






磁気抵抗メモリ時代

 磁気抵抗メモリは、磁気を利用した記憶素子。N-Sという磁力極性を利用した記憶媒体(磁気ディスク装置や磁気テープ装置など)ではなく、電子のスピンをメモリ素子として利用するスピントロニクスを採用している。

※Magnetoresistive Random Access Memory, Magnetic Random Access Memory, MRAM

 図 素子の構造

書き込み方式の多様化

電流磁場方式

選択されたビット線とワード線(またはワード線方向に平行した書き込み線)に電流を流し、磁場を発生させる。ビット線とワード線の交点で最も合成磁場が強くなることにより、選択されたアドレスのデータを書き換える方式。

スピン電流方式

電流磁場方式のMTJに、一定方向の電子スピンをもつ電流だけを通過させる膜(スピンフィルタ材料)を付加した構造になっている。選択したMTJへ電流を流すことにより、電流がスピンフィルタ材料を通過し、一定方向に揃えられた電子のスピントルクが、磁性層の磁場方向を変化させる。また、MTJへ逆方向の電流を与えることにより、磁性層の磁場の方向(情報の0か1か)を逆にしている。


MRAMと他メモリとの比較

 以上が磁気抵抗メモリの概要であるが、MRAMの分野における技術開発は、日本が東北大学が多くの特許を持っており、トンネル磁気抵抗を世界に先駆けて実証したのが産業技術総合研究所で最先端開発をリードしている。
 日本の半導体産業はここにきて、一気に右肩下がりの状況にあえいでいるが、MRAMの分野では日本勢は、特許の多くを押さえ、最先端開発で先行し、量産移行や装置の開発でも有利に進めている。また、量産移行についても特に東芝・ハイニックス連合の技術は先行していると見られている。起死回生の逆転をかけて、MRAMおよびこれを応用したシステムLSIの次世代に向けた戦いが、ついに始まった。折しも、サムスンも米国・グランディス社を買収し、450mmウエハーのターゲット材を日本の材料メーカーから調達するなど日本の巻き返しに警戒を緩めていない。3)
 スピントロニクスをベースとするデバイスだけがDRAMやSRAMを置き換えられる可能性を秘めているといわれる。待機電力を99%削減する、あるいはゼロにする可能性がある。スピントロニクスデバイスの構造は絶縁体を強磁性体ではさむサンドイッチ構造であり、電荷を帯びた電子を応用するエレクトロニクスに加え、電子が帯びている磁気であるスピンも利用する原理。
 ただ、これからの課題には微細化対応があり、90nmまではこなせるといわれるが、その後の開発が重要になってくるという。材料面の改良が必要であり、MgOをコバルト/鉄/ボロンでサンドイッチしているのが現状であるが、新材料採用が必要となってくる。下地の材料も含めて様々な開発競争が繰り広げられると診られている。


室温で世界最高(1056%)の磁気抵抗効果を示す素子の開発に成功 2009.7.15 東北大学

 東北大学の大野英男教授は、MRAMだけではなく、それをロジック回路に埋め込んだ不揮発性論理集積回路の実現を目指している。プログラムの実行に当たっては、東北大学を中心としてNECや日立などの6組織がメンバーとして当初から参加し、2011年度からは新たに6企業・組織が加わるなどさらに強力な体制が構築されたという。

 このように、グリーンイノベーションのホープとして期待されているわけだが、選択と集中に謬りがなければリベンジも世界貢献も可能だろうが、現実はどれほどのスピードで開発波及すべきは、まさに「地球環境ガバナンス」に依拠するところである。









有機エレクトロニクス時代

 2012年9月14日、ソニーは導電性に優れる炭素材料の一つであるグラフェンを、ロール・ツー・ロール方式で高品質に大量生産する技術を開発した。作製したグラフェンの大きさは現状で幅21センチメートル、長さ百メートルで、従来の大量生産技術で作られたグラフェンと比較して、最大で約50倍電気を通しやすかった。装置の生産性や膜質などを改良して実用化を目指すことを発表した。

 周知のごとく有機エレクトロニクスは、無機エレクトロニクスに比べ、耐候性、耐久性(長寿命性)、堅牢性が劣るが、可撓性、意匠性、製造コスト、環境負荷の逓減性では圧倒的に優位であることがわかっていたが、ナノカーボンチューブ、グラフェンの登場により基本性能はおろか寿命性においても日々向上してきている。
 ここでは、「特開2012-140308|グラフェン膜の転写方法および透明導電膜の製造方法」に注目し、その実態を考察してみよう。

背景技術

 所謂、グラファイトの炭素原子一層からなるグラフェンは、その高い導電性から透明導電材料や配線材料として期待されている。中でも、熱CVD法により合成したグラフェン膜は、大面積に成膜可能で層数制御も可能であるという点から注目されている。
 熱CVD法によるグラフェン膜の合成方法では、金属触媒基板上にグラフェン膜が形成されるため、このグラフェン膜を金属触媒基板から基板に転写する必要がある。グラフェン膜の転写方法としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いた転写方法や熱剥離テープを用いた転写方法、炭素化触媒膜上にグラフェンシートを形成し、このグラフェンシートにバインダー層を形成し、このバインダー層に基板を接着し、これらを酸溶液に浸漬することとで炭素化触媒膜を除去する方法などがえる。


第1の実施の形態

グラフェン膜の転写方法

 図1A〜Eは第1の実施の形態によるグラフェン膜の転写方法を示す。
 図1Aに示すように、第1の基板11上に一層または複数層のグラフェン膜12を形成する。第1の基板14としては、少なくとも表面に銅やニッケルなどの金属触媒が形成されたものが用いられ、例えば、銅基板やシリコン基板上にニッケル触媒層を形成したものなどが用いられるが、これらに限定されるものではない。グラフェン膜12の合成方法は特に限定されないが、好適には熱CVD法が用いられる。
 次に、図1Bに示すように、グラフェン膜12上に、揮発成分を1重量%未満、好適には0.5重量%以下、より好適には0.1重量%以下含有し、粘着性を有する樹脂層13を塗布する。この樹脂層13の厚さは、この樹脂層13の表面が平坦となるようにするために、好適には例えば20μm以下に選ばれる。また、この樹脂層13の厚さは、十分な接着力を得るために、好適には例えば1μm以上、より好適には2μm以上に選ばれる。樹脂層13は、好適には、例えば室温で2N/m以上の粘着力を有するが、これに限定されるものではない。
 樹脂層13の塗布方法としては、従来公知の方法を用いることができ、必要に応じて選ばれる。塗布方法としては、具体的には、例えば、スピンコート法、浸漬法、キャスト法などや、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法といった各種の印刷法、スタンプ法、スプレー法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプラーコーター法、スリトオリフィスコーター法、カレンダーコーター法といった各種のコーティング法などを用いることができる。  樹脂層13としては、例えば、紫外線(UV)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができ、必要に応じて選ばれる。樹脂層13の物質としては、具体的には、例えば、シロキサン系化合物、アクリル系化合物、エポキシ系化合物などを挙げることができ、これらの中から必要に応じて選ばれる。
 次に、図1Cに示すように、第1の基板11、グラフェン膜12および樹脂層13を樹脂層13側が下になるようにして第2の基板14上に載せ、第1の基板11上に形成されたグラフェン膜12と第2の基板14とを樹脂層13により張り合わせる。第2の基板14としては、所望の基板が用いられる。第2の基板14は、透明基板であっても不透明基板であってもよい。透明基板の材料は必要に応じて選ばれるが、例えば、石英やガラスなどの透明無機材料や透明プラスチックなどが挙げられる。フレキシブルな透明基板としては透明プラスチック基板が用いられる。透明プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルホン類、ポリオレフィン類などが挙げられる。不透明基板としては例えばシリコン基板が用いられる。樹脂層13の種類などに応じて、第1の基板11、グラフェン膜12および樹脂層13を第2の基板14上に載せる前に、第2の基板14の表面を親水性処理してもよい。
 次に、図1Dに示すように、第2の基板14に対して第1の基板11を加圧することにより、樹脂層13の厚さを所望の厚さに減少させる。加圧方法は特に限定されないが、例えば、ロールにより加圧したり、平板を押し付けることにより加圧したりすることができる。この際、加圧は、好適には、厚さの減少に伴って樹脂層13に含まれる気泡が除去されるように行われる。樹脂層13が常温で流動性を有する場合には加圧を常温で行うことができるが、加熱状態でないと流動性が得られない場合には加圧は加熱状態で行う。加圧後の樹脂層13の厚さは、好適には、この樹脂層13によりグラフェン膜12と第2の基板14とが良好な密着性で張り合わせることができる範囲で最小に選ばれる。この樹脂層13の最小の厚さは、例えば1μm以上3μm以下である。
 次に、図1Eに示すように、第1の基板11を除去する。第1の基板11の除去には、好適にはエッチングが用いられる。エッチング方法は、第1の基板11を構成する金属触媒を除去することができる限り特に限定されない。エッチング方法としては、真空装置を用いたドライエッチングとエッチャント(エッチング液)を用いるウェットエッチングとのいずれを用いてもよいが、エッチング効率の観点から、好適にはウェットエッチングが用いられる。ウェットエッチングで用いられるエッチャントは、金属触媒を溶解することができる限り特に限定されない。金属触媒が銅からなる場合、例えば、第1の基板11が銅からなる場合には、エッチャントとしては、リン酸や硝酸などの酸あるいは硝酸鉄や塩化鉄などの酸化還元性のエッチャントを用いることができるが、好適には、後者の酸化還元性のエッチャントが用いられる。これは、酸化還元性のエッチャントを用いる場合にはエッチング時に気泡が発生しないため、グラフェン膜12への欠陥の発生が抑えられるとともに、金属触媒を均一に溶解することができるためである。エッチング速度を大きくするために、好適にはエッチング時にエッチャントの撹拌を行う。エッチングは、硫酸銅水溶液中での電解エッチングを用いてもよい。
 この後、第1の基板11の除去により露出したグラフェン膜12の表面を純水などで洗浄し、乾燥させる。
 以上により、第1の基板11から第2の基板14にグラフェン膜12を転写することができ、グラフェン膜12と第2の基板14とが樹脂層13により張り合わされた構造体が得られる。
 以上のように、この第1の実施の形態によれば、グラフェン膜12と第2の基板14とが樹脂層13により張り合わされるので、第2の基板14に対するグラフェン膜12の密着性が良好である。また、グラフェン膜12と第2の基板14とを張り合わせる際の樹脂層13に含有される揮発成分は1重量%未満と微量であるので、グラフェン膜12と第2の基板14とを張り合わせた後の工程で樹脂層13から揮発する揮発成分は殆どなく、気泡の発生が殆どない。このため、気泡によりグラフェン膜12に欠陥が発生するおそれが殆どない。また、樹脂層13に含有される揮発成分は1重量%未満と微量であるため、大面積にわたって樹脂層13を塗布しても揮発成分により気泡が発生するのを抑えることができ、このため、グラフェン膜の大面積化を図ることができる。また、第1の基板11をエッチングにより除去する際には、グラフェン膜12が樹脂層13を介して第2の基板14により強固に保持されているため、グラフェン膜12への欠陥の発生を有効に抑えることができる。また、エッチング時に、第1の基板11、グラフェン膜12、樹脂層13および第2の基板14の全体を激しく動かしても、剥がれや欠陥の発生を抑えることができるため、例えば、エッチャントを撹拌しながらウェットエッチングを行うことができる。このため、エッチング速度を大きくすることができ、エッチング時間の短縮を図ることができる。また、従来の転写方法では、基板上に形成されたグラフェン膜上に樹脂層が存在することがあるが、この第1の実施の形態によれば、樹脂層13はグラフェン膜12と第2の基板14との間に存在し、グラフェン膜12上には存在しないので、従来の転写方法と異なり、樹脂層の除去工程が不要であり、転写のスループットの向上を図ることができる。
 この第1の実施の形態によれば、第2の基板14として透明基板を用いることにより、グラフェン膜12と第2の基板14とが樹脂層13により張り合わされた構造体からなる透明導電膜を得ることができる。この透明導電膜は、例えば、ディスプレイ、タッチパネル、色素増感太陽電池などに用いることができる(中略)。

グラフェン膜の特性評価

 実施例1、2および比較例1、2のグラフェン膜に対してシート抵抗の面内分布の測定を行った。その結果を図3に示す。
 図3に示すように、比較例1、2のグラフェン膜はシート抵抗が大きく、面内ばらつきも大きいのに対し、実施例1、のグラフェン膜はシート抵抗が小さく、面内ばらつきも小さく、特性が良好なグラフェン膜であることが分かる。また、光学顕微鏡観察を行った結果、比較例1、2のグラフェン膜では、気泡に起因する微小な空隙が観察されたのに対し、実施例1、2のグラフェン膜ではそのような空隙は観察されなかった。
 以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
 例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、プロセス、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、プロセス、形状、材料などを用いてもよい。

【符号の説明】

11…第1の基板、12…グラフェン膜、13…樹脂層、14…第2の基板


Graphene


真空プロセス無しで有機薄膜太陽電池セル

 2012年9月12日に、慶応義塾大学の白鳥世明准教授らの研究チームは、安価な次世代太陽電池として期待されている有機薄膜太陽電池のセルを、真空プロセスなしで作ることに成功した。これまで真空を要していた電極層の形成プロセスについて、張り合わせで形成できる方法を開発しことが報告された。変換効率は約2%。試作したセルは半透明で、裏表両面からの光で発電できるため、新たな用途が期待できる。
 有機薄膜太陽電池は、光を電気に変える光電変換層に有機半導体を使った太陽電池。シリコンなどの無機系ではできない「塗って作る」といった有機化合物特有の特性を生かし、安価な次世代太陽電池として実用化研究が盛んになっている。しかし、光電変換層は塗って作ることはできても、光で生じた電気を取り出す電極層の形成は、蒸着法が主流で真空プロセスが必要になる。  有機薄膜太陽電池は、光を電気に変える光電変換層に有機半導体を使った太陽電池。シリコンなどの無機系ではできない「塗って作る」といった有機化合物特有の特性を生かし、安価な次世代太陽電池として実用化研究が盛んになっている。しかし、光電変換層は塗って作ることはできても、光で生じた電気を取り出す電極層の形成は、蒸着法が主流で真空プロセスが必要になる。
 今回、この電極層を真空プロセスではなく、張り合わせるだけで形成する方法を開発した。電極層は、銀のナノ粒子(ナノは10億分の1)が分散した溶液の上に、導電性高分子のPEDOTとPSS、有機溶媒のDMSOという化合物の混合溶液を塗ったもの。この電極層を光電変換層に押しつけて張る。
 光電変換層には従来の有機薄膜太陽電池でよく使われているP3HTとPCBMという有機半導体を利用した。変換効率はDMSOやP3HT、PCBMの混合比によるが、最大で約2%を示した。
 電極層は透明で、セル全体としても半透明になるため、表と裏の両方から来る光で発電する。研究チームは、住宅や自動車の窓に張り付けた用途を想定している。今後、電極の張り合わせ方を改良して変換効率7―8%を目指す。成果は12日、松山市の愛媛大学で開かれている応用物理学会学術講演会で発表する。






パワー半導体時代

 国内のガソリンスタンドは4万カ所近くある。電気自動車を普及させるためには、急速充電設備を少なくともガソリンスタンドの10分の1に当たる4000カ所にしなければならないといわれる。現在の国内の電気自動車向け充電設備は1300カ所(32.5%→3.25%)にとどまっている。
 日産自動車、住友商事、JX日鉱日石エネルギーなどは先ごろ、共同で電気自動車向けの急速充電設備を2020年までに4000カ所まで増やすと発表した。設置コストは1カ所で400万〜500万円程度と見られ、自動車向け半導体はあまり伸びないのではないかという意見が出てきている。次世代環境車がハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EVというロードマップで進めば、確かに自動車向け半導体は現在の3〜4倍まで市場が膨れ上がるという読みは正しい。ところが、第3のエコカーともいわれるエンジン車が登場し始めた。マツダのスカイアクティブという技術は、その代表例であり、ハイブリッド車でもないのにリッター30km走るという低燃費車を達成している。
 加えて、米国におけるシェールガス革命が進展していけば、石油の代替エネルギーとしてシェールガスが自動車燃料の主役にのし上がることも考えられる。つまりは、シェールガスをはじめとする天然ガスエンジン車が増えてくるのは確実されている。こうした状況の変化により、IGBTをはじめとする自動車向けパワー半導体は、バラ色の成長予想の軌道が描けないともいわれている。
 確かに、自動車産業は世界最大の工業であり、市場規模は少なく見積もっても300兆円あり、ここ10数年のうちに500兆円まで膨れ上がるという予想が出ている。これに対し、IT市場は120兆円で足踏みし、世界的に見ても成熟化を迎えつつあると指摘される。
 日本経済における自動車産業の位置づけも重い。何しろ国内すべての製造業出荷額の約20%が自動車であり、おおよそ60兆円の巨額に上っている。就業人口も全体の約1割を占めている。日本の家電産業は一気に後退している一方で、トヨタの今年の生産台数はブッチギリの世界第1位に返り咲くとの予想が多い。いわば、日本経済は自動車産業のみの一本足打法というアキレス腱をもつ。
 さらに、シェールガスは石油と同じく、バイオマスの基本特性であるカーボンニュートラルではなく、由来が不確定で地球温暖化の切り札とはならない。いいかえれば、二酸化炭素ガス回収システムとセットでなければならないはずで、その使用には慎重ではならなければならないだろう。
 それはそれとして、次世代環境車向けのパワー半導体が、様々な理由で期待値を大きく下回るとしても、パワー半導体全体の市場は、2015年には200億ドルを超えてくることは確実と見られる。ガートナ社予測によれば、2010年段階で140億ドル市場であるから、まさに緩やかな右肩上がりという成長市場なのだが、この予想を下方修正する必要はないと考える向きもある10)
その中で、泉谷渉氏はその最大の理由を「環境エネルギーというビッグマーケットがあるかぎり、IGBTをはじめとするMOS-FET、ダイオードなどのパワー半導体は、その分野で用途も数量も広げていくと見られるからだ。太陽光発電は、太陽電池自体で見ればたかだか6兆〜7兆円のマーケットと見られるが、世界的なメガソーラーブームが巻き起こっている以上、やはり最終的にはかなりの伸びを示すだろう。ここに使われるパワコンが重要であり、IGBTが多く搭載される。つまりは、太陽電池が加速度的に成長していけば、加剰算的にパワコンも伸びるわけであり、IGBTも出荷を増やしていく。また、風力発電も重要な再生可能エネルギーであり、ヨーロッパが一時減速しているとはいえ、これもまた再び成長への足取りを強くしていくことだろう。何しろ、風力発電1基あたりで50発のIGBTを搭載するのだ」と。
 さらに、「新エネルギーの地熱発電も地味ではあるが、徐々に火がついてきた。とりわけ日本は火山列島であり、地熱エネルギー大国の3本の柱のひとつといわれるだけに、今後普及が進むだろう。地熱発電プラントは三菱重工業、東芝、富士電機の3社で、実に世界シェアの70%以上を占有している。地熱発電はヒートポンプとの組み合わせで威力を発揮するわけであり、ここに多くのIGBTが使われていくのだ。
 そのほかにも火力発電所、海水淡水化プラント、高速鉄道などの社会インフラ系の整備が新興国を中心に進んでいくわけであり、ここに使われるパワー半導体の数もバカにならない」と予測する。
 ここで整理すると、期待の柱のひとつである自動車向け半導体が減速したとしても、環境エネルギー系の伸びがある限り、パワー半導体の市場は堅実に伸びていく。そしてまた、パワー半導体の最先端品であるIGBTについては、三菱電機、富士電機、東芝などの日本勢が世界シェアの70%を握っている。要は不意打ちを食らわない経営戦略が必要ということになるが、その存在価値はあくまでも持続可能な社会ということにある。



人間的な要素を反映させる技術開発

親和性情報通信システム

 オンライン検索をすると、利用者の関心の度合いに関係なく、キーワードが含まれるサイトがリストアップされる。こうしたドライなサイバー空間に利用者との関係性や距離感といった人間的な要素を反映させる(=親和性)技術開発が進んでいる。

 京都大学と神戸デジタル・ラボ、電気通信大学が共同で「人とあらゆるものとの適切な距離感の実現」に関する研究を進めている。
 「人と人」、あるいは、「人と場所」、「人とモノ」といった関係を、相互の関係の強さに基づいて表し、それをサービス資源の制御に反映させる仕組みを作るというもの。
 京都大学大学院情報学研究科の新熊亮一准教授によれば、「長年連れ添った伴侶のように、かゆい所に手が届く配慮を情報通信システム上で実現する技術」といわれるもの。  たとえば、この技術を使えば、「よく会う人」、「よく買う商品」、「よく行くお店」といった普段の行動を踏まえて、「その時」、「どこで」、「誰と」、「何をしているか」に合わせて、環境(空調、照明、防犯機能、BGM)を自動制御したり、必要な商品やサービスを先読みしたりといったことが可能になる。

百万の要素の関係性を0.5秒で抽出

 従来、こうしたシステムは、蓄積したデータを個別に照らし合わせ、個々の要素の性質を理解した上でシステムを構築していた。しかし、急速な情報化に伴い蓄積されるデータ量が莫大になった現在、こうした分析をあらかじめ行った上でシステムを構築することは、ほとんど不可能といえる。
 そこで、この研究では、膨大なデータを「基準ノード(今、観測されている要素)」プラス「中心性(その要素の中心的存在がどこか)」という考え方で対象部分を限定し、今、注目すべき関係性を自動的に抽出する方法を構築しようと考えた。
 この方法だと、性質をあらかじめ定義づけておく必要がないため、従来にはなかった関係性なども抽出でき、多様なケースに対応できる。
 これまでのところ、蓄積したデータ(静的データ)から関係性を形成するアルゴリズムと、抽出するアルゴリズムを開発したほか、形成された関係性を保 持・取り出せるストレージ構造を関発した。これにより、標準的なサーバ1台で、100万要素から構成される関係性からの任意のノードの関係性を0.5秒で抽出することができる。なお、クラウドコンピューティングを使えば、そのスケール、性能の更なる向上も可能だという。 

災害時、ボランティアが持つ能力と被災者の二ーズのマッチングなど、さまざまな分野での技術の応用が期待できる

フォーラムで技術用途を議論

 この研究では、主にアルゴリズムの開発を京都大学が担当し、ストレージ構造の開発を神戸デジタル・ラボが担当した。電気通信大学は、ノードとなる実世界のさまざまな情報を取り込むセンシング技術の開発を担当する。
 先に述べた通り、この技術は、莫大な情報のなかから、さまざまな関係性を極めて短時間に抽出することができる点が特徴で、技術の応用分野の可能性は、計り知れない。
 そのため、新熊准教授は、産学が連携して実用化に向けた研究を進める産業フォーラム「モバイルソーシャライズシステムフォーラム」を2011年9月に立ちあげた。この技術に対する企業の関心は高いようで、自動車メーカーから、端末メーカー、AV機器メーカーなどの製造業のほか、システム開発会社や広告代理店、ECサイト運営会社など、さまざまな分野の企業が、このフォーラムに参加している。また、フォーラムを通じた技術の実用化も始まっており、2012年春には、アプリ・スマートが、この技術を使った事典アプリをiPhone向けに発売する予定だ。
 これは、調べた語句と関係性のある語句がネットワーク状に表示されるというもの。
 「普通の辞書のように、"あいうえお順"ではなく、関係性の強いものが近くに表示されるため、直感的に理解しやすい。また、旅をしている時のような発見や気づきがあり、知的好奇心が刺激される」(新熊准教授)。

中小企業が持つ技術を関係性で表現

 もうひとつ実用化が決まっているのが、アルタマネジメントの「テクノチューブ」というサービスだ。これは、中小企業が持つ優れた技術の情報を関係性で表現し、潜在的ニーズとマッチングさせるというもの。優れた技術を持ちながら、その用途が見つけられない中小企業のマーケティング支援ツールとして期待されている。
 こうした実用化と並行し、新熊准教授は、情報通信研究機構(NICT)の委託研究として、基礎技術の更なるブラッシュアップも進めている。  ひとつは、動的なデータ(更新されたデータ)への対応だ。現在までに関発した関係性構築技術は、過去に蓄積された静のデータしか扱うことができないが、関係性は、時間とともに変わっていくことから、データの更新に対応した構築方法が求められる。そこで、新熊准教授は、2013年3月までに、動的なデータに対応したシステムを構築する計画だ。
 もうひとつは、抽出された関係性の評価だ。現在、抽出した関係性の妥当性、正確さといったアウトプットの質は、人間が評価している。しかし、ゆくゆくは、これもシステムの中でできるようにしたい考えで、2014年度中をメドに技術開発を進めていくという。

 


http://cleantechnica.com/2014/01/02/ford-c-max-solar-energi-concept-car-coming-ces-2014/

作成日:2014.01.04|改正日:

太陽電池と車両融合時代

 2014年1月2日、米国の自動車メーカフォードは、ハイブリッド車の"C-Max Solar Energi"のコンセプトを公表13)14)15)。このプラグインハイブリッド車の特徴は、太陽光発電パネルメーカのサンパワー社の単結晶シリコンX21モジュール(300〜350キロワット/1.5平方メートル)をルーフトップに搭載し、プラグイン機能を不要をうたい文句としている。また。太陽光集光器と太陽追尾機構(特許出願)を装備した専用のテラス型車庫が含まれる。これにより毎日4時間のバッテリー充電(8キロワット)、走行距離にして21マイル、家庭用消費電力の4ヶ月分に相当(→二酸化炭素排出量を4トン削減)する電気が供給できると話す。米国内のすべての軽量車を"C-Max Solar Energi"に置き換えると年間の年間の温室効果ガスの排出量の約10億トン削減の相当すると話す。これをまともに受けて削減率を下グラフから計算すると約18.5%となるから驚くべき数字だ。

Model: C-MAX Energi

 また、ルーフトップのに使用している太陽電池(サンパワー社の単結晶シリコンX21-345型モジュール)は東芝に供給していものと同一タイプでメーカの公表データで変換効率は21.5%である12)



 尚、今回発表されたシーマックスシリーズは、"C-Max Energi Solar Powered variant"で、ラスベガスで2014年国際CESで発表されたフォードとサンパワー社の共同プロジェクトの電力網接続不用コンセプトカ開発カーである。

US 7888587 2011.02.15, Modular shade system with solor traking panels
P2013-107554 車両



作成日:2014.07.12|改正日:

7nm以降の微細加工デバイス実現へ

IBMが今後5年間で3000億円を半導体開発に投資

 IBMは、7nm以降の半導体微細加工技術と、シリコンに代わる新材料によるチップデバイス技術の開発を主とした研究開発を実施すると発表した。今後、5年間で30億米ドル(約3000億円)を投資するという。

 今回、実施を決めた半導体チップデバイス関連技術に関する研究開発プログラムは、主に2つのプログラムで構成される。1つは、7nm以降の微細加工技術の確立を目指すもの。もう1つは、物理的な課題を多く抱えるシリコンに代わるデバイス向けの新たな材料に関するもの。IBMは、今後数年間で、14nmや10nmへと半導体加工技術が微細化されるとの見通しを示しつつ、「10年後に7nmあるいはそれ以降に微細化するためには、半導体のアーキテクチャならびに製造向けの新しいツールと手法にかなりの投資とイノベーションが必要になる」とし、10年後の7nmプロセス技術確立を見据えて研究開発を行う見込み。

シリコンに代わる材料

 シリコンを置き換える新材料として、「III-V族半導体」やカーボンナノチューブ、グラフェンなどを候補に開発を進める方針。また次世代低電力トランジスタとして、トンネル電界効果トランジスタ(TFET)の研究を行う。TFETは、トランジスタ中を流れる電流をドライブするためにバンド間トンネル現象の量子力学効果を応用するもので、相補的CMOSトランジスタと比べて100倍の電力低減を達成でき、「CMOSテクノロジーとTFETテクノロジーを融合させることにより、低電力集積回路を向上させることができる」(IBM)とする。その他、光配線技術や新メモリ技術、量子コンピューティング/コグニティブ・コンピューティングを支えるアーキテクチャの研究開発も行う。
 これらの研究開発は、米国ニューヨーク州アルバニーとヨークタウン、カリフォルニア州アルマデン、欧州のIBMの研究員とエンジニアが従事するとしている。
 この背景には、IBMは、2014年に各地の人員を整理するなど業績が芳しくなく、半導体事業では製造工場の売却がうわさされる状況があるなかでの、そして、今回の大型投資の決定がある。




作成日:2014.07.12|改正日:

ビジネスニュース 業界動向:

2015年の半導体製造装置市場、2000年以来2番目の高水準へ

 半導体製造装置/材料関連の業界団体であるSEMIは、2014年年央時点の半導体製造装置市場予測を発表し、2015年の半導体製造装置(新品)販売額が425億米ドルに達するとの見通しを示した。
 半導体製造装置の販売額は、2012年、2013年と2年連続で前年比減となったが、2014年は前年比20.8%増という高い水準での反転が予測された。販売増を引っ張る要因としてSEMIは、「20nm以下の最先端微細プロセス技術関連投資」、「NAND型フラッシュメーカーの『3D NAND』など最先端技術への投資や生産能力増強」、「DRAMでのモバイル用途向け技術アップグレード投資」、「フリップチップ/ウエハーレベルパッケージなど先進パッケージに関する生産能力増強」を挙げている。
 2015年の半導体製造装置販売額についても、「世界のあらゆる地域で投資額の増加を予測している」とし、2014年(予測)比10.8%増の425億米ドルに達すると予想。なお、425億米ドルの市場規模は、過去最大だった2000年の477億米ドルに次ぐ、史上2番目の規模に相当する。

装置種別市場予測

台湾が首位

 地域別では、2014年は「その他の地域」を除いて、2015年は全ての地域で前年比増の成長を予測。2014年、2015年ともに、これまで同様、台湾が世界最大の半導体製造装置市場となる見込み。日本については、2014年は、8.0%増と他地域に比べ低い成長にとどまるものの、2015年は15.6%増と市場平均を上回る予測となっている。

地域別市場予測

"半導体不平等条約後遺症"を克服できるか

 ところで、産経新聞が26日に「半導体"不平等条約"で「失われた10年」恩恵を受けたの韓国勢」との見出しで、この時期に日の丸半導体産業メーカの衰退史の特集に目がとまる。この背景に、米国の対日貿易赤字を食い止めるため円安ドル高是正を図った1985年のプラザ合意がある。プラザ合意以降の円高にあっても日本企業は合理化や海外への工場2013.08.29 極東極楽「原理と現場」 移転などで高い競争力を維持していたために、故ピーター・ドラッガーが敵対的貿易輸出と言わしめたほどに、米国の対日赤字は膨らむ一方だった。そんな中、米国議会は相手国に対する強力な報復制裁を含めた新貿易法・スーパー301条を通過させ、政府に対し対日強行措置を構じる。そして、1989年から1990年にかけて、日米貿易不均衡の是正を目的に日米構造協議が協議され、1994年から1999年にかけ日米包括経済協議として継続協議(「日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組み」)された。
 そうして、日米半導体協定は日の丸半導体の競争力を徐々にそいでいった。日本メーカは危機感を抱きながらも世界を席巻したDRAM(揮発性書き込み記憶素子)に安住、次の成長戦略を描けなかった。10年に及んだ日米半導体協定は平成8(1996)年に終結。そのとき日本メーカーはすでに世界の時流から取り残される。日本製半導体のダンピング輸出防止のため、米国側は日本メーカ・コスト構造の開示を求める。米商務省はそのデータに基づき、メーカごとの最低価格をはじき出し各メーカの輸出価格を決めていく。価格決定権が日本側になく、自由度が完全に奪われたと日立製作所で半導体事業を担っていた牧本次生(76)はこう振り返える。コスト構造の開示により日本メーカの実力は競争相手に丸裸にされたろいうが、このときの米国側は、市場による価格決定と自由競争を不問になりふり構わぬご都合主義に走る。
 事態打開のため、日本側は、貿易問題が民間レベルでこじれた場合に政府間の交渉の場となる「主要国政府会合」の設立や、外国製半導体の購入を支援した半導体ユーザ協議会の解散延期などを提示。最終的に両者が協定終結する(1996年08月02日)。「第2の終戦」と牧本は、米国側の完全勝利に終わった半導体協定終結をこう呼ぶ。日本勢が米国との半導体摩擦に忙殺されていた陰で、1985年にインテルはDRAM事業から撤退、マイクロプロセッサー開発に特化。同じ年に半導体の設計・開発に特化したクアルコムが誕生。後に受託生産で世界を席巻するTSMCも1987年に産声を上げ、日本抜きで次のゲームのルールが練られていたと、当時、東芝の半導体開発部門にいた飯塚哲哉(現ザインエレクトロニクス会長)はそう感じた。技術が汎用化したDRAMに変わる戦略商品の開発に力を注ぐとともに、総合電機メーカーが開発から生産、販売までを手掛ける「垂直統合型」から得意分野に特化する「水平分業型」へ変化していく。
  これに対し、日本勢の動きは鈍く、次の成長戦略を描けないでいたという。官民一体となったプロジェクトで世界トップに立った日本側に、米国側が"官民癒着"を指摘し不公正貿易に対する報復措置を定めた米通商法301条を盾に日米半導体協定を結んだ経緯から官民ともに"思考停止"しそのまま日本勢は失速する。日本メーカの衰退と軌を一にし韓国勢は日米半導体協定締結後からDRAM事業を立ち上げ、投資を集中。韓国製半導体は外国製半導体として日本市場で急伸し、価格設定に苦しむ日の丸半導体の牙城を世界市場を接見していく。この韓国勢躍進に手を貸したのは、日本市場で20%以上の外国製半導体を受け入れる必要があるため、韓国側に技術を供与し多くの日本技術者が韓国側に招かれ週末に海を渡る。これが「半導体不平等条約」の顛末である。




日本の半導体産業の行方

 2013年の世界半導体市場は、史上初めて3000億米ドルを突破した。2014年に入っても好調は続いている。2014年1月の世界市場は対前年同月比で8.8%、同年2月は11.4%増と盛況だが、2014年の半導体業界の動向は、グローバルには16/14nm 製品の生産開始がある。モバイル製品の高性能化・高速化・低消費電力化の激烈な競争の中にあって、16/14nm製品は22/20nm製品以上に先端ファウンドリーへの引き合いが多い。一方で、昨年中に生産開始するはずだった米Intel社の14nmプロセッサが、製造プロセスで発生する欠陥の密度が所定値まで減らせないとの理由で、製造開始時期が延期されている。その量産ラインとして新築した「Fab42 (米国アリゾナ州)」の稼働開始も当分延期となっている。Intel社にとってこのラインのプロセスはFinnFET第2世代に当たる。Finプロセスには慣れているが、アスペクト比のおおきなtall FINの採用で、製造の困難さが増していると推測されており、たとえ技術的な壁は越えることができても、コストが高騰による経済的な壁を突破できるかどうか注目されている。一方で、台湾TSMCは28nmプロセス立ち上げでてこずり、初めから大量注文してきた米Qualcomm社、米NVIDIA社始め大手顧客への納期遅れが発生した。零細顧客と化した日本の携帯電話メーカーは、「Snapdragon」が思うように入手できず、スマートフォンの発売延期や中止に追い込まれたのは記憶に新しい。FinFETの製造経験が全くないTSMCが、20nmプレーナ・プロセスを立ち上げ、すぐさま16nm Finプロセスを前倒しで立ち上げられるかが注目。

イメージセンサーで果敢にリスクを採るソニー

 10年前、CCDを過信していたソニーは、CMOSイメージセンサー事業を最後発で始めた。デジタル・カメラの連写競争にCCDでは太刀打ちできなくなったからだ。しかし、最後発ではまともな戦略では勝ち目がないので、リスク承知で難関の裏面照射型に研究を集中し、ライバルをあっと言わせる逆転ホームランで今日の地位を築いた。今度は製造でもリスクをとって、ダメ押しホームランを打って、おおきく他社に差をつけ首位を固めようとしている。
 ただし、失敗した時のリスクも大きい。ソニーのイメージセンサーはApple社への依存度がきわめて高く、Apple社がクシャミをすればソニーは風邪をひく状態で、薄氷の上の半導体勝ち組である。現に、Intel社が生産調整した昨年初めには売り上げを大きく下げた。他社が、ソニー製のような高い性能をもった廉価イメージャーを出せれば、Apple社はそちらに簡単に乗り換える可能性がある。



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