549 電子工学 549.8 半導体工学 > 549.81 ダイオード




ダイオード

ダイオード(diode)は整流作用(電流を一定方向にしか流さない作用)を持つ電子素子である。最初のダイオードは2極真空管で、後に半導体素子である半導体ダイオードが開発された。今日では単にダイオードと言えば、通常、半導体ダイオードを指す。 1919年、イギリスの物理学者 William Henry Eccles がギリシア語の di = '2'と 英語の electrode = '電極' の語尾を合わせて造語した。

有機半導体とは

  半導体の特性を示す有機材料のことである。無機材料と同様に,正孔をキャリアとして伝導するp型半導体と,電子をキャリアとして伝導するn型半導体がある。有機半導体を使った有機トランジスタの開発が活発化している。デバイス特性についてはシリコンなどの無機材料に比べて劣るものの,軽量,大面積,フレキシブル,印刷が可能などの特徴から電子ペーパーやフレキシブル・ディスプレイなどのユニークな用途が拓けると期待されている。
 有機p型半導体でもっとも代表的なものがペンタセンである。ベンゼン環が五つ結合した構造の低分子化合物である。伝導の原理は,ベンゼン環の二重結合に存在するπ電子が移動することである。これまで有機半導体はシリコンに比べて大幅にキャリア移動度が低いと見られていたが,ペンタセンに工夫を加えることにより,アモルファスシリコン並の0.1〜1cm/Vsのキャリア移動度を持つ化合物も合成されるようになり,一気に開発が活発化している。
 ペンタセンは,真空蒸着法により簡単に薄膜が得られることも,研究人口が多く,特性向上の試みが盛んな理由である。真空蒸着法により得られた薄膜の構造の検討も進んできた。多結晶状態であることが多く,結晶粒界が存在することが分かってきている。
 ペンタセンを塗布できるようにしようという検討も始まっている。例えば旭化成は,ある溶媒にペンタセンを分散させ,窒素雰囲気中で全体を加熱して基板上に塗布することに成功した。試作した有機トランジスタは,トランジスタがオン時とオフ時のソース・ドレイン間電流の比(オン・オフ比)は1×106程度で,真空蒸着法によるペンタセンを使った有機トランジスタとほぼ同等という。
 ペンタセン以外のp型有機半導体としては,ベンゼン環が四つ結合したテトラセン,フタロシアニンフタロシアニン系などが検討されている。 .

塗布に向く高分子半導体

 高分子系の有機半導体も開発されている。低分子に比べて,溶液からの塗布工程に向くという利点がある。インクジェットや輪転機などの印刷プロセスが適応できることから,低コスト化と大画面化が容易になると見られている。
 π電子共役系の導電性高分子であるポリチオフェンやポリフェニレンビニレンを半導体層として使う有機トランジスタの研究が行われている。塗布で製膜するために結晶構造はとらない。このため,キャリア移動度は結晶構造をとる低分子有機半導体よりも低く、10-7〜10-5cm2/Vs程度の試験結果が発表されている。高分子の場合,電子が分子内をホッピングなどによって移動していることから移動度が上がらないと見られている。
 π電子共役系の導電性高分子であるポリチオフェンやポリフェニレンビニレンを半導体層として使う有機トランジスタの研究が行われている。塗布で製膜するために結晶構造はとらない。このため,キャリア移動度は結晶構造をとる低分子有機半導体よりも低く,10-7〜10-5cm2/Vs程度の試験結果が発表されている。高分子の場合,電子が分子内をホッピングなどによって移動していることから移動度が上がらないと見られている。

柔らかいエレクトロニクス

 人と親和性の高いエレクトロニクスを実現するための基板には、大きな面積でも軽く丈夫で割れにくいプラスチック基板が適している。有機物ならば、無機物と異なり耐熱性の低いプラスチック基板上にでも、良質な薄膜を形成することが可能。
※ここでいう有機物とは、炭素(C)を骨格として、その他の元素を結合させた分子のことで、プラスチックやビニールのような樹脂に近い材料である。従来のトランジスタは、無機物であるシリコン(Si:ケイ素)結晶からつくる。このシリコン結晶は、非常に硬い材料だ。一方、有機物は軽く、柔らかい点が特長であり、有機物は人間と親和性の高い柔らかいデバイスに向いた材料と言える。また有機物は通常、電気を通しにくい材料であるが、近年は導電性ポリマーに代表されるように、電気を通す有機物を化学合成によってつくりだすことが可能になってきた。

室温での作製が可能な有機トランジスタ

 有機トランジスタは、その半導体層に有機半導体(上図)を用いたトランジスタである(下図)。半導体として数10 nmの薄膜を用いる場合は、有機薄膜トランジスタ(Organic Thin-Film Transistor:OTFT)とも呼ばれている。仕組みは、通常の無機トランジスタと同様であり、ゲート(gate)電極※にかける電圧を変化させることで、ソース(source)電極およびドレイン(drain)電極間の有機半導体中を流れる電流をオン/オフすることが可能だ。無機トランジスタとの大きな違いの一つは、その作製温度にある。通常無機トランジスタは、500〜1000℃もの高い温度が必要だが、有機トランジスタは室温〜200℃で作製することが可能である。このため、有機トランジスタは、熱に弱いプラスチック上にも形成でき、軽く薄いだけでなく、柔らかく曲げることのできるフレキシブルディスプレイや、フレキシブルセンサーなどのユニークなデバイスの実現が可能なのだ。

有機トランジスタの応用例

 ディスプレイは、人間が情報と関わるために重要なデバイスのひとつである。例えば、現在の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイでは、画像の表示部には有機物を用いているが、その表示部を制御するトランジスタはガラス基板上の無機トランジスタ(シリコンTFT)で形成されており、曲げることは困難である。しかし、そのトランジスタを有機半導体材料で用いてプラスチック基板上につくると、全体が柔らかく、落としても壊れない、丸めたり、畳んだりできるディスプレイが実現できる。ソニーはプラスチック基板上に作製した有機トランジスタにより、フレキシブル透過型液晶ディスプレイ(2005年7月 発表[1])、フレキシブル有機ELディスプレイ (2007年5月発表[2])(図4)巻きとれる有機ELディスプレイ(2010年5月発表[3])(図5)の駆動を実現し、柔らかく、落としても壊れないディスプレイが可能であることを実証している。

エレクトロニクスを印刷する 〜製造方法の革命〜

  有機トランジスタのもう一つの重要な点は、その簡便な製造方法にある。現在、無機トランジスタの製造には、大掛かりな真空装置や複雑な加工工程が用いられている。一方、有機物の多くは有機溶媒に溶かし"インク"にすることが可能なため、大気中で印刷するという単純な工程で回路を作製することが可能だ。また、印刷という方法ではフレキシブルな基板や大面積の基板に対応しやすい。従来の無機トランジスタの製造方法の際は、数%の原料使用効率であるが、印刷の原料使用効率は、手法を最適化することで90%以上が可能になるため、環境資源問題に鑑みても魅力的な製造方法と言える。ソニーでは、この有機トランジスタを印刷で作製する研究も進めている。

今後の技術展開

 有機トランジスタは、まだ発展途上(進化中)のデバイスである。今後、有機材料からその印刷プロセス、デバイス作製、設計の総合技術開発を進めることで、実用化に向けた性能向上と信頼性向上を図っていく予定だ。ここでは応用例としてフレキシブルディスプレイを取り上げたが、今後はセンサーや入力デバイスへの応用も進むと考えられ、それらと合わせることで、一層ユニークなアプリケーションの実現ができると考えている。


参考文献

  1. N. Yoneya, N. Hirai, N. Kawashima, M. Noda, K. Nomoto, M. Wada, J. Kasahara, I. Yagi, K. Tsukagoshi, and Y. Aoyagi, Digest of Tech. Papers of AM-LCD 05, 25 (2005).
  2. I. Yagi, N. Hirai, M. Noda, A. Imaoka,Y. Miyamoto, N. Yoneya, K. Nomoto, J. Kasahara, A. Yumoto , and T.Urabe, Society for Information Display 07 Digest, 1753(2007).
    http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200705/07-053/
  3. M. Noda, N. Kobayashi, M. Katsuhara, A. Yumoto, S. Ushikura, R. Yasuda, N. Hirai, G. Yukawa, I. Yagi, K. Nomoto, and T. Urabe, Society for Information Display 10 Digest, 710(2010).
    http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201005/10-070/


WEEF

Copyright (C) SimpleTmpl008 All Rights Reserved.
inserted by FC2 system