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新材料研究開発用ドクターシンターラボシリーズ


放電プラズマ焼結プロセス(SPS)

 放電プラズマ焼結法(SPS法 : Spark Plasma Sintering)は、取り扱い操作の容易さ、ランニングコストの低廉さ、焼結技術の熟練不要、材料を選ばない多様性、ハイスピード焼結等々の特性をもち、金属、セラミックス、ポリマー、コンポジット材料をはじめ傾斜機能材料、ナノフェーズ材料、熱電半導体材料など広範囲の材料を対象として先進新材料の合成・加工を可能とする焼結法です。加圧焼結やHIP法のような変形がなく、従来の一般焼結法では成形できなかった材料の焼結も可能です。ホットプレス法(HIP)に比べ消費電力もおよそ1/3〜1/5という省エネ型で、マテリアルイノベーションからプロセシングイノベーションまでを実現する一貫融合加工技術として注目を集めています。

代表的な粉末焼結プロセスの分類
SPS法とホットプレス法の特性比較




SPSプロセスで何ができること

SPSプロセスは、迅速焼結、粒界制御焼結、温度傾斜焼結などに特徴を有する「焼結技術」、異種・同種・傾斜・固体−固体材料の「接合技術」、プラズマ溶射コーティング層の改質や表面硬化などの「表面処理技術」、ポリマーの固化成形、単結晶の育成、共晶体合成などの「合成技術」などの4分野にわたり著しい効果を発揮します。

事例



SPSプロセスの基本構成

SPS装置は、縦1軸の加圧機構を有する焼結機本体と水冷却部内蔵の特殊通電機構、水冷真空チャンバー、雰囲気制御機構、真空排気装置、特殊DCパルス電源、集中操作制御盤などによって構成されています。被加工粉体を充填したダイ・パンチ型をチャンバー内の焼結ステージ上にセットして電極で挟み、加圧しながらパルス通電を行うと、数分以内で室温より一気に1000〜2500℃へ急速昇温、数分の短時間で高品位の焼結体を得ることができます。




SPSプロセスの原理とメカニズム

 SPSプロセスは、圧粉体粒子間隙に低電圧でパルス状大電流を投入し、火花放電現象により瞬時に発生する放電プラズマ(高温プラズマ:瞬間的に数千〜1万℃の高温度場が粒子間に生じる)の高エネルギーを熱拡散・電界拡散などへ効果的に応用したものです。低温から2000℃以上の超高温域において従来法に比べ200〜500℃ほど低い温度域で、昇温・保持時間を含め概ね5〜20分程度の短時間で焼結を完了します。

 SPSプロセスは、ON-OFF直流パルス通電を用いた加圧焼結法の一種です。パルス通電では、焼結の進行状況を観測しながら投入エネルギーをデジタル的に精度よく制御することができます。通電初期の現象として、パルス通電・放電に伴う放電プラズマの発生は放電衝撃圧力とともにスパッタ作用で粉体の吸着ガスなどを吹き飛ばす表面浄化作用や絶縁酸化皮膜の破壊作用を生み出します。粉体粒子接触部にパルス大電流が通過することで、放電を伴わない場合でも急激なジュール加熱により溶解と高速拡散が起きます。電界の作用でイオンの高速移動による高速拡散効果も生じます。このON-OFFで繰り返し電圧・電流を印加することにより、圧粉体内で放電点とジュール発熱点(局所的高温発生場)が移動し、試料全体に分散されてONの状態での現象と効果が試料内に均一に繰り返される結果、電力消費量も少なく効率のよい焼結が行われます。粒間結合を形成しようとする部分に高エネルギーのパルスが集中できるよう設計されていることがSPSプロセスの特徴であり、ホットプレス・抵抗焼結などの通常焼結法と大きく異なる点です。ネック形成のメカニズムは、粒子表面で局所的に気化と溶融現象が起こり、粒子間接触部にネック(頸部)というくびれた部分ができ溶着状態となります。隣接粒子間でできたネックは次第に発達し、塑性変形を起こしながら拡散部分を拡張させて最終的に密度99%以上の高密焼結体を合成するのです。粒子表面のみの自己発熱による急速昇温が可能なため、出発原料の粒成長を抑制することができ、短時間で緻密な焼結体を得ることができます。また、圧粉体内部の組織が変化するのを阻止できるため、アモルファス構造やナノ結晶組織をもつ粉末をそのままの状態でバルク化が可能です。




脚注およびリンク






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