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特集|環太平洋戦略的経済連携協定の写像

 

 環太平洋戦略的経済連携協定、英語: Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement または単に Trans-Pacific Partnership, TPP)は、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 (EPA) である。環太平洋経済協定、環太平洋連携協定、環太平洋経済連携協定、環太平洋パートナーシップ協定ともいう。

環太平洋戦略的経済連携協定議論の経緯

 TPPは、2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効した。2011年現在、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーが加盟交渉国として、原加盟国との拡大交渉会合に加わっている。9か国による拡大交渉は、2011年11月12日に大枠合意に至り、2012年内の最終妥結を目指している。日本の野田総理大臣は、2011年11月11日に「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明したが、拡大交渉会合への参加は許可されず、交渉会合中の情報共有や協議には応じない方針が明らかにされている。2012年11月12日の会合からカナダとメキシコが正式な加盟交渉国に加わった。




 環太平洋戦略的経済連携協定は、2006年5月28日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国で発効した経済連携協定である。2006年1月1日に加盟国間のすべての関税の90%を撤廃し、2015年までに全ての貿易の関税を削減しゼロにすることが約束されており、産品の貿易、原産地規則、貿易救済措置、衛生植物検疫措置、貿易の技術的障害、サービス貿易、知的財産、政府調達(国や自治体による公共事業や物品・サービスの購入など)、競争政策を含む、自由貿易協定のすべての主要な項目をカバーする包括的な協定となっている。加盟国間で、域外に対する競争力を強化するために、自由競争の妨げとなる関税や非関税障壁を撤廃し、経済的な国境をなくすことを主柱としている。目的の一つは、「小国同士の戦略的提携によってマーケットにおけるプレゼンスを上げること」である(CHAPTER 16 STRATEGIC PARTNERSHIP Article 16.2: Objectives 2. (d))。

環太平洋パートナーシップ協定への拡大

 2010年3月から拡大交渉会合が始まり、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーが交渉に参加し、10月にマレーシアが加わった。2010年11月に開かれた2010年日本APECで、TPPは、ASEAN+3(日中韓)、ASEAN+6(日中韓印豪NZ)とならび、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の構築に向けて発展させるべき枠組みと位置づけられた。ASEAN+3、ASEAN+6は政府間協議の段階にとどまっているのに対し、TPPは交渉が開始されている。2011年アメリカAPEC(英語版)までの妥結と結論を目標にしていたが、大枠合意にとどまり「2012年内の最終妥結を目指す」と先延ばしされている。
 拡大交渉中のTPPについて、加盟国・交渉国に日本を加えた10か国のGDP(国内総生産)を比較すると域内GDPの91%を日本とアメリカの2か国が占めるため、実質は日米のFTAだとする見方もあるが、あくまで原加盟国4か国間で発効している環太平洋戦略的経済連携協定の拡大 (Expansion) である。





原協定

 環太平洋戦略的経済連携協定 (Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, TPSEP) は、その名の通り、環太平洋の国々における (Trans-Pacific) 戦略的な (Strategic) 経済連携協定 (Economic Partnership Agreement) である。 2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で調印し、2006年5月28日に発効した。当初は、Pacific Three Closer Economic Partnership (P3-CEP) として知られ、2002年にメキシコのロス・カボスで開かれたAPEC首脳会議でチリ、シンガポール、ニュージーランドの3か国間で交渉が開始された。2005年4月に開かれた5回目の交渉会合で、ブルネイは完全な交渉当事者として加わった。 この成立の経緯から、この貿易圏を構成する原加盟国4か国は Pacific-4 (P4) と呼ばれるようになった。拡大交渉中のTPP協定と区別するために、原協定 (original agreement) は、P4協定 (P4 Agreement) と呼ばれることがある。条文は、ニュージーランド政府サイト上で公開されており、日本語への私訳も複数存在している(日本政府からは、農林水産省から第3章の仮訳が公開されているのみである)。

  • 序文 (PREAMBLE)
  • 第1章 設立条項 (INITIAL PROVISIONS)
  • 第2章 一般的定義 (GENERAL DEFINITIONS)
  • 第3章 物品の貿易 (TRADE IN GOODS)
  • 第4章 原産地規則 (RULES OF ORIGIN)
  • 第5章 税関手続き (CUSTOMS PROCEDURES)
  • 第6章 貿易救済措置 (TRADE REMEDIES)
  • 第7章 衛生植物検疫措置 (SANITARY AND PHYTOSANITARY MEASURES)
  • 第8章 貿易の技術的障害 (TECHNICAL BARRIERS TO TRADE)
  • 第9章 競争政策 (COMPETITION POLICY)
  • 第10章 知的財産 (INTELLECTUAL PROPERTY)
  • 第11章 政府調達 (GOVERNMENT PROCUREMENT)
  • 第12章 サービス貿易 (TRADE IN SERVICES)
  • 第13章 一時的入国 (TEMPORARY ENTRY)
  • 第14章 透明性 (TRANSPARENCY)
  • 第15章 紛争解決 (DISPUTE SETTLEMENT)
  • 第16章 戦略的連携 (STRATEGIC PARTNERSHIP)
  • 第17章 行政および制度条項 (ADMINISTRATIVE AND INSTITUTIONAL PROVISIONS)
  • 第18章 一般的条項 (GENERAL PROVISIONS)
  • 第19章 一般的例外 (GENERAL EXCEPTIONS)
  • 第20章 最終規定 (FINAL PROVISIONS)
  • 付属書 I シンガポール (Annex I Schedule of Singapore)
  • 付属書 I ブルネイ (Annex I Schedule of Brunei Darussalam)
  • 付属書 I チリ (Annex I Schedule of Chile)
  • 付属書 I ニュージーランド (Annex I Schedule of New Zealand)
  • 付属書 II 原産地規則 (Annex II Specific Rules of Origin)
  • 付属書 III サービススケジュールその1 (Annex III Part One of the Services Schedules)
  • 付属書 IV サービススケジュールその2 (Annex IV Part Two of the Services Schedules)

作業部会

拡大交渉会合では、以下の24の作業部会が設けられている。

  1. 首席交渉官会議
  2. 物品市場アクセス(農業)
  3. 物品市場アクセス(繊維・衣料品)
  4. 物品市場アクセス(工業)
  5. 原産地規制
  6. 貿易円滑化
  7. SPS(衛生植物検疫)
  8. TBT(貿易の技術的障害)
  9. 貿易救済(セーフガード等)
  10. 政府調達
  11. 知的財産
  12. 競争政策
  13. サービス(越境サービス)
  14. サービス(商用関係者の移動)
  15. サービス(金融サービス)
  16. サービス(電気通信サービス)
  17. 電子商取引
  18. 投資
  19. 環境
  20. 労働
  21. 制度的事項
  22. 紛争解決
  23. 協力
  24. 横断的事項特別部会




各国の動向

シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国は原加盟国である。

アメリカオーストラリアベトナムペルーは参加を表明し、拡大交渉会合に第1回から参加している。

次いで、マレーシアコロンビアカナダも参加の意向を明らかにし、その内、マレーシアが交渉国として認められた。ただし、マレーシアでは、リョウ・チョンライ厚生大臣が米国の主張する医薬品の特許権保護期間算定方法に疑義を呈し、国益を大きく損なう、としてTPPには参加すべきでないと主張している<。

    マレーシア
    特許有効期間が現地で発売された時期から計算されるアメリカ案に対して、2012年8月6日、マレーシアのリュウ・ティオンライ厚生相は、ジェネリック医薬品の取得が遅れることを危惧し、「新薬の特許に関する米国の主張はマレーシアにマイナス」と懸念を表明している。
    カナダ
    酪農などの市場開放が十分でないとの理由で2010年10月に一旦、参加を断られた。その後、2012年11月に拡大交渉に参加した。
    メキシコ
    2012年11月に拡大交渉に参加した。
    韓国
    参加に前向きな姿勢を見せていたが、その後TPPへの参加が自国に不利に働くとみてアメリカとの二国間交渉に切り替え、米韓FTAで合意、妥結に至っている。
    2011年11月16日には、韓国外交通商省が記者会見で、TPPは国益にならない、として正式に不参加の旨を明らかにした。
    中国
    関心を示し情報収集などを行っていたが、その後の判断で参加しないことを明らかにした。
    ベトナム
    交渉国として交渉会合に参加しているものの、今後、正規の交渉メンバーとして臨む覚悟があるかどうかについて疑問視する見方もある。
    タイ
    2011年11月10日、ASEAN閣僚会議で、経済統合への道筋について「ASEANが中心となって行うべき」とし、TPPへの警戒感を表明した。
    その後、2012年11月18日に、インラック首相はオバマ米大統領との会談後の会見でTPPへの参加を表明。
    インドネシア
    「自由化品目の割合が非常に高く、対象になった品目の関税撤廃を一気に進める」としてTPPに不参加の意向を明らかにしている。
    台湾
    参加の意向を表明したことがある。
    フィリピン
    参加の意向を表明したことがある。
    ニュージーランド
    原加盟国のニュージーランド政府は「TPPにそれほどメリットがあるとは考えていない」とアメリカの外交文書が伝えていたことがウィキリークスに暴露されている。その一方で表向きニュージーランド政府は、TPPは外交の主要な柱とすると国内の説得も行っている。また同じくウィキリークスにおいて、ニュージーランドTPP主席交渉官マーク・シンクレアの「TPPが将来のアジア太平洋の通商統合に向けた基盤である。もし、当初のTPP交渉8か国でゴールド・スタンダード(絶対標準)に合意できれば、それは日本、韓国その他の国に対して強い圧力となり、それは長期的な実質的利益となる。」とした発言が米外交公電経由で流出した[34]。当時の加盟予定国グループ内での貿易をお互いに有利にすることで、その外にある非加盟の日本、韓国その他の国の経済的優位性を奪えるという意味である。その後取材に応じた同氏は、真偽の確認を拒み、TPPの広域性の強調を繰り返した。

アメリカ合衆国

アメリカ2000年以降、「Asia only」(アジアのみ)の経済ブロックを懸念していたが、TPPの拡大を進めることは「アメリカ締め出し防止」を推進するための機会にもなる。

2006年のAPEC首脳会議から本格化したアジア太平洋自由貿易圏 (FTAAP) 構想は、東アジア地域での経済統合にアメリカが関与する機会となる。2010年のAPEC首脳会議で、FTAAPの実現に向けた具体的な手段の基礎として、ASEAN+3、ASEAN+6、環太平洋戦略的経済連携協定 (TPP) が挙げられている。この3つの地域的な取り組みの中で、アメリカが直接関与できる取り組みはTPPのみである。アメリカは2008年にTPPの拡大交渉を持ちかけ、最初に追加された交渉国となった。

サブプライム住宅ローン危機に端を発し2008年のリーマン・ショックで深刻な不況に陥ったアメリカは、2010年1月、5年間で海外輸出を二倍に増やすとする輸出倍増計画を立ち上げ、一般教書演説でオバマ大統領は公にした。輸出促進関係閣僚会議がこの計画の為に纏めた報告書では、「アメリカの経済的利益の増進を図る手段と輸出拡大のツールを生み出す」として、TPPの実現を明記している>。また、同大統領は、APECに出席する為、来日した折、横浜市において輸出倍増計画の大部分はアジアにあり、アメリカにとって大きな機会、とし、TPPはその計画の一環であると演説した。そのうえで国外に10億ドル輸出を増やすたびに、国内に5000人の職が維持される、と発言した(pp78-80)。また日本でのスピーチで、「巨額の貿易黒字のある国は輸出への不健全な依存を止め、内需拡大策を採るべきだ。いかなる国もアメリカに輸出さえすれば経済的に繁栄できると考えるべきではない」と発言した。

TPP推進のためのアメリカ企業連合

また「アメリカの対外投資にとって安定した非差別的な法的環境の典型をつくり出すために、強力な投資保護、市場開放規定、紛争解決を組み込むべき」と主張している。(2012年1月)。これはTPPにおいても北米自由貿易協定 (NAFTA) 同様の投資家対国家の紛争解決 (ISDS) 条項を盛り込むことを目的とした要求である。協定中にISDS条項が規定されていれば、投資家は、投資受入国を相手方として、当該国の措置により損害が生じたことを理由として国際投資紛争解決センター(ICSID) といった仲裁機関に直接申立てを行い、その補償を求めることができる。これがTPPにおいて実現すると、投資企業が加盟国の政府や地方自治体を相手方として仲裁を申し立て、補償を得ることも可能になる。

例外要求事項

2011年3月28日に始まった第6回交渉会合で、アメリカは砂糖などを関税撤廃の例外とするよう求めている模様、と読売新聞がシンガポールからの記者の記事として報じている。これはアメリカ、オーストラリア間のFTAでは、砂糖など108品目を関税撤廃の例外としており、TPPでも同じ扱いを求める、との見方による。

しかし、第6回交渉会合を終えた2011年4月1日、ニュージーランドのシンクレア首席交渉官は「関税撤廃の例外は認めない」と改めて強調している。 また日本農業新聞は、外務省が2011年11月頃に民主党提出資料において例外が適用される可能性をほぼ否定し、これまでの対米FTA締結国における例外品目許可率を最大で0.1%と算定したと主張している。

2012年2月から3月にかけて、日本政府は各国との協議結果を公表した。それによると、例外の扱いに関しては、各国での認識の相違がみられる発言がある。米国との協議結果資料においては、「日本側より、センシティブ品目の取扱いについて関税撤廃からの除外があり得るのか質問したのに対し、米側より、TPPは包括的な協定を目指している旨回答があった」と記載されている。 また、米国以外の国の発言として、「センシティブ品目の扱いは合意しておらず、最終的には交渉次第」、「全品目の関税撤廃が原則。他方、全品目をテーブルにのせることは品目の関税撤廃と同義ではない」との発言や、「90〜95%を即時撤廃し、残る関税についても7年以内に段階的に撤廃すべしとの考えを支持している国が多数ある」、といった発言があった旨、記載されている。

米国内での反対の動き

2012年2月2日、ゼネラルモーターズフォード・モータークライスラーのアメリカ自動車大手3社で組織する米自動車貿易政策評議会 (American Automotive Policy Council, AAPC) のマット・ブラント (Matt Blunt会長は、TPP交渉への日本の参加を拒否するよう、オバマ大統領に求めていることを明らかにし、「TPP交渉に日本が参加すれば、交渉が数年にわたって長引き、おそらく実を結ぶことはないだろう」と語った。なお、これはUSTRが1月に意見を公募した結果でもある。

アメリカン大学のロースクールは、米韓FTAや偽造品の取引の防止に関する協定 (ACTA) の規定を超えた知的所有権強化を懸念し、USTRのロン・カーク代表宛に下院議員10名による開発途上国、特にべトナムでの公的健康や医薬品の利用を脅かす事態を憂慮する書簡が提出されている。

日本

TPPへの参加表明や関係国間との外交交渉・協議はあくまで政府の責任で行うものであるが、その後のTPP協定の締結は国会の承認や批准決議の手続きを要するものとされている。

2010年
2010年10月8日、菅直人首相(当時)は、TPP交渉への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏 (FTAAP) の構築を視野に入れ、APEC首脳会議までに、経済連携の基本方針を決定する旨指示した。
11月8日、経団連の米倉弘昌会長は記者会見で「日本に忠誠を誓う外国からの移住者をどんどん奨励すべきだ」と述べ、TPPへの参加とそれに伴う海外からの労働者の積極受け入れを支持する発言をしている。
11月9日、政府は関係国との間での経済連携強化に向け、農業分野、人の移動分野および規制制度改革分野において、適切な国内改革を先行的に推進する旨閣議決定を行った。農業分野は関係大臣からなる「農業構造改革推進本部」を設置し、2011年6月をめどに基本方針を決定するとした。
11月13日、菅首相は2010年日本APECにおいて、交渉参加に向けて関係国との協議に着手することを正式に表明した。
11月30日、政府は「食と農林漁業の再生推進本部」を発足させ、首相、関係閣僚と民間有識者11人からなる「食と農林漁業の再生実現会議」を設置した。1月21日、同会議は農地集約による生産性向上などを提案している。
12月3日、第4回の拡大交渉会合に、日本はオブザーバー参加を打診していたものの、結局この参加は断られた。大畠章宏経済産業大臣(当時)は記者会見において、交渉会合の参加国はTPPに関する交渉で忙しく、個別接触も難しかったとしている。
12月9日、経済産業省は「農業産業化支援ワーキンググループ」を立ち上げ、経団連、日本商工会議所、全国商工会連合会等をメンバーとして農林水産省とは違った立場から農業の産業化を支援する作業部会を始めた。


2011年
2011年2月23日、菅総理は、衆議院予算委員会で公明党の西博義議員から原協定を読んでいるかただされ「手に取って幾つかのページはめくった。概略についての説明を担当部署から受けた」と答弁した。
2月26日、政府は公開討論会「開国フォーラム」をさいたま市で開き、玄葉光一郎国家戦略担当大臣(当時)がアジアの活力を取り込む必要性を訴えた。一般参加者からは農業分野以外の情報を求める声が上がったが、平野達男内閣府副大臣(当時)は情報を集めている段階だとして十分な説明ができなかった。
3月5日に金沢市で開かれた開国フォーラムで海江田万里経済産業大臣(当時)は、TPPは例外なき関税の撤廃が原則としつつ、交渉次第で1〜5%の例外品目が設けられる可能性を示唆した。一方日本農業新聞は、外務省が2011年11月頃に民主党提出資料においてその可能性をほぼ否定し、これまでの対米FTA締結国における例外品目許可率を最大で0.1%と算定したと主張している。
3月11日、東日本大震災が発生。12日以降に6都市で開催が予定されていた開国フォーラムは中止となった。5月17日、政府は東日本大震災後の経済政策方針をまとめた「政策推進指針」を閣議決定し、TPP交渉参加の判断時期を当初の6月から先送りした。
10月11日、経団連の米倉弘昌会長はTPP交渉への早期参加を求めた。一方、10月24日、全国農業協同組合中央会(JA全中)は、1100万を超すTPP反対署名を政府に提出した[62]。JA全中によるTPP交渉参加反対に関する国会請願の紹介議員は10月25日現在で355人と全国会議員の半数近くにのぼる。11月9日、経団連の米倉会長とJA全中の萬歳章会長が会談したが、主張は対立したまま平行線に終わった。地方自治体においては、2010年10月から2011年9月末までの1年間に、42の道県議会でTPP参加に「参加すべきでない」「慎重に検討すべき」「農業の国内対策が必要」などの意見書が採択されている。
10月29日、民主党の仙谷由人政調会長代行は、前原グループの勉強会で「TPP反対でわめいて走っている」と反対者を批判し、関係者やその支援を受ける議員への積極的な切り崩し工作、中立化工作をかける旨を強調した。
11月9日、民主党の経済連携プロジェクトチームは、過去数10回の会合を踏まえ、TPPへの参加に関し「時期尚早・表明すべきではない」と「表明すべき」の両論があったが、前者の立場に立つ発言が多かったとし、政府には以上のことを十分に踏まえた上で、慎重に判断することを提言するとした。この提言を受け、野田首相は予定していた翌10日の記者会見を先送りし、11日衆・参両院は予算委員会のTPP集中審議が行われた。同日午後8時、反対意見も未だ根強く議会も二つに割れる中、野田首相は記者会見において、翌12日から参加するホノルルAPEC首脳会合において、TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る旨を表明した。
12月13日、政府は省庁横断の一元的な参加交渉体制の概要を決めた。総理大臣を議長とした全閣僚ならなる包括的経済連携に関する閣僚委員会のもとに、上部から国家戦略相、官房長官、外務大臣、経済産業大臣、農林水産大臣らからなる関係閣僚会合、次に各副大臣や政府代表からなる幹事会、下部の50人規模からなる事務局は関係省庁次官級/局長級会合のもとに交渉参加国別の折衝、国内の業界団体や関係省庁との調整、交渉状況の情報公開などを担う3つのチームからなる。
12月22日の第6回国家戦略会議決定を踏まえて同月24日に閣議決定された「日本再生の基本戦略」でも、当面重点的に取り組む施策の1つとして、「環太平洋パートナーシップ (TPP) 協定の交渉参加に向けた関係国との協議」が挙げられ、「交渉参加に向けて関係国との協議を進め、各国が我が国に求めるものについて更なる情報収集に努め、十分な国民的議論を経た上で、国益の視点に立って、TPP についての結論を得る。」とされている。


2012年 1月26日、政府は事務局を70人体制とし、地方、業界団体などへの説明、交渉参加国との事前協議状況説明など全国的な広報活動やシンポジウムを行う方針とした。この日までにベトナム、ブルネイ、ペルー、チリと日本政府代表団は事前協議を行い日本の交渉参加の歓迎の意向を得たとしている。残り5か国へも代表団派遣を早期に行うとした。
前者4か国との協議の結果について詳しくは、2月2日に公表された。5月18日、大島正太郎を内閣官房内閣審議官に採用し、関係国との協議を担当する政府代表に任命。





関連資料

関係国の経済規模 2011年


日本と関係国との貿易協定


試算

内閣府から発表されたGTAP (en) モデルによる各種EPA参加のマクロ経済効果分析は次の通り。



  • ・試算結果は一定の前提に基づくので、数字についてはある程度幅をもって考えられるべきである。
  • ・双方がセンシティブ分野を自由化しない場合日本側のセンシティブ分野の国内生産のマイナスが小さくなるが、他の分野の国内生産のプラスも小さくなるため、総合すると日本の実質GDPの増加は小さくなる(センシティブ分野を自由化すればセンシティブ分野の国内生産はマイナスになる)。 関税を全廃するが国内支援措置等により、日本がコメ又はセンシティブ分野の国内生産を維持した場合の試算を本経済モデルで試算することは困難。
  • ・関税を全廃するが国内支援措置等により、日本がコメ又はセンシティブ分野の国内生産を維持した場合の試算を本経済モデルで試算することは困難。
  • 日本がTPPに参加せず日EUEPA、日中EPAも締結されない中で、韓国が米国、EU、中国とそれぞれFTAを締結する場合、我が国の実質GDPは、0.13〜0.14%(≒0.6〜0.7兆円)のマイナスとなる。
  • ・試算を担当した川崎研一内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官は、「農産物は、輸入が増え、国内での生産は大きなマイナス」「自動車は、輸出が増え、国内生産もプラス」として試算全体ではプラスであってもプラスになる分野もマイナスになる分野もあるとしている





議論概要

参考比較表 Wikipedia

論点推進論反対・慎重論
関税 みんなの党の江田憲司は、2.5%を撤廃してもメリットがないと曰う輩は企業のコスト感覚を知らない、「たった2.5%」でも車一台4〜5万円違うので150万台以上米国に輸出する日本車メーカーにとっては死活的としその危機意識がTPP反対派には欠如しているとしている。 中野剛志は、日本は既に米国を除くTPP参加国の殆どとFTA・EPAを締結済み(「日本と関係国との貿易協定」参照)であり、関税面での実質的なメリットは、米国内における対日関税(2.5%等)の撤廃のみである、ところで、日本は内需88%の内需依存国であり、かつ対外貿易における米国のシェアは14%に過ぎない、よってTPPによって米国内での関税が撤廃されたところで、日本経済への波及効果は限定的であるとしている。
経済・貿易 小宮山洋子は「成長しなければ復興財源も社会保障財源も出てこない。この時代に日本だけが鎖国をしていていいというわけではない」と述べた。 2011年11月のAPECで強い指導力を示す為にも、日本は一刻も早く、この近隣の連帯に参加し、経済交流・発展を図るべきである?。また、TPPの参加によって、内閣府の試算によれば、10年間で?2.7兆円(1年あたりに直すと2700億円)?のGDP波及効果が見込まれる。(ちなみに2010年度の日本の実質GDPは539兆円であり、TPP参加により日本のGDPは、年あたり0.05%増加する計算になる?)
片岡剛士は、政府資産は貿易自由化のみで排他的な国内規制やルールの撤廃・平準化を含む非関税障壁撤廃の影響については試算には含まれていないとしている。
中野剛志は、TPP交渉参加国は、2011年11月現在9か国に過ぎず、日本を含めても10か国である、それは決して全世界ではなく、そればかりかアジアの先進国である韓国・中国・台湾も欠いており、地理的にも経済的にも、ローカルで中規模な国際連帯に過ぎない、また参加国の顔ぶれは、日米を除くと、残りは発展途上国か人口の限られる資源国・都市国家だけであり、これらの国々は内需が少なく外需依存(輸出依存)の構図を持っている、よって、日本が参加しても市場があまりに狭い為、輸出先としては旨みがなく(米国については「関税」の項で上述)、むしろこうした国々の低賃金労働力によって生み出される安い産品・サービスによって、日本の市場も公共サービスも、食い物にされるだけである。経済的に日本にとっては、百害あって一利無いとしている。浜田和幸は、農水・経済産業省の試算が正しければ、TPP参加は3兆円の新たな富を生み出す一方で、10兆円を遥かに超える損失が出るので、日本全体の経済を考えれば参加を見送るのは当然である、としている。
グローバル企業 小倉正行は、自動車メーカーをはじめとする日本の複数の大企業は、世界各地に工場・下請け企業を持ち、人件費・素材費・法人税・インフラ状況など展開する先々の国の諸条件を勘案しながら、コスト面を重視した効率的な運営を望んでいる、そうした諸企業において、TPPが掲げる9か国共通ルールの整備・貿易障壁の撤廃は、企業内貿易(部品のやり取りなど)をやりやすくし、企業利益の向上に繋がるとしている。ただし、米自動車貿易政策評議会 (AAPC) は日本の自動車市場を閉鎖的とし、軽自動車規格の廃止を始めとした参入障壁の撤廃を強く要求しており、これに対しては、志賀俊之日本自動車工業会会長は反発している。 中野剛志は、一部の大企業はTPPによって潤うかもしれないが、海外に十分に事業展開のできない国内の中小企業には旨みがなく比較劣位に立たされる、そして国際障壁の撤廃によって、大企業の海外進出・日本空洞化の波は加速し、国内中小下請け業者への受注は減るであろう、またこうした大企業の法人税はその展開する先々の国に納められるであろうから、彼らの利益が日本国の税収を増やすとも限らない、つまるところ、大企業の利益が、日本・日本人の利益になるとは限らないとしている。
労働者・移動の自由化 および 日本人の雇用と給与水準 ある程度の海外からの労働者の流入は起こるだろうが、それは日本の製造業に活力を与える。だけでなく、国内で低賃金労働力の雇用が可能になることにより、これまで日本で進んでいた工場・会社の海外移転、産業の空洞化は減速する。 交渉24分野には「商用関係者の移動(ビジネスモビリティー)」が含まれているが、いわゆる単純労働者はTPP交渉の対象外?(p30)。みんなの党の江田憲司は、日本の貿易総額に占めるFTA比率が韓国、中国、米国に劣っていることを指摘し、米韓FTAの発効で無関税になることを見越してトヨタや東レが生産を海外に移している事例を挙げて、FTA競争に出遅れた現状で既に日本の産業の空洞化が着実に進んでいるとしている。片岡剛士は、米国はソーシャルダンピング懸念している、TPPでは労働の規制緩和ではなく途上国の労働規制強化を求めている、米国は過去単純労働者の国際的な移動に反対してきた、途上国まで参加するTPPで資格統一を図ろうという議論が出る可能性はかぎりなく低い、わが国の労働環境は米国と比較してよいとはいえないから米国医師が日本で働きたいと考える可能性も低いとしている。 小倉正行は、TPPへの参加により、参加国間の労働者の「移動の自由化」が促進されれば、TPP参加の東南アジアや南米諸国から低賃金労働者や技術者が多量に流入することになり、それは必然的に日本人の賃金の低下、労働環境の悪化、失業率の増大を招くとしている。 TPPでは「単純労働者はTPP交渉の対象外」とするが、TPPの作業分野「サービス貿易」には、建設サービス及び関連エンジニアリングの中に、(A〜D)建築物・土木に関わる仕事、建設物の仕上げ工事等に携わる技術者が含まれており、これは実質的に労務者移動の抜け道となりかねない、と危惧する。 またこうした技術者には医師や看護婦、弁護士も含まれており、日本人医師や看護婦を増員せずに、海外医師らで補うのは、本末転倒、としている。
格差       田代洋一は、TPPは一握りの大企業に有利な反面、中小企業には大変不利な為、前者のニッチは拡大し、後者は減る。ところで、企業は大きくなればなるほど受取収益を雇用者(従業員)に還元せず、自社の企業力強化や株主配当に当てる傾向が強い。また2000年以降、大企業の非正規社員雇用率は猛烈な勢いで上がっており、もし中小が減り、前者がより躍進する展開になれば、その雇用構造、分配構造から、非正規社員の数は増えるだろうし、正規職員の賃下げ、非正規化、下請け企業への圧迫(部品調達価格の押し下げ等)もこれまで以上に横行し、全体として一般労働者に貧困と格差をもたらす、としている。またそれは海外労働者・技術者の流入や外資企業の公共工事参入と相まって深刻化する、としている。
農業 渡邊頼純は、TPPにより関税が撤廃されると海外の廉価な農産物との間に、競争激化が予想されるが、ヨーロッパ諸国のように農家への戸別補償の実施によって、ある程度までの農業の保護は可能である、また日本の農業は価格・効率面で欠点はあるが、集約型で独自の発展を遂げた為、特に米に関して味覚的に決して劣るものではない、社会面での対策・質面両方を掛け合わせれば、長期的には輸入農産物に対して対抗が可能であるとしている。 農林水産省の試算は、コメや小麦など関税率10%以上、生産品10億円以上(うち農産品19品目)の関税をTPP参加国ではなく全世界を相手に即時撤廃し、何ら対策も講じないという「あり得ない前提」の為、信憑性に欠ける?。 元農林水産省農村振興局次長でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁は日本の特異な農業保護のやり方を正せば200%を超える異常な高関税は必要なくなり米国やEUのような補助金でも対応できるとしている。 浜田和幸は、TPPによって、米国・豪州・東南アジアから廉価な農作物が国内に無関税(2011年現在、コメ778%)で流入すれば、日本の農作物はその価格差から対抗ができない、放置すれば、NAFTA締結後のメキシコのように壊滅し、日本は食糧自給力を完全に喪失、以後、国民の食生活は投機の対象になるだろう、また農家は戸別補償が不十分なら、収穫品の価格低下により収入を減らし失職、日本全体の失業率を上げ、社会不安の要因にもなる。完全な戸別補償は可能だが、それは農業従事者(340万人)の数だけ公務員を増やすことと同義になり、国家にとって大きな負担になるとしている。中野剛志は、米国の農産物は無関税となった場合、元々日本の農産物に比して大幅に低価格なことに加えて、ドル安、慢性的な不況による低賃金等が相まり極端に安くなっており、賛成派の主張する改革等では日本の農家が生き残れる可能性は乏しい、と主張している。また食料価格が低下すればデフレが促進するとしている。
食の安全 TPP交渉では検疫処置の迅速化や透明性の向上などが議論の対象となっており、牛肉の輸入規制、食品添加物や残留農薬の基準、遺伝子組み換え食品の表示ルールなどは議論されていない?(p30)。江田憲司は、WTO(世界貿易機構)のSPS(衛生植物検疫措置)協定では食品の安全基準はその国の責任で規制することが認められている、TPPの前身たるP4のSPSでは、「WTO のSPS 協定の権利と義務は制限されない」と規定されているからTPPでも踏襲されるだろう、どの国も安全性が確認された遺伝子組み換え食品しか流通を認めておらず異なるのは表示の義務付けだけ、米国は表示不要、日本は遺伝子組み換え材料が食品中に残存する製品のみ表示を義務付け、EUは遺伝子組み換え材料を使用したかどうかの表示を義務づけ、2002年のAPEC貿易大臣会合でも日本と同様の表示制度を持つ豪州やニュージーランドと共闘して米国要求を阻止した、SPS協定の科学的根拠があれば上乗せの厳しい基準を各国が設けることができる規定を盛り込んだのは消費者団体の意向を汲んだ米国でありBSEや残留農薬の国内規制も「科学的根拠」があれば正当化されるとしている。 浜田和幸、小倉正行は、TPP以前から、米国は日本にBSE疑惑のある食品や遺伝子組み換え食品、多数の食品添加物、食品農薬残留値に対する規制の緩和を要求しており、TPPの原則「非関税障壁の撤廃」と、日本の食品の安全基準がリンクされる可能性は極めて高い、TPP参加後は従前の基準が「障壁」として、海外のメーカーに政府や自治体は提訴される恐れがあり、日本は高確率で規制の大幅な緩和を強いられる、一部の米国産牛肉や遺伝子組み換え食品の安全性は未知数で、EU全国を始め世界各国が厳しく規制しているところを考えると、こうした選択は食の安全の軽視と言えるとしている。 浜田和幸は、TPPに謳われる貿易障壁の撤廃を巡る圧力により、モンサントなどの遺伝子組み換え作物栽培が日本に導入された場合、米農務省学者ロバート・クレマーの研究として人体や家畜にガンになる可能性が上昇する、とも指摘している(pp106-115)。実際、同氏の研究によると、モンサントの除草剤ラウンドアップを散布する農場では、そうでない農場より従業員や周辺住民の癌罹患率が倍増した、としている。またこうした遺伝子組み換え作物が実を結ぶのは一回だけで、再度植え付けによる種子の収穫はできない為、毎年新たに買い付けをせねばならず、世界各地で見られるような米アグリビジネス会社による農場支配が始まる、と警鐘を鳴らしている。
ISDS条項 ISDS条項による利害得失は、日本も他国も同じ。日本企業も不都合があれば、他国政府・州政府を提訴可能。
内国民待遇とISDS条項は別の条項であり(例えば、NAFTAではそれぞれ第3章と第11章)、内国民待遇はWTOの基本原則のひとつである。 ISDS条項は外国政府に協定に違反する行為があった場合の問題解決手段である。 たとえば、ISDS条項が問題となったNAFTAでは、生命や健康や安全及び環境の規制を投資促進よりも優先する規定があり、仲裁判断も環境保護と経済発展の両立が必要と判示している。 経済産業省は、ISDS条項により、恣意的な政治介入や司法制度が未確立な国の裁判を避け、公正な手続で第三国において仲裁を進めることが可能としている。 具体的には、仲裁人は当事者が選定するか理事会議長が第三国国籍の者を選定し、仲裁人は自らの権能で判断する。 経済産業省は、ICSID仲裁では、当事者が合意した場合のみ非公開であるために、完全非公開を望む場合には適当でないとしている。 上訴には反対意見もありOECDの多数国は慎重であり緊急課題とはみなしていない。 清水剛は、仲裁廷が適用する国際法の中立性は自明ではないが投資受入国法と比較して相対的に中立的であると見なしうる、中立性保証のための様々な手続きが設けられている、ICSID仲裁では法的判断の要約は必ず公開される、仲裁判断の取消制度もあるとしている。
田代洋一は、TPPのISDS条項によって、外資系企業への内国民待遇が課せられ、公平性の毀損とみなされた国内法は非関税障壁として、(外資系企業により)提訴、莫大な賠償請求を受ける可能性がある。その場合、環境面や福祉面など諸分野において、しばしば日本政府や自治体は高額の賠償支払いやそれを避ける為の条例・法律の改訂を余儀なくされ、あたかも外資系企業による内政干渉のごとき事態も招きかねない。またその訴訟が日本国内の裁判所ではなく、米国内の世界銀行 (en) 傘下の国際投資紛争解決センター (ICSID) で、一審制、非公開で行われることも問題である、としている。
地方経済 日本はWTOの政府調達協定に基づき、基準額以上の政府調達(国だけでなく都道府県と政令指定都市の公共工事など物品・サービスの調達も含む)については外国企業が参入しやすいように一定の手続を取ることとなっている[131]。2012年1月現在の、WTOの政府調達協定における地方政府の機関の基準額は、次の通りである。これらは現在の日本の政府調達における開放の基準額である。この額以上の物件の入札においては、国内外の会社を対等に扱わなければならない、となっている。TPPへの参加によってTPPの政府調達基準が適用されると、日本の地域経済へのTPP参加国企業の参入が頻発する可能性がある。
浜田和幸は、政府調達の公開入札基準額はWTOの政府調達協定から大幅に引き下げられ(物品・技術的サービスは5万SDR(約630万円)に、建設は500万SDR(約6億3千万円)になるとしている。 原協定で対象となっている中央政府機関および地方政府機関 (Regional Governments) について詳しくは、原協定第11章のAnnex 11.Aを、物品、サービス、建設サービスの基準額は、原協定第11章のAnnex 11.Cを参照のこと。 また、同氏は、地方自治体も外資に解放され、公共サービスの入札と競争は過激化し、外資の落札は相次ぐだろうが、彼らはその性質上、地元や国内の業者ほどには資金を現地に還流しないことから、地方経済の資金の循環は切れてしまう、金額的には日本の市場規模は、米国を除く他のTPP参加諸国の市場の数倍な為、公共工事の受注を通して、日本からは資金が国外に流出する(日本企業が獲得する海外受注分を、国内からの流出分が必然的に上回る)としている。同氏は、TPP参加後日本語のみ入札で受け付けるとなればそれが非関税障壁として、提訴されかねず、国際競争入札の対象となる案件については英語で作成された必要書類のみ受理しなければならなくなる可能性がある、としている。その場合、地方の小さな建設業者などは英語で書類作成ができず、入札から事実上締め出されることになりかねない、としている。
ラチェット規定 潮田道夫は、自由化を促進することにTPPの意義はあるのだから、その後退にあらかじめ歯止めをかけるのは当然である、そもそも、ラチェット規定は日本が過去にEPA交渉において他の国に要求したこともあるルールであるとしている。 WTOや米韓FTAでは輸入急増に対処する手段や生命や健康の保護のために必要な措置等のセーフガードが認められており、TPP原協定(P4協定)においてもWTOセーフガード協定上の権利と義務は確認されている。 中野剛志は、ラチェット規定は現状の自由化よりも後退を許さない規定であり、後で何らかの事情により市場開放をし過ぎたと思っても規制を強化することが許されない、ラチェット規定が入っている分野は米国企業に有利な分野ばかりであるとしている。
参加 経済産業省は、韓国のFTA先行により日本の輸出が減少すると予想している。 みんなの党の江田憲司衆議院議員は、国際交渉では交渉スケジュールが予定通りに行く方が稀であり、TPP交渉も当初のスケジュールよりは遅れており、最終合意前に日本は交渉に参加できる、離脱が困難とするのは今の国際交渉の現実、ルール、過去の条約や協定等への知識不足からくる懸念であり、ルール上も実際上もいつでも離脱できるとしている。 TPPのルールの変更には、他の参加国全ての承認がいる。よって日本は、一旦この組織に加盟してしまえば、それが国益に合わないとわかっても、容易には改善ができなくなる。また、TPPからの離脱宣言は可能であろうが、それには、TPP参加後に日本国内に進出したり事業を拡大した外資系メーカーからの、莫大な賠償請求訴訟の連発が予想され、極めて困難である。中野剛志は、国際ルール策定の場では多数派工作は常識だが、TPP交渉参加国の中に日本と同じような利害や国内事情を有する国はなく(超大国の米国か、外需依存の高い経済的小国ばかり)、日本が自国の有利なようにルールを主導して築ける可能性は殆どない、としている。
自然・環境       石田信隆は、日本において農村は多面的機能を持っている。第一は食糧安全保障だが、他にも豊富な水田は水資源を確保し、同時に土壌侵食、土砂災害防止や生態系維持の役割も持つ。万一TPPによる原則無関税が米に適用されて農家が大きく衰退すれば、水田の管理体制も崩壊し、それは日本中の土壌、生態系、環境、自然の激変に繋がると指摘する。農水省はそれによる(自然ダム崩壊に伴う新たな費用発生)喪失額を、年間3兆7000億円と評価する
著作権法・ネットの自由 および 著作権侵害の非親告罪化       福井健策は、2011年2月にリークされた「TPPにおける米国政府の知財要求項目」によると、米国がTPPにおいて非関税障壁とするものの中に知財政策が含まれ、TPP本交渉では、ダウンロード違法化の全著作物への拡大や賠償相場の拡大、罰則の重罰化、著作権保護期間の延長などを進められる。そうなれば、漫画や小説の二次改変などのパロディや同人誌までが摘発の対象となり、日本の現代文化に大きな影響が出かねず、ネットの自由も今より制限されると指摘する。
技術       浜田和幸は、米国の意向やTPP作業部会で中小企業が取り上げられていることを併せて考えると、日本がTPPに参加した場合、非関税障壁の整理等で日本の中小企業の買収がより容易になるよう法改正を求められる可能性がある、としている。日本の技術力の売りの一つは中小企業であり、これらが買収により米国を中心とした海外に流出すれば、日本は誇るべき技術を喪失し、折角の目先の企業利益や輸出機会の増大も意味が激減する、としている。現に2008年米国は、「年次改革要望書」において、海外投資家の日本企業のより容易な買収を可能とする法改正を求めており、こうした企業買収の容易化はTPPの作業部会の一つ、分野横断事項でも取り上げられている、としている。






国内諸団体の動向

国会

推進派

民主党、みんなの党、国民新党

反対派

公明党、日本共産党、社民党、新党大地

慎重派

自民党、新党改革

主な業界団体・社会運動団体の動向

世論

・ニコニコ動画が2011年10月27日に実施したネット世論調査では、回答を得られた8万4012人中、「参加すべき」は20.9%で、44.4%の「日本はTPPに参加すべきではない」を大きく下回る。
・日本経済新聞が2011年10月31日付朝刊で報じた世論調査の結果によると、TPPに「参加すべきだ」と答えた人は45%で「参加すべきでない」32%を上回る結果となった。
・読売新聞社が2011年11月12日〜13日に実施した全国世論調査(電話方式)で、野田首相が環太平洋経済連携協定 (TPP) 交渉への参加方針を決めたことを「評価する」は51%で、「評価しない」35%を上回った。
・朝日新聞社が2011年11月12日〜13日の両日実施した全国定例世論調査(電話)によると、日本が環太平洋経済連携協定 (TPP) に参加することに、賛成の人は46%で、反対の28%を上回った。
・産経新聞の2011年11月18日の調査(回答9125人(男性6527人、女性2598人))によると、「TPP交渉参加は日本に利益をもたらすか」に関してイエスが'13%、ノーが87%に達し、「交渉参加をしても不利になった場合は離脱できると思うか」についても「思わない」が89%を占め、「政府の説明は十分か」についてはノーが94%を占めたと報道されている。



参考資料

農業協同組合

農業協同組合、農協(略称:農協)は、日本において農業者(農家および小規模農業法人)によって組織された協同組合。なお、全国農業協同組合中央会が組織する農協グループ(総合農協)を、JA(ジェイエイ、Japan Agricultural Cooperativesの略)と呼ぶ。以下では特に断り書きがない限り、全国農業協同組合中央会が組織する農協グループ(以下、JAと略す)について述べる。
農業協同組合法によって定められており、農業生産力の増進と農業者の経済的・社会的地位の向上を図るための協同組織とされている。組合員は、正組合員と准組合員とに分かれる。正組合員資格は農業を自ら営む、農業者に限られ、組合員が一人一票の平等の議決権を持つことや役員や総代になる権利及び正組合員の5分の1以上の同意を得て臨時に総代会を開くよう請求することができるほか組合員全員に組合の事業を利用する権利が生まれる。これに対して、農家でない人でも、JAに加入手続きをして承諾され、出資金の払込みをすることで准組合員となり、JAのいろいろな事業を利用することができる。ただし、JAでの選挙権などはない。
事業内容は多岐にわたるが、主要事業(いわゆる「農協3事業」)として次の3つが挙げられる、

経済事業
組合員の生産物(農産物)の販売(販売事業)
ファーマーズ・マーケット(農産物直売所)の運営
農業の生産に必要な肥料、農薬、農業機械や生活に必要な食品などの供給(購買事業)
ガソリンスタンド(JA-SS)・プロパンガス供給元(クミアイプロパン)の運営
生活協同組合としての側面をもつスーパーマーケット(Aコープ)の運営
信用事業(通称・JAバンク。旧称・農協貯金→JA貯金)
営農指導 貯金、貸付、証券業の取り扱い(このため農協は小切手法においては銀行と同視されている)
共済事業(通称・JA共済。旧称・農協の共済) 組合内における共済(生命保険と損害保険に相当、終身共済、医療共済、年金共済、建物更生共済・自動車共済・自賠責共済など)の加入とりまとめ 大部分の農協では担当部署に関係なく、全職員が事業の推進(営業活動のこと)を行っている(特に農協3事業)。 そのほか、組合員向けの冠婚葬祭(主に葬儀(JA葬祭))事業、高齢者福祉事業、観光・旅行事業(農協観光)、市民農園、郵便窓口業務の受託(簡易郵便局)などが行われ、「農協で扱っていない事業があるならば、風俗業とパチンコぐらい」と言われるほど多岐に亘る。また、農協婦人会等による生活改善運動は農村の食生活や生活の工夫など教育の場として発展して来た。
 事業内容が多岐に亘ることで「農協簿記」という特殊な簿記も用いられる。他業務をカバーする勘定科目を使い、なおかつ購買や販売等については独自の勘定科目名称を用いる。
 東京都御蔵島村の御蔵島農協のように、地域農協だが、信用事業を行っていないところもまれにある。 また、宮城県の農民の家農協は農民運動活動家が組織した組合で、利用事業として温泉のみを経営する特殊な組合である。
全県1農協を目指しての合併促進がされているところもあり、沖縄県・奈良県などはすでに実現した。
JAは、体質として法令違反を非常に行いやすいものとなっている。その理由として、以下を挙げている。
会員に、零細農家が多い … 意識が低いため、少々の不祥事があっても、何でも頼めるJAを頼る
行政との一体化 … 実質的に農水省の下部組織として活動しているため、何かあっても救済がある
日常的に違反(もしくはすれすれ)の行為を行う農家がいる
JAの事業には、初めから法令違反を前提としたものがある … 米流通は、闇流通の米を前提にしなければ回らない代物となっていた
一地域一JAという体制は、一地域における独占状態を招く。そのため、意識がゆるむ
また今日、規制改革会議において、JAは大きな市場シェアを有するにもかかわらず外部監査(公認会計士監査)が導入されておらず不祥事が多発していること、独占禁止法違反、員外利用の横行などが問題視されている。
自民党政権に、政策のフリーハンドを与えた 1950?60年代は、農業従事者が全労働人口の3分の1を占めていた。JAが自民党を支持していたことにより、自民党は非第1次産業に対し、比較的フリーハンドで政策を立案、運営することができた(支持基盤が安定しているため、特定の産業を優遇する必要もなく、敵に回しても問題がない)。
所得の再配分を行い、社会の歪みが生じるのを防いだ
高度成長期にJAが政治活動を通じて農家への所得再配分を誘導した結果、農家 - 非農家の所得格差を是正した(戦前の農家 - 非農家の所得格差は約0.3だったのに対し、戦後は約0.7とだいぶ緩和されている)。このため、例えば2000年代の中国のように農家の所得格差が社会問題化せず、社会の安定に貢献した。

全国農業協同組合中央会(JA全中) - 単位農協(JA)および連合会の指導、監査、広報活動
都道府県農業協同組合中央会 - 都道府県ごと
全国農業協同組合連合会(JA全農) - 経済事業(販売、購買)
経済農業協同組合連合会(経済連) - 県ごと(11県)
全国共済農業協同組合連合会(JA共済連) - 共済事業
全国厚生農業協同組合連合会(JA全厚連) - 厚生事業(主に医療=病院など)
都道府県厚生農業協同組合連合会 - 都道府県ごと(36都道府県)
農林中央金庫 - 農協、漁協貯金の中央金庫(運用機関)
都道府県信用農業協同組合連合会(信連) - 信用事業、都道府県ごと

漁業協同組合(ぎょぎょうきょうどうくみあい)は、日本において漁業者(漁民)によって組織された協同組合である。略称は漁協(ぎょきょう)、またはJF(ジェイエフ、Japan Fisheries cooperative の略)。 水産業協同組合法によって定められており、漁民の協同組織の発達を促進し、もつてその経済的社会的地位の向上と水産業の生産力の増進とを図るための協同組織とされている。正組合員資格は漁業者のうち一定の者に限られ、組合員が一人一票の平等の議決権を持つ。 その事業内容は多岐にわたり、銀行業としての信用事業、保険事業としての共済事業、漁民の生産物を販売する販売事業、漁民が操業に必要な燃料や漁具、養殖えさ、または、生活に必要な食品などを供給する購買事業、操業指導を行う指導事業などが、通常行われている事業である。信用事業を行う漁協は、小切手法により銀行と同視されている。 個別の漁協(単位漁協)には、地域の漁民が集まった総合漁協が多いが、同じ漁法・養殖魚の漁民だけが集まった専門漁協(例・うなぎ漁協)がある。 なお、組合員に出資をさせない組合もあり、この場合信用事業、共済事業は行うことができない。2007年7月に行われた参議院議員選挙で、自民党比例代表の丸一芳訓候補(前兵庫県漁連会長、元警察官)を擁立、組織的に支援したが、落選した。
事業ごとに次の上部組織がある。

JF全漁連(全国漁業協同組合連合会) - 経済事業、販売事業、購買事業、単位漁協(JF)の指導、監査、広報活動
JF漁連(漁業協同組合連合会) - 都道府県ごと
JF共水連(全国共済水産業協同組合連合会) - 共済事業
農林中央金庫 - 信用事業(JFマリンバンク)
JF信漁連 - 信用事業,都道府県ごと
各上部組織は、単位漁協が出資している協同組合組織(農林中央金庫を除く)であり、一般的な株式会社の親会社、子会社とは関係が異なり、資本関係から言えば、単位漁協の方が上部組織である。

全国酪農業協同組合連合会(ぜんこくらくのうぎょうきょうどうくみあいれんごうかい)は、全国の酪農業協同組合の連合組織。本部は、東京都中央区にある。略称は全酪連・全酪。

専門農協(せんもんのうきょう)は、畜産や園芸など、農業の中でも一部事業に特化した協同組合。
JA(農業協同組合・総合農協)とは別系統であり、JAグループではない。それぞれ全国連・県連・単協の組織系統があるが、近年単協や県連の総合農協との合併等により、縦の会員関係は互いにクロスオーバーしている場合も見られる。
JA(総合農協)との違いは、金融部門を持たないことが挙げられる。
日本文化厚生農業協同組合連合会(文化連)
日本園芸農業協同組合連合会(日園連)
全国酪農業協同組合連合会(全酪連)
全国畜産農業協同組合連合会(全畜連)
全国開拓農業協同組合連合会(全開連)
日本養鶏農業協同組合連合会(日鶏連)
日本販売農業協同組合連合会(日販連)

生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
農業協同組合法
農業協同組合(農協、JA)、農業協同組合連合会
農林中央金庫法
農業組合法人
水産業協同組合法
漁業協同組合(漁協、JF)、漁業生産組合、漁業協同組合連合会
水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、共済水産業協同組合連合会
森林組合法
森林組合、生産森林組合、森林組合連合会
たばこ耕作組合法
たばこ耕作組合
消費生活協同組合法
生活協同組合(生協)、生活協同組合連合会
中小企業等協同組合法(組合法、中協法)
事業協同組合、事業協同組合連合会、事業協同小組合、火災共済協同組合、火災共済協同組合連合会、信用協同組合、信用協同組合連合会、企業組合
中小企業団体の組織に関する法律(団体法、中団法)
協業組合、商工組合、商工組合連合会
商店街振興組合法
商店街振興組合、商店街振興組合連合会
商工組合中央金庫法
商工組合中央金庫
信用金庫法
信用金庫、信金中央金庫
船主相互保険組合法
船主相互保険組合
内航海運組合法
内航海運組合、内航海運組合連合会
輸出入取引法
輸出組合
輸入組合
輸出水産業の振興に関する法律
輸出水産業組合
労働金庫法
労働金庫、労働金庫連合会
この他、現時点で法的根拠を持たない協同組合として労働者協同組合(ワーカーズコレクティブ)がある(「『協同労働の協同組合法』法制化をめざす市民会議」と「協同出資・協同経営で働く協同組合法を考える議員連盟」が法整備を求めている)。

生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律 生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
農業協同組合法 農業協同組合(農協、JA)、農業協同組合連合会、 全国酪農業協同組合連合会、日本文化厚生農業協同組合連合会、日本園芸農業協同組合連合会、全国酪農業協同組合連合会、全国畜産農業協同組合連合会、全国開拓農業協同組合連合会、日本養鶏農業協同組合連合会、日本販売農業協同組合連合会
農林中央金庫法 農業組合法人
農業協同組合法 農業協同組合(農協、JA)、農業協同組合連合会
水産業協同組合法 漁業協同組合(漁協、JF)、漁業生産組合、漁業協同組合連合会 水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、共済水産業協同組合連合会
森林組合法 森林組合、生産森林組合、森林組合連合会
たばこ耕作組合法 たばこ耕作組合
消費生活協同組合法 生活協同組合(生協)、生活協同組合連合会


文献及び注釈




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